キオクシアの株価は7月下旬の安値から4割高。好業績やAI株への期待再燃が追い風だ。今後はメモリ半導体市況やシェアも焦点となりそうだ。
メモリ半導体のキオクシアホールディングスの株価が復活し始めた。キオクシアの株価の14日の終値は1週間前比で12%高。7月下旬に記録した直近の安値から40%高まで回復した。キオクシアが7月末に発表した2026年4-6月期決算で爆発的な成長を示したことや、米国の株式市場で協業関係にあるアメリカの同業、サンディスクの株価が急上昇していることが好材料視されているようだ。また、日本の株式市場では人工知能(AI)関連株の値上がりへの期待も再燃しつつあり、やはりキオクシアの株価上昇を後押ししている。ただ、キオクシアにとっての主戦場であるNAND型フラッシュメモリ市場は2027年後半には供給不足の状態が解消されるとも予想されており、今後は世界のライバル企業との競合関係も焦点となる可能性がある。シェア低下の兆候を示すデータが発表された場合には、キオクシアの株価の上昇基調が崩れる可能性もありそうだ。
キオクシアの株価(285A)の14日の終値は前日比では3.75%高の5万3740円。7日の終値は4万7730円で、1週間で12.59%高となった。キオクシアの株価は6月22日の最高値が3月末比5.7倍にあたる10万8700円となった後、7月29日の直近の安値(3万8380円)が最高値から64.69%安となっていたが、復活の動きが進んでいる形だ。14日終値は直近の安値との比較で40.02%高となっている。
キオクシアの株価上昇の背景にあるのは驚異的な成長だ。キオクシアが7月31日の取引時間終了後に発表した4-6月期決算は、総収入が前年同期比5.1倍にあたる1兆7671億円、営業利益(non-GAAP)は29倍の1兆3262億円となった。発表された結果は、ブルームバーグがまとめた直前の市場予想の総収入1兆8356億円、営業利益1兆3701億円を下回る結果。しかし株式市場は爆発的な成長を好感し、決算発表の翌営業日にあたる8月3日の株式市場ではキオクシアの株価は前週末比5.72%高となった。キオクシアは3日から10日にかけて約8000億円(約1613万株)の自社株買いも実施している。
また、キオクシアの株価にとっては、サンディスク(SNDK)の株価の14日の終値が1週間前比で35.38%高となっていることも好材料といえる。サンディスクは2000年から、キオクシアの前身である東芝の半導体事業との協業を開始。現在はキオクシアと合弁会社を通じて生産設備を共有し、キオクシアが生産した加工済みウェハーを購入している。サンディスクは5日の取引時間終了後に行った決算発表で示した7-9月期の業績見通しが市場予想に届かず、株価は翌6日に前日比6.81%安、7日も3.68%安となっていたが、10日から14日は5日続伸と急反発した。サンディスクは13日、2030年6月期までの3年間、総収入が「10%台半ばから後半」の成長率を達成できるとの見通しを示し、株価が前日比13.67%高となった。
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さらに、日本の株式市場でもAI株の上昇再燃への期待が高まっていることもキオクシアの株価には追い風。AI向け半導体システムに用いられる積層セラミックコンデンサ(MLCC)が注目される太陽誘電(6976)の株価は4月から7月初めにかけて株価が6.1倍に膨らんだ後、7月30日には株価が最高値から61%安になる激しい値動きをみせていたが、8月14日までの3日続伸では合計15.89%高となっている。
太陽誘電をめぐっては、8月12日、破綻寸前に陥った米国のAI投資特化のヘッジファンド、シチュエーショナル・アウェアネスが太陽誘電株を大量に買い集めた後、3日までにその多くを市場内や市場外で売却したことが分かっている。シチュエーショナルによる激しい売買が収まったとの見方が株高の材料とみなされたようだ。キオクシアの株価は同じAI関連株として、太陽誘電とも足並みをそろえて浮沈を繰り返してきただけに、キオクシアをめぐる投資家心理を明るくしている側面もありそうだ。
ただ、キオクシアの主力製品であるNAND型フラッシュメモリ市場をめぐっては、2027年後半には供給不足が解消され、価格上昇に歯止めがかかるとの見方も出ている。市場調査会社トレンドフォースは7月30日に公表したレポートで、NAND市場について「生産能力の拡大と個人向け家電製品の需要の弱さが続く中で、供給不足が解消されていく」と分析した。キオクシアの4-6月期決算では、スマートフォンやパソコン向けの「スマートデバイス」による収入が全体の3割にあたる5257億円となっているだけに、家電向けフラッシュメモリの供給余剰が価格下落につながるとの観測が広がれば、キオクシアの株価にとっては悪材料になりそうだ。
また、NAND型フラッシュメモリの価格下落が意識されるようになれば、キオクシアにとっては世界のライバル企業との競合も株価を動かす要因になりえる。トレンドフォースが5月25日に公表した2026年1-3月期のNAND型フラッシュメモリの市場シェア(収入ベース、ドル建て)に関する調査結果では、キオクシアのシェアは13.9%で、2025年10-12月期の14.1%からわずかに低下。首位のサムスン電子(31.6%)、2位のSKハイニックスグループ(17.6%)に次ぐ3位となり、サンディスクのシェア(13.9%)と合わせれば、2位とみなすこともできる。8月下旬の公表が見込まれる4-6月期の市場シェアの結果次第では、キオクシアの株価が大きく動く材料になることも考えられそうだ。
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