東京エレクトロンの株価は決算発表後の上昇が失速。業績見通しは強気で、利益率改善にも自信を示しているが、見極めには時間がかかりそうだ。
半導体製造装置の東京エレクトロンの株価が苦しんでいる。東京エレクトロンの株価の21日の終値は7月初めにつけた最高値から31%安の水準。7月30日の2026年4-6月期決算発表後に進んだ株価上昇が失速した。イラン情勢悪化を背景とした世界的な金利高への懸念が悪材料になったことが要因で、他の半導体株と足並みをそろえた下落となっている。一方、東京エレクトロンは人工知能(AI)ブームを追い風とした高成長に自信を示しているほか、課題となっていた利益率の向上に向けては価格改定にも着手。金融市場では株価上昇への期待が維持されている。ただ、東京エレクトロンの株価は4月以降の急騰で割安感が消えているうえ、金融市場ではAIブームの継続性への不安が根強く、今後は株価上昇のペースが落ちることも想定される。本格的な値上がりは、価格改定の効果が分かってくる秋以降に持ち越させれる可能性もありそうだ。
東京エレクトロンの株価(8035)の21日の終値は5万4290円。7月1日につけた最高値(7万8800円)との比較では31.10%安の水準だ。東京エレクトロンの株価は7月29日に5万円まで下落した後、30日の4-6月期決算発表後は上昇基調に転じ、8月17日には6万0090円まで値上がりしていた。しかし18日から20日にかけての3日続落では合計10.10%安となり、株価上昇の勢いが失われた。
東京エレクトロンの株価が失速した要因は長期金利(10年物国債利回り)の上昇に伴う投資家心理の悪化だ。ブルームバーグによると、日本の長期金利は18日終値で2.945%となり、1996年9月16日以来、29年11か月ぶりの高水準に到達。株式投資の相対的な魅力を低くする結果となっている。東京エレクトロンの株価が3日続落した18日から20日にかけては、半導体製造装置のアドバンテスト(6857)の株価も合計6.41%安、ソフトバンクグループ(9984)も合計8.48%安となるなど、急落した。
一方、東京エレクトロンの業績見通しは明るい。東京エレクトロンの4-6月期決算は総収入が前年同期比33.2%増の7323億円、営業利益が46.1%増の2114億円。同時に9月中間期については総収入が37.3%増の1兆6200億円、営業利益が51.1%増の4580億円になるとの見通しを示した。9月中間期の見通しは、ブルームバーグがまとめた市場予想の総収入約1兆5800億円、営業利益約4400億円を超え、翌日以降の株価上昇につながった。4-6月期の総収入が市場予想の7553億円を下回る冴えない結果だったことを覆い隠した形だ。河合利樹CEOは30日の決算会見で「顧客からの納期前倒しや追加購入の要請が続いている」と言及。10月から始まる下期についても、「メモリや先端ロジック向けを中心にさらに出荷が増加し、上期を上回る力強い成長を想定している」とした。
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また東京エレクトロンは課題となっていた利益率の改善にも自信を示している。河合氏は決算会見で、世界的な物価上昇による費用増加分の製品価格への転嫁について顧客企業との交渉を進めていることを明かし、「徐々に理解が得られている」と説明。価格改定の効果は2027年1-3月期から感じられるようになるとした。足元の需要の強さはさらに大きな成長のポンテシャルがあることを示しているとも強調している。半面、2027年3月期を最終年度とする中期経営計画で目標としていた営業利益率35%以上の達成の難易度の高さを認めつつ、次期中計では営業利益率35%目標を「はるかに超えるような形で取り組んでいきたい」とも述べた。東京エレクトロンが示した2026年9月中間期の見通しでは、営業利益率は28.3%が見込まれ、2026年3月通期の25.6%から改善している。
こうした中、金融市場では東京エレクトロンの株価上昇への期待は続いている。ブルームバーグのまとめによると、東京エレクトロンをカバーしている27人のアナリストが示す目標株価の平均は24日朝の段階で7万4926円で、21日終値よりも38%高い水準となっている。4-6月期決算発表後には目標株価を10万4500円まで引き上げるアナリストも出ている。
ただ、東京エレクトロンの株価は、イラン和平への期待を背景とした4月以降の急騰で割安感が消失しており、今後の株価上昇には減速感も出そうだ。東京エレクトロンの株価は3月末段階の3万7230円から7月1日の最高値までの間に2.1倍と急騰し、この間、株価と今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)の比率を示す株価収益率(PER)は25.7倍から48.2倍へと膨らんだ。8月21日終値段階でも、予想株価収益率は30.2倍となっており、株式市場でAIブームが本格化した2023年以降の平均値(27.1倍)を上回っている。
また株式市場ではAIブームの継続性への警戒感は根強い。米国株式市場では21日までの週次で、米国上場の半導体株の値動きを示すフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が5.45%安となった。26日に2026年5-7月期決算発表を控える半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)は21日まで6営業日続落となり、4年ぶりの悪い記録となっている。
このため東京エレクトロンの株価は当面の間は下落圧力の強さが意識されそうだ。河合氏が自信を示す価格改定の効果を見極めるには10月下旬に見込まれる7-9月期決算発表で示される2027年3月通期見通しを確認する必要があるだけに、株価上昇の加速は秋以降になる展開も考えられる。
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