米国株見通し(6/6):テスラ14%急落、S&P500節目6,000の攻防は雇用統計次第
6月6日のS&P500予想。焦点は5月の米雇用統計。労働市場の軟化を示す内容ならば下落相場を警戒したい。上値の焦点は節目の6,000ポイントの攻防。個別では14%急落したテスラ株に注目。

記事の要点
・5日の米主要指数は下落した、労働市場の軟化を示唆する経済指標が続いている
・トランプ米大統領とマスク氏の対立が鮮明に、テスラ株が14%の急落
・今日は5月雇用統計が焦点に、労働市場の軟化を示唆すれば株安を警戒
・節目の6,000を意識するS&P500、下落相場では5,900ポイントの維持が焦点に
目次
※IG証券ではS&P500を「米国500」で取引可能
さえない雇用指標、S&P500は節目の6,000を意識
米労働省が5日発表した新規失業保険申請件数(5月31日までの1週間)が前週比8,000件増の24万7,000件と、2週連続で増加した。前日に発表された5月のADP雇用統計に続き労働市場の軟化が示されたことで、この日の米株式市場では主要指数が下落した。米国株式市場の時価総額の約80%をカバーするS&P500は、節目の6,000ポイントで反落。上値トライの局面では、このラインの攻防を意識することになろう。
S&P500のチャート:日足 今年3月以降

出所:TradingView

ブルームバーグのデータで筆者が作成
5日の急落でテスラ株は200日線のみならず50日線をも一気に下方ブレイクした。4月安値と5月高値のフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準272.87ドルがサポートラインとして意識されたが、日足のMACDとRSIのトレンドを考えるならば、政治の面だけでなくテクニカルの面でも下値トライを意識する状況に転じている。フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準が、次の下値ターゲットとなろう。
一方、反発の局面では、上で述べた2つの移動平均線の攻防に注目したい。これらがレジスタンスのラインへ転換すれば、地合いの弱さを市場参加者に印象付けるだろう。330ドルもレジスタンスラインへ転換する可能性がある水準として注視したい(下のチャート、赤矢印を参照)。
テスラ株のチャート:日足 今年4月以降

5月の米雇用統計、労働市場の軟化示唆なら株安警戒
冒頭で述べた新規失業保険申請件数の推移を確認すると、4週移動平均線が上昇の傾向へ転じている(下のチャート、赤ラインを参照)。失業保険継続受給者数は3,000件減少したが、高止まりの状況にある。これらの動向は、トランプ関税の影響で今後も労働市場がさらに軟化する可能性を示唆している。
米新規失業保険申請と継続受給者数の推移:週次 2024年以降

ブルームバーグのデータで筆者が作成
労働市場の軟化を示唆する雇用指標に加えて、5月のISM指数は製造業と非製造業でとも景気判断の分かれ目である「50」を下回った。ここまでの5月の経済指標は、いずれも米国経済の先行き不透明感を強める内容が続いている。
この状況で5月の米雇用統計までが労働市場の軟化を示唆する内容となれば、景気不安を意識した米株安を警戒したい。特に、非農業部門雇用者数変化が予想を下振れ、かつ失業率が予想外に上昇するケースでは、米国株の下落幅が拡大する可能性がある。今日のS&P500は、下で述べるサポートラインの攻防に注目したい。
米雇用統計 各項目の動向:過去1年間

ブルームバーグのデータで筆者が作成/ 赤の棒グラフとドット:5月予想
米国500の見通しとテクニカル分析
焦点は5,900の維持、ブレイクなら5,880が視野に
冒頭で述べたとおり、S&P500は節目の6,000ポイントを意識する状況にある。日足のストキャスティクスは買われ過ぎの水準から低下トレンドへ転じている。RSIも同じく低下トレンドへ転じるムードにある(いずれも下のチャート黒矢印を参照)。
S&P500のチャート:日足 今年3月以降

出所:TradingView
1日のIG米国株レポートでは、今週のS&P500の予想レンジ下限を5,720ポイントと想定した。しかし、5月株高の流れが続き節目の6,000ポイントを視野に上昇幅が拡大したことで、5,880ポイントを新たな下限と想定したい。
IG証券では、S&P500を株価指数CFD「米国500」で取引できる。原資産のS&P500と同じく米国500もまた、節目の6,000ポイントを意識する状況にある。このタイミングで5月の米雇用統計が労働市場の軟化を示唆すれば、まずは5,900ポイントの維持が焦点となろう。すぐ上の5,905ポイントでは、2つのフィボナッチ・リトレースメント38.2%戻しと61.8%戻しの水準が重なっている。テクニカルの面でも5,900ポイントは今日の重要サポートラインと想定したい。昨日の下落を止めた半値戻しの水準5,924ポイントの下方ブレイクは、5,900ポイントを目指すサインと捉えたい。
節目の6,000ポイントの攻防、最高値圏まで一気に上昇してきた経緯、そして週末を控えたタイミングであることも考えるならば、調整売りの進行で5,900ポイントを下方ブレイクする展開も想定したい。このケースでは、5,880ポイント付近まで下落幅が拡大する可能性がある。このラインを挟んで、5月30日の安値が基点のフィボナッチ・リトレースメント76.4%戻し(5,881ポイント)と5月23日の安値を基点とした半値戻し(5,875ポイント)が展開している。
サポートライン:1時間足
・5,924:半値戻し(5/30安値起点)
・5,905:38.2%戻し(5/23安値起点)、61.8%戻し(5/30安値起点)
・5,900:サポートライン
・5,880:予想レンジの下限
米国500のチャート
1時間足:5月23日以降

出所:IGチャート
まずは6,000ポイントの攻防
一方、S&P500の予想レンジ上限は、1日のIG米国レポートで指摘した6,050ポイントを維持する。しかし、昨日の下落でこの水準をトライする可能性は低下している。まずは、冒頭で述べた節目の6,000ポイントの攻防が本日の焦点となろう。
昨日の米国500は、高値6,005ポイントまで上昇する局面が見られた(上の1時間足チャートを参照)。本日、この高値水準を一気に突破する株高となれば、瞬間的に6,050ポイントをトライする可能性が出てくる。この水準は2月24日の高値にあたる。
レジスタンスライン
・6,050:2月24日の高値水準
・6,005:6月5日の高値水準
・6,000:節目のライン
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