米国株 週間見通し(9/29~10/3):S&P500予想6530~6750、米雇用指標で利下げ観測修正なら下落警戒
S&P500の週間見通し。今週は米雇用指標が焦点に。9月雇用統計をはじめ強い内容が続けば、利下げ見通しの修正による株安を警戒。株価指数CFD「米国500」の重要水準についてIG証券のアナリストが詳細解説。

要点
今週の米株式市場は雇用指標をにらんだ展開が予想される。利下げ期待を意識した「金融相場」にあるなか、強い雇用指標が続けば利下げ見通しの修正による株安を警戒したい。心理的節目のライン6700の攻防が注目されるS&P500。同指数を原資産とする株価指数CFD「米国500」の週間予想レンジは6530~6750を想定。
S&P・ナスダック4週ぶり下落、ハイテク株に買い疲れ
先週の米株式市場で主要3指数は週次下落となった。ナスダック総合指数と100指数は4週ぶりに下落。米株式市場の時価総額の約8割をカバーするS&P500種株価指数(以下、S&P500)も下落で終えた。
米主要株価指数の週間変動率:2025年5月以降

ブルームバーグのデータを基に作成

ブルームバーグのデータを基に作成
9月に入りナスダック総合指数は4.8%高、100指数は4.65%高、S&P500は2.84%高と、いずれも今年6月以来の大幅上昇にある(9/26時点)。株高のけん引役である大手ハイテク株に買い疲れが見られる中、後述する米雇用指標が総じて強い内容となれば、今週の米国株は下落を警戒したい。
焦点は米雇用指標、3日に9月雇用統計、下落警戒
現在の米株式市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利下げを意識する「金融相場」の様相を呈している。米FRBは雇用の下振れリスクを理由に、9月の米連邦公開市場委員会で0.25%の利下げを決定した。したがって10月と12月に連続で追加利下げに踏み切るかどうかは、労働市場の動向に左右されるだろう。
今週は9月30日の8月JOLTS求人件数を皮切りに、10月1日に9月ADP雇用統計、2日に週間の新規失業保険申請件数と、雇用指標の発表が相次ぐ。労働市場の堅調さを示唆する内容が続けば、市場は利下げ見通しの修正を余儀なくされるだろう。
市場参加者が最も注視するのが、10月3日の9月米雇用統計だ。市場コンセンサス(ブルームバーグがまとめた市場予想)では、非農業部門雇用者数(前月比)が5.0万人増と低い伸びが予想されている。一方、失業率は4.3%と前月から横ばいが見込まれている。労働市場の軟化を示唆する内容となれば、利下げ期待を意識した米株高が予想される。
問題は、予想外に強い内容となる場合である。労働市場の軟化が警戒される中、逆に労働市場の堅調さを示唆する内容となれば、最高値圏にある米国株の調整売りを促すトリガーとなろう。
雇用統計前に発表される指標で予想を上回る内容が続いた後、強い雇用統計が重なれば、米金利の反発がさらに進行することで、株高をけん引しているハイテク株には調整売りの圧力が高まることが予想される。この場合、S&P500を原資産とする株価指数CFD「米国500」には、相当の下落圧力がかかる展開を警戒したい。
現在の金融相場においては、「良いニュースは悪いニュース」となる可能性を意識しておく必要がある。
米雇用統計 各項目の動向:過去1年間

ブルームバーグのデータを基に作成 / 赤の棒グラフ・ドット:9月の市場予想
米国500のテクニカル分析
予想レンジの上限:6750
先週26日の市場でS&P500の続落が止まった。先週の下落は高値警戒感を後退させる程よい調整相場となった可能性がある。前述した今週の雇用指標が米株高の要因となれば、S&P500は節目のライン6700のトライおよび突破が予想される。同指数を原資産とする「米国500」は、以下にまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。
最初の焦点は10日線の攻防となろう。先週26日の反発を止めたこの移動平均線を突破する場合は、4時間足チャートの6600ラインのトライを想定したい。この水準はレジスタンスラインに転換する可能性がある(4時間足、黒矢印を参照)。
米国500が6600を突破すれば、節目の6700の攻防を意識したい。テクニカルの面ではフィボナッチ・エクステンション100%の水準6718の突破が焦点となろう。このテクニカルラインの上方ブレイクは、さらなる上値トライのサインとなろう。
先週26日の終値6644(IGレートの中値)から約100ポイント上の水準6750を今週の上限と想定したい。
レジスタンスライン
・6750:予想レンジの上限(4時間足)
・6718:フィボナッチ・エクステンション100%(4時間足)
・6700:心理的節目のライン(4時間足)
・6660:レジスタンスライン(4時間足)
・6644:10日線(9/26時点、日足)
予想レンジの下限:6530
日足のMACDがデッドクロスへ転じ、強気地合いの勢いが後退気味であることを示唆している。今週の米雇用指標が調整売りを促す場合、米国500は以下にまとめたサポートラインの攻防に注目したい。
最初の焦点は6600の維持となろう。先週26日の市場では、このラインを下抜ける局面が見られた。しかし、ローソク足の実体で維持した。
米国500が6600ラインを下抜ける場合は2つの水準、6570と6560の攻防に注目したい(4時間足、青矢印を参照)。6570は、8月安値と現時点での9月高値のフィボナッチ・リトレースメント38.2%の水準にあたる。25日線もこのテクニカルラインと交差している。重要テクニカルラインが重なる6570を下方ブレイクする場合は、サポートラインへの転換が確認された6560の攻防が焦点に浮上しよう。
米雇用指標次第では、最高値圏にある米国500の調整売りが加速する可能性がある。6560をも下方ブレイクする展開となれば、半値戻しの水準6530への下落を警戒したい。このテクニカルラインを今週の下限と予想する。
サポートライン
・6600:サポートライン(4時間足)
・6570:38.2%戻し(日足)
・6560:サポートライン(4時間足)
・6530:予想レンジの下限、半値戻しの水準(日足)
米国500の日足チャート:2025年8月以降

TradingView提供のチャート
米国500の4時間足チャート:9月以降

TradingView提供のチャート
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。