米国株 週間見通し 8/11週:ナスダック100予想23200~24000、インフレ指標上振れなら調整売り警戒
強気相場を維持する米国株。ハイテク株の買いでナスダック100が騰勢を強めている。今週は米インフレ指標に注目。内容次第で調整売り要因になり得る。株価指数CFD「米国テク株100」の週間見通しと注目のテクニカルラインについてIG証券のアナリストが分かりやすく解説。

要点
・騰勢を強めるナスダック、今週も強気相場の維持を想定したい
・米利下げ期待はハイテク株を下支え要因に
・米インフレ指標に注目、調整売りの材料となる可能性も
・米国テク株100の週間予想レンジは23200~24000
強気相場を維持する米国株、騰勢を強めるナスダック
先週も米国株は強気相場を維持した。特にナスダックが騰勢を強めた。総合指数は週後半に連日で最高値を更新。ナスダック100も同じく最高値を更新した。週間の上昇率はいずれも3%を超え、他の指数を上回った。
米株価指数 週間変動率:8/4週

ブルームバーグのデータで作成
株高をけん引するハイテク株、利下げ期待が下支え
他の指数に比べてナスダックの上昇幅が拡大している状況は、ハイテク株が米株高のけん引役であることを示唆している。
この点を主要指数の相対的な強弱関係で確認すると、ナスダック100は米国を代表する企業で構成されるダウ平均株価、多くの機関投資家が運用のベンチマークにするS&P500種株価指数に対し、4月以降、相対的に強い状況が続いていることが分かる。
米株価指数 相対的な強弱関係の推移:年初来

ブルームバーグのデータで作成
※ナスダック100をダウ平均とS&P500で割った値(比)
従って今週も米国株が強気相場を維持できるかどうかはハイテク株次第となろう。注目すべきはマグニフィセントセブンである。先週の変動率を確認すると、調整売りに直面したマイクロソフト(MSFT)以外の銘柄が上昇した。
ナスダック100の上昇率を上回ったのは4銘柄。上昇率が13%でトップだったアップル(AAPL)、そして5%高で終えたエヌビディア(NVDA)には「米国内の投資拡大」という共通点がある。この点は関税リスクを回避できるとの期待につながる。
6.5%高となったアルファベット(GOOGL)は、エヌビディアと共に「AI関連銘柄」に位置付けられている。そのエヌビディアは先週8日に182.70ドルへ上昇し最高値を更新した。
マグニフィセントセブンの週間変動率:8/4週

ブルームバーグのデータで作成
8月に入り市場予想を下回る経済指標が続き、米国経済の先行き懸念が高まっている。先週のIG米国株レポートで述べたとおり、短期金融市場では9月以降、米連邦準備制度理事会(FRB)が景気懸念に対応するため連続利下げを行う可能性を意識する状況にある。
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FRBの人事を巡る報道も利下げ期待を高めている。トランプ大統領は7日、自身の立場に近いスティーブン・ミラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長をFRB理事に指名すると発表した。また、次期FRB議長の候補には7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを支持したクリストファー・ウォーラー理事や2023年までセントルイス連銀の総裁を務めたジェームズ・ブラード氏の名が挙がっている。ベッセント財務長官が人選を主導するというが、誰が次期FRBの議長に選任されても、トランプ米大統領の政策姿勢に近い人選が行われることが予想される。
景気不安とFRB人事は今後も米利下げ期待を高める要因として注視したい。そしてこの期待はハイテク株を下支えするだろう。後述する今週の米インフレ指標を無難に通過すれば、ハイテク株買いが続くと予想する。ナスダック100は新高値の水準の見極めが焦点となろう。
米インフレ指標、調整売りの要因となる可能性も
今週、米株高の調整要因として警戒したいのがインフレ指標である。12日に7月の米消費者物価指数(CPI)が発表される。ブルームバーグがまとめた市場予想では、インフレの粘着性が示される可能性がある。
米消費者物価指数(CPI)の推移:過去1年間

ブルームバーグのデータで作成 / 赤棒グラフ・ドット:7月予想、8月8日時点
15日の8月ミシガン大学期待インフレ率(速報値)にも注目したい。ブルームバーグがまとめた市場予想では、1年先と5~10年先の期待インフレ率がともに7月から低下の見込みにある。しかし、ニューヨーク連銀の月次調査によれば、7月の1年先インフレ期待は3.09%と、前月の3.02%から上昇した。5年先のインフレ期待も2.88%と、前月の2.61%から上昇した。
7月のCPIと8月のインフレ期待が予想外に上振れすれば、米利下げ期待の後退要因になり得る。また、15日発表の7月小売売上高が市場予想以下となれば、インフレと景気の後退が同時に進行する「スタグフレーション」が株式市場で再び意識される可能性もあろう。インフレ再燃やスタグフレーションの懸念は、米国株の調整売りを促すことが予想される。ナスダック100は後述するサポートラインの攻防に注目したい。
ミシガン大学期待インフレ率の推移:過去1年間

ブルームバーグのデータで作成 / 赤棒ドット:8月予想、8月8日時点
ナスダック100の週間見通しとテクニカル分析
週間予想レンジの上限:24000
今週もナスダック100は強気相場を維持する公算が大きい。同指数を原資産とする株価指数CFD「米国テク株100」の週間予想レンジ上限は24000レベルを想定。
ナスダック100は23600を意識する状況にあるが、米国テク株100はすでにこの水準を突破している。24000をトライするサインとして、まずは23700の攻防に注目したい。8日の高値23660の突破は23700をトライするサインとなろう。
米国テク株100が23700を完全に突破すれば2つのフィボナッチ・エクステンション、100%の水準23850と161.8%の水準23938を視野に上昇幅の拡大を予想する。後者の23938を突破する場合は、24000のトライを意識したい。
レジスタンスライン
・24000:週間予想レンジの上限
・23938:フィボナッチ・エクステンション161.8%
・23850:フィボナッチ・エクステンション100%
・23700:レジスタンスライン
週間予想レンジの下限:23200
今週の米経済指標が米国テク株100の調整売りを促す場合は、100ポイント幅のサポートラインの攻防に注目したい。いずれの水準もサポートラインへ転換する可能性がある(1時間足チャート、赤矢印を参照)。
週間の予想レンジ下限は23200を想定。すぐ上の水準には、ナスダック100の10日線が推移している(8月8日時点で23251レベル、日足チャートを参照)。
「山高ければ谷深し」の相場格言がある。筆者の想定を超える調整売りで米国テク株100が23200を完全に下方ブレイクする場合は、23000の維持が焦点に浮上しよう。すぐ上の水準には、ナスダック100の25日線が上昇している(8月8日時点で23082レベル、日足チャートを参照)。
サポートライン
・23400:サポートライン
・23300:サポートライン
・23200:週間予想レンジの下限、10日線(8/8時点)
・23000:サポートライン、25日線(8/8時点)
ナスダック100のチャート:日足 6月以降

出典:TradingView
米国テク株100のチャート:1時間足 7月30日以降

出典:IG / TradingView
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