【米国株】S&P500とナスダック100の見通し(12/19):オラクル発のAI株売りも市場は冷静?
IG証券のアナリストによる今日の米国株見通し。オラクル発のAI相場懸念再燃も市場は意外と冷静?S&P500とナスダック100は続伸も。米国500と米国テク株100のチャート分析。
オラクル発のAI株売りがナスダックを直撃
オラクル(ORCL)発のAI関連株の売りが米株式市場の重石となっている。同社が10日発表した第2四半期(9-11月)決算では、総売上高やクラウド売上高がいずれも市場予想に届かず、株価は時間外で下落。
17日にはオラクルが進めるAI向けデータセンター計画から有力な米投資会社が撤退したと英紙フィナンシャル・タイムス(FT)が報道。AIインフラの過剰投資懸念が強まり、AI相場が再び調整売りに直面している。
オラクル決算後のS&Pセクター別パフォーマンスを確認すると、エヌビディア(NVDA)やマイクロソフト(MSFT)が属する情報技術セクターが4.9%安で最大。アルファベット(GOOGL)やメタ・プラットフォームズ(META)が属するコミュニケーション・サービスセクターも2%安と、S&P500の下落をけん引している。
S&Pセクター別パフォーマンス:12月11日~18日
ブルームバーグのデータで作成
ブルームバーグのデータで作成
AI関連株の売りはハイテク比率の高いナスダックを直撃している。特にナスダック100指数は約3%安と、S&P500やナスダック総合指数の下落率を上回っている(18日時点)。
米主要株価指数の変動率:12月11日~18日
市場参加者は冷静?
だが、投資家の心理が急激に悪化する状況にはない。VIXは現状、警戒水準とされる「20」を下回っている。VXNも20をやや上回る程度で、11月下旬や4月のトランプ関税懸念が強まった時のような上昇・急騰は見られない。
VIXとVXNの日足チャート:年初来
ブルームバーグのデータで作成
※VIX:S&P500を対象とするオプション価格から算出される予想変動率
※VXN:ナスダック100を対象とするオプション価格から算出される予想変動率
VIX/VIX3Mレシオは「1」を下回っている。このレシオが1未満の状態は、投資家が短期的なリスク—現在ではAI相場がさらに崩れるリスク—を強く意識していないことを示す。これらリスク指標の動きを総合すると、現在の米株安は調整相場の域にある。
VIX/VIX3Mレシオの日足チャート:年初来
ブルームバーグのデータで作成
※VIX3M:90日間の予想変動率
11月CPI鈍化、ミシガン期待インフレ率に注目
米労働省が18日公表した11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で2.7%上昇した。ブルームバーグがまとめた市場予想は3.1%だった。前年同月比のコア指数は2.6%の上昇と、ブルームバーグ予想の3.0%を下回った。政府機関の影響でデータの正確性には疑問符が付くが、18日の米市場は株価上昇・金利低下で反応した。
米消費者物価指数(CPI)の推移:過去1年間
ブルームバーグのデータで作成
米国500のチャート分析
日足チャートで米国500のトレンドを確認すると、50日線と90日線の攻防にあることが分かる。14日のIG米国株レポートでは今週の上限を6910と予想した。
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しかし、下降トレンドにあるMACD、50を下回るRSIのトレンドを考えるならば、今日の市場では昨日の反発を止めた半値戻しの水準6820までの上昇が限界と予想する。このテクニカルラインをトライするサインとして、50日線とフィボナッチ・リトレースメント38.2%戻しが重なる6790-6800ゾーンの攻防に注目したい。
チャートポイント
・6820:半値戻し、今日の上限予想
・6800:直下に50日線とフィボナッチ・リトレースメント38.2%戻し
一方、下値の焦点は6700の維持で変わらず。90日線(6730レベル)の下方ブレイクは、基準線と半値戻しの水準が重なる6714をトライするサインとなろう。6714の下方ブレイクは、6700をトライするサインとなろう。
チャートポイント
・6730:90日線
・6714:基準線、半値戻し
・6700:今日の下限予想
米国500の日足チャート:今年11月以降
TradingView提供のチャート
米国テク株100のチャート分析
17日のIG米国株レポートでは、今週の米国テク株100を上限予想を25600、下限予想を24300とした。18日の急反発を受け、24300をトライする可能性が後退。フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準24600レベルに下限予想の水準を引き上げる。
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半値戻しと基準線が重なる24830レベルの下方ブレイクは、直近2日間の安値レベル24660をトライするサインとなろう。このラインも下方ブレイクすれば、24600のトライを想定したい。
チャートポイント
・24830:基準線と半値戻しが重なる水準
・24660:直近2日間の安値レベル
・24600:今日の下限予想、61.8%戻し
米国テク株100が続伸する場合は、25200レベルのトライが焦点となろう。昨日は75日線(25130レベル)で反発が止められた。
ゼロラインを下回るMACDと50を下回るRSIのトレンドを考えるならば、25200レベルを突破しても急反落を警戒したい。その水準として注目したいのが、50日線が推移している25320レベルと25400レベルだ。15日の市場ではこれらのラインで反発が止められ、日足ローソク足は長い上ヒゲの陰線引けとなった。米国テク株100が続伸しても、25400までの反発が限界と予想する。
チャートポイント
・25400:今日の上限予想
・25320:50日線
・25200:レジスタンスライン
・25130:75日線
米国テク株100の日足チャート:今年11月以降
TradingView提供のチャート
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