原油価格、急騰 WTI一気に61ドル台 イラン反政府デモが緊迫
WTIは1週間で10%の急騰。イラン反政府デモが材料視された。原油の過剰供給の長期化も見込まれているが、原油安の一服も考えられる。
原油価格が急騰した。原油先物市場の指標価格であるWTI(翌月渡し)は日本時間14日未明の取引で1バレル=61ドル台半ばをつけ、約2カ月ぶりの高値を記録。1週間で10%超の上昇をみせた。12月下旬から続いているイランの反政府デモが激化し、アメリカによる軍事介入の可能性も取り沙汰されているためだ。イランは世界7位の産油国で、イラン情勢の混乱が長期化していった場合には原油供給が低下するとの見通しも成り立つ。一方、石油市場をめぐっては、過剰供給が2027年まで続くとの予想も示されており、原油価格への下押し圧力はかかり続けている。ただ、相次ぐ地政学リスクの高まりが原油価格を上昇させたことも間違いなく、原油価格の下落に一服感が出ることも考えられそうだ。
WTIは一時61.50ドル 1週間での10%上昇で2カ月ぶり高値
WTI(翌月渡し、WTI原油)は日本時間14日午後4時4分段階で1バレル=60.76ドルで取引されている。ブルームバーグによると、午前1時台には61.50ドルをつけ、2025年11月3日(61.50ドル)以来の高値となった。WTIは7日には55.76ドルで取引される場面もあったが、1週間で5.74ドル(10.29%)もの値上がりを記録したことになる。
イランの反政府デモは死者2400人との報道 世界7位の産油国が混乱
原油価格を値上がりさせたのはイラン情勢の緊迫だ。イラン各地では12月下旬から物価高騰などに対する抗議デモが継続。デモ集団は最高指導者のアリ・ハメネイ師への批判も口にしているとされ、イラン政府が治安部隊による鎮圧に乗り出している。米国に拠点を置く人権団体「ヒューマン・ライツ・アクティビスツ・ニュース・エージェンシー(HRANA)」は13日、これまでに1万8434人の逮捕が確認され、デモ参加者からの死者は2403人に上っていると報じた。
こうした中、米国のドナルド・トランプ大統領は13日朝(日本時間13日深夜)、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、「イランの愛国者」に対して、「抵抗を続け、統治機構を掌握せよ!!!」と投稿。また、「援助は向かっているところだ」とも言及し、反政府デモを支援する姿勢を明確にした。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、トランプ政権内ではイランへの軍事介入も選択肢として挙がっていると報じている。
米エネルギー情報局(EIA)の2024年のデータによると、イランの原油生産量は日量397万バレル。世界の原油生産の4.8%を占める世界7位の産油国だ。3日にトランプ政権がニコラス・マドゥロ大統領を拘束したベネズエラと比べて4.6倍の生産量がある。このためイランの国内情勢がさらに悪化したり、米国による軍事介入が現実味を増したりすれば、イランの原油生産が抑制されるとの見方が原油価格への上昇圧力を強めることも考えられそうだ。
石油の過剰供給は2027年まで続く見通し 地政学リスクは価格上昇要因
一方、原油市場をめぐっては、過剰供給見通しも維持されている。EIAが13日に発表した1月の短期エネルギー見通し(STEO)では、2026年の世界の平均石油生産量は日量1億0765万バレルで、2025年から日量138万バレル増えるとの見通しが示された。さらに2027年についても2026年の見通しから日量52万バレル増えると予想されている。同時に2027年までは一貫して石油生産が需要を上回るとの見立てで、原油価格にとっては下落要因だ。EIAは1月STEOでの見通しは、ベネズエラへの経済制裁が2027年まで維持されることを前提としていると説明している。
原油の過剰供給の長期化が意識される中、原油価格には今後も下落圧力がかかり続ける展開が想定される。ただ、年明け以降、ベネズエラとイランでの地政学リスクが相次いで材料視されたことが原油価格への上昇圧力を強めていることは確かで、原油の過剰供給が原油価格を値下がりさせる効果は、徐々に弱まっているとみることもできそうだ。
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