米国株、イラン戦争リスク解消か S&P500先物上昇 見通し不安も
S&P500の先物商品は25日に一時1%超の上昇。イラン和平実現が期待されているが、大詰めでの交渉難航が株価を揺らす恐れもある。
アメリカの株式市場で値上がり期待が膨らんだ。S&P500種株価指数に関連した先物商品は米国東部時間25日の取引で前週末比1%以上高い水準まで上昇。米国株式市場の3連休明けにあたる26日の取引に向けて勢いづいた。ドナルド・トランプ大統領が23日にイランとの和平協議が最終調整段階に入ったと示唆したことが好感されている。25日の金融市場では、原油価格の下落や長期金利の低下が進んでいて、イラン戦争リスクの解消が意識されているようだ。また、米国企業の業績をめぐっては利益成長への期待も強く、和平合意が実現すれば、株式市場全体のムードが明るくなることも考えられる。ただ、米国とイランの和平協議は大詰めの交渉で停滞する可能性もあり、今後の展開は予断を許さない。S&P500の26日の取引では引き続き、見通し不安が値上がりの足を引っ張る展開も考えられる。
アメリカのS&P500の先物価格は1%超の上昇 3連休明けへ勢い
米国の株式市場がメモリアル・デーのため休場だった25日、シカゴ・マーカンタイル取引所でのS&P500(SPX)に関連した先物商品は大きく値上がりした。ブルームバーグによると、EミニS&P500先物(6月限)は午前11時台に7569.75をつけ、前週末22日終値との比較で1.14%高となった。米国の株式市場は26日に3連休明けの取引が行われる。
米国とイランの和平が最終調整段階 原油価格や長期金利が低下
S&P500への期待を高めたのは米国とイランの和平協議への期待だ。トランプ氏は23日午後4時30分、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で、和平協議の覚書が最終調整段階にあると表明。ホルムズ海峡は開放されるとした。イランメディアのタスニム通信によると、覚書が合意に至った場合、30日間でホルムズ海峡に関する措置が実施され、同時に60日間かけてイランの核開発に関する協議が行われるという。
こうした中、25日の金融市場では原油価格が下落。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(7月渡し、WTI原油)は米国東部時間25日午後1時に89.41ドルまで値下がりし、22日終値との比較で7.44%安となった。6日につけた88.66ドル以来、約2週間半ぶりの安値水準だ。イラン戦争開始後の原油高は米国を含む世界各国の経済活動を縮小させかねないリスク要因なだけに、原油価格の下落はS&P500にとっては好材料だといえる。
原油価格の下落は物価上昇圧力の弱まりを連想させ、各国の長期金利を低下させた。ブルームバーグによると、日本の長期金利の25日の終値は2.694%で、前週末から0.057%ポイント低下。イスラエルと米国によるイラン攻撃前日にあたる2月27日からの上昇幅は0.583%ポイントに縮まった。25日の欧州の債券市場でも、フランスの長期金利が前週末比0.105%ポイント低下、ドイツの長期金利が0.092%ポイント低下となった。26日には米国の長期金利にも低下圧力がかかり、株式投資の相対的な魅力を高めることでS&P500の上昇を後押しすることも考えられそうだ。
米国企業の業績に期待 出遅れセクターの値上がりがS&P500の最高値更新後押しも
S&P500の上昇が期待される背景には、人工知能(AI)ブームを背景とした企業業績への期待の強まりもある。ブルームバーグによると、S&P500構成銘柄の今後12か月の予想1株当たり利益(EPS)は22日段階で351ドル程度。2月27日との比較で11%ほど高くなっている。この間のS&P500の上昇率は8.64%で、実際に米国とイランの和平協議が合意に達すれば、14日の最高値(7501.24)を超える値上がりも想定される。
またイラン戦争リスクが解消された場合には、AIブーム頼みというS&P500の弱みが和らぐ可能性もある。ブルームバーグによると、S&P500の11セクター別の指数の22日の終値を2月27日と比較すると、化学メーカーなどが含まれる素材セクターが6.56%安、ヘルスケアセクターが6.41%安、生活必需品セクターが5.06%安になるなど、5つのセクターがマイナス圏に沈んだままだ。原油価格やガソリン価格の下落が進めば、株価上昇が出遅れてきた銘柄の値上がりがS&P500の上昇を後押しすることも考えられる。
トランプ氏は圧力を継続 和平合意実現に時間がかかればS&P500に動揺も
ただ、米国とイランの和平協議をめぐっては、大詰めで難航するとの懸念が拭えない。トランプ氏は24日にはSNSに合意を急がないと投稿。さらに25日午前8時台の投稿ではイランとの交渉について「順調だ」としたうえで、午後5時台の投稿でイランが保有する濃縮ウランについて即時に米国に引き渡されるなどの措置が取られるとするなど、矢継ぎ早の情報発信を続けている。一方、ブルームバーグはイランメディアの報道に基づき、米国とイスラエルの戦闘機がホルムズ海峡で複数のイラン船舶を攻撃したとしており、トランプ氏はイランへの圧力を強めることで譲歩を引き出す考えのようだ。
こうした中、S&P500の先物商品は25日午後6時以降の取引では上げ幅を縮めている。和平合意の実現に時間がかかれば、原油価格や金利上昇が再燃する恐れもあり、26日のS&P500の値動きは和平協議をめぐる思惑で揺れ動く可能性がありそうだ。
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