米国株見通し(8/13):S&P500最高値更新、次の焦点は6500 経済指標とハイテク株にらみ
米国株は7月CPIを無難に通過。12日の市場でS&P500は終値で初の6400ドル台へ上昇した。根強い利下げ期待を背景にハイテク株買いが継続。S&P500の焦点は新たな高値水準の見極めにある。株価指数CFD「米国500」の注目ラインについて、IG証券のアナリストが分かりやすく解説。

要点
・12日の市場でS&P500とナスダックが最高値を更新
・ラッセル2000の上昇は、米株の強気相場に勢いがあることを示唆
・利下げ期待でハイテク株買い続く、S&P500は新高値の水準が焦点に
・米国500の予想レンジは6365~6500(15日まで)
7月CPIを無難に通過、S&Pとナスダック最高値、ラッセル3%高
市場参加者が注視していた7月米消費者物価指数(CPI)はおおむね予想の範囲内だった。しかし、サービス価格の上昇で前年同月比コア指数の伸び率が3.1%と、前月の2.9%から上昇した。ブルームバーグ予想の3.0%も上回った。
注目すべきは米債市場の反応だ。10年債利回り(長期金利)は4.31%付近で上昇が抑制されると4.28%台まで低下した。金融政策の方向性を織り込んで動く2年債利回りも米CPI発表後に上昇する場面が見られた。しかし、10年債利回りと同じく上昇は限定的だった。これら米金利の反応は、インフレ再燃については様子見の一方、米利下げを意識していることを示唆している。
米金利のチャート:5分足 7月米CPI発表~12日午前7時

出典:TradingView
7月CPIが市場参加者を安堵させたことで、12日の米株式市場でS&P500種株価指数(以下ではS&P500)は前日比72.31(1.13%)高の6,445.76で終えた。終値で初めて6400台へ上昇し、最高値を更新した。ナスダックも総合指数と100指数がともに最高値を更新した。この日の上昇率はS&P500を上回った。
筆者が注目しているのが、ラッセル2000である。先週は50日線が200日線を上方ブレイクし、ゴールデンクロスが確認された。12日の市場では前日比3%高と、主要指数の中で最も上昇し終値で2280を回復した。7月23日以来である。中小型株で構成され、市場センチメントの変化に敏感なラッセル2000の騰勢が強まっている状況は、今の強気相場に勢いがあることを示唆している。
米株価指数の変動率:8月12日

ブルームバーグのデータで作成

ブルームバーグのデータで作成
短期金融市場では、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げ確率が90%台にある。今年12月末までの政策金利の予想水準は3.7%台。FOMCの参加者が想定する年2回の利下げを織り込む状況にある。
米政策金利の予想推移

ブルームバーグのデータで作成
※ OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)に基づく予想、8/13午前11時時点
筆者は10月のFOMCにも注目している。ブルームバーグのデータによれば「雇用統計ショック」後、OISに基づく10月利下げの予想確率は60~70%台で推移している。ボウマン副議長(銀行監督担当)は9日、年内に3回の利下げを実施すべきとの考えを示した。現状、ベースシナリオは2回の利下げである。しかし、今後の経済指標でインフレが抑制される一方、景気不安がさらに高まる場合は、米FRBが連続で利下げに踏み切る可能性がくすぶるだろう。
明日は7月の生産者物価指数(PPI)が発表される。ブルームバーグがまとめた最新の市場予想を確認すると、前月比と前年同月比でともに前月からインフレの伸びが加速する見込みである。予想外に上振れる場合は、株高の調整要因として警戒したい。
一方、7月CPIと同じく予想の範囲内におさまる内容となれば、米利下げ期待とハイテク株買いを促す要因となろう。S&P500を原資産とする株価指数CFD「米国500」は、後述するレジスタンスラインの攻防に注目したい。
米生産者物価指数(PPI)の推移:過去1年間

ブルームバーグのデータで作成 / 赤棒グラフ・ドット:7月予想、8月13日時点
米国500の見通しとテクニカル分析
予想レンジの上限:6500
S&P500が対象のオプション取引のボラティリティ(変動率)を元に算出されるVIX指数は現在、14ポイント台の低い水準にあり落ち着いた投資家の心理を示唆している。
VIX指数のチャート:日足 3月以降

ブルームバーグのデータで作成
S&P500は昨日、終値で初めて6400台へ上昇した。同指数が原資産の株価指数CFD「米国500」も同じく6400台の攻防にある。フィボナッチ・エクステンション100%の水準6447レベルを突破すれば、さらに最高値を更新する展開を想定したい。
今日以降、米国500が上昇基調を維持する場合、注目したいのが6500レベルである。この水準には、3つのフィボナッチ・エクステンションが密集している(4時間足、緑矢印を参照)。この水準を15日までの予想レンジの上限と想定したい。
6447レベルを6450レベルと想定する場合、米国500の上昇局面では10ポイント幅で上値の攻防を見極めたい。6490の上方ブレイクは、6500をトライするサインと想定したい。
レジスタンスライン
・6500:予想レンジの上限(15日まで)
・6460、70、80、90:レジスタンスポイント(10ポイント幅)
・6447:エクステンション100%
予想レンジの下限:6400
4時間足のRSIとストキャスティクスは買われ過ぎの水準へ上昇している。米国500は短期的な相場の過熱感が意識されやすい状況にある。上述した7月PPIの他、15日の7月小売売上と8月ミシガン大学期待インフレ率(速報値)が米株高の調整要因となれば、米国500は以下にまとめたサポートラインの攻防に注目したい。
米CNNが提供している「Fear & Greed Index」は現在、「GREED」の範囲にある。「EXTREME GREED」にある場合は急反落の可能性を意識すべきところだが、米金利の上昇が抑制され、かつVIX指数が低い水準で推移し続けている状況も考慮するならば、米国500が下落しても6400の水準がサポートラインへ転換する可能性がある。6425レベルの下方ブレイクは、6400をトライするサインと捉えたい。
米国500が6400を下方ブレイクしても、サポート転換が確認された6365レベルで調整売りが終わることが予想される。この水準を15日までの予想レンジの下限と想定したい。
サポートライン
・6425:サポート転換が焦点に
・6400:節目の水準、サポート転換が焦点に
・6365:予想レンジの下限
米国500のチャート
4時間足 6月下旬以降

出典:TradingView
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