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米国株、波乱リスク拡大 S&P500急落 スペースX上場も試金石に

S&P500は1.62%安。トランプ氏のイラン攻撃表明が投資家心理を冷やした。12日のスペースX上場後の値動きも今後の見通しを占う意味を持ちそうだ。

米国株、波乱リスク拡大 S&P500急落 スペースX上場も試金石に 出所:ブルームバーグ

アメリカの株式市場の下落リスクが高まっている。S&P500種株価指数の10日の終値は前日比1.62%安の急落。大手ハイテク株の値下がりが足を引っ張った。中東情勢をめぐり、ドナルド・トランプ大統領がイラン攻撃再開を表明したことが投資家心理を冷やした結果だ。一方、10日に発表された5月の消費者物価指数(CPI)は物価上昇率が3年1か月ぶりの高さになったとはいえ、市場予想に沿った水準にとどまり、S&P500の下落に拍車をかけることはなかった。ただ、中東情勢の緊張が原油価格を上昇させ、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが一層遠のいたことがS&P500にとっての悪材料であることは間違いない。こうした中、12日に予定される宇宙開発企業スペースXの新規株式公開(IPO)後の値動きは投資家の強気度を測る試金石といえ、S&P500の今後の見通しを占う重要性も持ちそうだ。

【関連記事】米国株、波乱リスク再燃の不安も S&P500週次反発 ハイテク株不振(2026年6月13日)

アメリカのS&P500は1.62%安の急落 最高値から4.50%安

S&P500(SPX)の10日の終値は7266.99 で、前日(前日比0.26%安)に続く値下がり。ブルームバーグによると、2日続落は5月19日までの3営業日続落以来で、10日終値は5月5日(7259.22)以来、約5週間ぶりの安値となった。6月2日の最高値(7609.78)からは4.50%安まで後退している。S&P500は5日にも5月雇用統計の過熱感を受けて2.64%安という急落をみせていた。

S&P500とアメリカの長期金利の推移のグラフ

テスラとエヌビディアが3%台後半の下落 マグニフィセント・セブンが不振

S&P500への影響が大きい「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の10日の値動きでは、テスラ(TSLA)が前日比3.80%安となったほか、半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)が3.73%安、アマゾン・コム(AMZN)が2.53%安となるなど、6社が値下がりした。BITA社が算出するマグニフィセント・セブン指数(MAGSEVEN)の10日の終値は前日比2.08%安で、4営業日続落の間に合計6.81%安となっている。

アルファベット、エヌビディア、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・コム、マイクロソフト、アップル、テスラの株価の推移のグラフ

米軍がイラン攻撃を再開 「恐怖指数」は2カ月ぶりの高水準に

S&P500に下落圧力をかけたのはイラン情勢をめぐる不安だ。トランプ氏は10日昼、ホワイトハウスで記者団に対して「今日、イランに激しい攻撃を加える」と表明。これに先立つ10日朝には、自身のSNSトゥルースソーシャルに「イランは自らに有利な結果をもたらす合意を得ようとして、交渉に時間をかけすぎた。今はその代償を払う時だ!!!」と投稿していた。米中央軍はその後、SNSのXへの投稿で、米国東部時間10日午後5時15分にイラン国内の複数の標的に向けた「自衛的な攻撃」を始めたと公表している。

中東情勢の緊張を受け、10日の金融市場では投資家心理が悪化。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)は10日の終値で22.22となり、4月7日(25.78)以来、約2カ月ぶりの高水準となった。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。

VIX指数とS&P500の推移のグラフ

5月CPIの上昇率は3年1か月ぶり高水準 市場予想とは一致

一方、投資家の注目が集まっていた10日朝発表の5月CPIはS&P500への下落圧力を強める結果にはならなかった。5月CPIでの総合指数の伸び率は前年同月比4.2%、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率は2.9%で、いずれもブルームバーグがまとめた事前予想と一致する水準。総合指数の伸び率は2023年4月(4.9%)以来の高水準とはいえ、投資家心理を大きく揺らすサプライズとはならなかった。S&P500の10日の取引は、朝方は前日比マイナス圏で始まった後、トランプ氏のイラン攻撃表明前の午前10時台にはプラス圏に復帰する場面もあった。

米国のCPIの上昇率の推移のグラフ

WTIは一時93ドル台まで上昇 FRBの利下げ見通しはさらに遠のく

ただ、中東での戦火の再燃がS&P500にとっての逆風であることは間違いない。ホルムズ海峡封鎖のさらなる長期化を予想させる事態は原油価格を上昇させており、米国を含む世界中の企業や個人の経済活動を下押しする要因だ。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(7月渡し、WTI原油)の10日の終値は前日比2.07%高の1バレル=90.03ドル。その後、日本時間11日午前8時台には93.64ドルをつける場面も出ている。

WTIの推移のグラフ

また、原油高がもたらす物価上昇圧力は、米国株式市場の追い風となると期待されていたFRBの利下げを遠のかせる要因でもある。ブルームバーグによると、10日の金融市場で見込まれている12月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は3.878%で、前日よりも0.011%ポイント高い水準となった。

FRBの政策金利の見通しの推移のグラフ

スペースXのIPOに4倍の応募 上場初日の値動きはS&P500の見通しを左右か

こうした中、12日に予定されるスペースXのIPO後の値動きは投資家の強気度を測る意味合いがある。ブルームバーグによると、スペースXが新規に公開する株式には募集の4倍を超える応募があるというが、IPO株への熱狂的な関心は短期的には上場直後がピークになるケースも多い。不安材料が山積する中でスペースXの株価上昇が失速すれば、株式市場で投資家心理の悪さが意識され、S&P500への下落圧力を強める可能性もありそうだ。


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