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テスラ、株価一時5%急落 マスク氏効果不発 株主総会へ緊張感も

テスラの7-9月期決算は利益が3割減少。マスク氏はヒト型ロボットの来年中の生産開始を示唆したが、株価は急落している。

テスラ、株価一時5%急落 マスク氏効果不発 株主総会へ緊張感も 出所:ブルームバーグ

電気自動車(EV)大手テスラが22日の取引時間終了後に行った2025年7-9月期決算発表は、株価上昇の勢いを再加速させることに失敗した。テスラの7-9月期決算は利益が前年同期比で3割減少するという厳しい結果。イーロン・マスクCEOは決算会見で、人工知能(AI)を搭載したヒト型ロボットの来年中の生産開始を示唆するなどしたが、投資家の期待は盛り上がらず。テスラの株価は22日の時間外取引で一時、5%近く急落し、4月の底値から約半年で2倍超になった株価上昇の勢いが途絶えた。一方、テスラは10-12月期の販売が苦戦するとみられ、テスラ自身も2025年通期の販売見通しを示すことができない状況にある。11月6日の株主総会で諮られるマスク氏への巨額報酬案に反対意見が出ていることもあり、テスラの株価の今後の値動きが大きくなることも考えられそうだ。

テスラの7-9月期決算は1株当たり利益が30.6%減 AI開発費用など重荷

テスラの7-9月期決算は総収入が前年同期比11.6%増の280.95億ドルで、四半期としては過去最高の数字。一方、テスラ決算で注目される調整ベースの1株当たり利益(EPS)は30.6%減の0.50ドルだった。ブルームバーグがまとめた直前の市場予想は、総収入が263.64億ドル、1株当たり利益が0.54ドル。発表された実績は、総収入では市場予想を大きく上回ったものの、1株当たり利益では予想を下回る結果だった。

テスラの業績の推移のグラフ

テスラの利益が急減したのは自動運転などに用いられるAIの開発にかかる費用が増したことなどが要因。また、バイブハブ・タネジャCFOは22日の決算会見で、ドナルド・トランプ大統領の高関税政策による悪影響が7-9月期だけで4億ドル超あったとも述べた。またEV専業のテスラが他の自動車メーカーに温暖化ガス排出枠を売却することで得ている収入が43.6%減の4.17億ドルとなったことも、利益を押し下げる要因となっている。テスラは事業の軸足をEVから自動運転車やロボットなどの製造販売に移すとしているが、足元の経営環境は厳しいといえそうだ。

ヒト型ロボットは来年中に生産開始 次世代コンピューターは40倍の性能に

こうした中、マスク氏は決算会見で、テスラは「変曲点にある」と強調。監視者を必要としない完全自動運転車の実現に自信を示し、量産を急ぐ考えを表明した。またAI搭載のヒト型ロボット「オプティマス」については「優秀な外科医」にもなれるとし、自動運転とともに貧困撲滅や医療体制の充実に貢献できる存在だとの考えを示している。次世代型のオプティマスは2026年2月か3月にプロトタイブを公開し、年末までの生産開始を目指すという。

またマスク氏は自動運転用の次世代コンピューター「AI5」について、韓国のサムスン電子と台湾積体電路製造(TSMC)とともに開発を進めているとも言及。AI5は現行のAI4と比べて40倍も高性能だと説明した。システムの設計を「革新的なシンプルさ」にすることで消費電力当たりの処理能力を大幅に高めたという。

株価は時間外取引で一時5%近く下落 マスク氏のビジョンに沸かず

ただ、マスク氏のビジョンは投資家の期待に火をつけることはできなかったようだ。ブルームバーグによると、テスラの株価(TSLA)は22日の時間外取引で一時、417.66ドルまで下落。直前の終値(438.97ドル)との比較では4.85%安となった。テスラの株価は4月8日の底値(221.86ドル)から、10月1日につけた年初来高値(459.46ドル)まで約2.1倍に値上がりしてきたが、再加速はならなかった。

テスラの株価と予想株価収益率の推移のグラフ

10-12月期の業績も不振か 株主総会でマスク氏への報酬否決なら株価急落も

テスラの株価をめぐっては、10-12月期の業績も苦戦する公算が大きいという悪材料がある。テスラの7-9月期の総収入が四半期として過去最高となったのは、7月に成立した減税関連法案でEV購入時の補助金が9月末で打ち切られることが決まり、米国内で駆け込み需要が発生したことが要因。10-12月期は反動による販売急減も予想される。テスラは22日の決算発表に際し、2025年通期の販売の見通しを示すことができなかった。ブルームバーグによると、金融市場ではテスラの2025年通期の販売台数は前年比8.9%減の162万9145台と見込まれている。

さらにテスラの株価にとっては11月6日に開かれる株主総会も焦点となる。株主総会ではマスク氏に10年間で最大1兆ドル相当の報酬を支払う議案などが諮られるが、議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)やグラスルイスはマスク氏への報酬案に反対することを推奨しているという。報酬案が否決された場合には、マスク氏の手腕への期待で値上がりしてきたテスラの株価への逆風が強まる可能性があり、株主総会に向けて株価の値動きが大きくなることも考えられそうだ。


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