米国株、見通しに明るさ S&P500に和平期待 半導体株は上昇一服
S&P500は5営業日続伸で連日の最高値。イラン和平への期待が続いている。トランプ氏は合意を急がない立場だが、楽観ムードは強い。
アメリカの株式市場の見通しに明るさが増している。S&P500種株価指数の27日の終値は5営業日続伸で、連日の最高値更新。人工知能(AI)ブームが追い風となっている大手ハイテク株も堅調さを維持した。米国とイランの和平協議が合意に向かっているとの期待が続いていることが要因で、原油先物市場の指標価格であるWTI(7月渡し)は27日、終値として5週間半ぶりに1バレル=90ドルを割り込んでいる。一方、ドナルド・トランプ大統領はイランとの合意を急いでいるわけではなく、和平実現には時間がかかる可能性もある。こうした中、27日の取引では半導体各社の株価が値下がりし、連日の急騰に一服感が出た。また、28日に発表される4月の物価指標で、物価上昇の過熱が感じられれば、株式市場の強気に冷や水がかかる可能性もある。ただ、戦争終結期待がもたらす投資家心理の改善はS&P500の見通しにとっての大きな安心材料で、今後も上昇基調が続く展開が想定されそうだ。
アメリカのS&P500は5営業日続伸で2.27%高 連日の最高値更新
S&P500(SPX)の27日の終値は前日比0.02%高の7520.36。前日に続く最高値の更新となった。ブルームバーグによると、5営業日続伸の間の上昇率は2.27%高で、トランプ氏がイランとの和平協議が「最終段階にある」と述べた20日以降の上昇基調が維持されている。また株式市場の不安材料となってきた長期金利(10年物国債利回り)の上昇も反転。27日の終値(4.484%)まで5営業日連続で前日からの低下が続き、26日と27日は2日連続で4.5%割れとなった。
米国とイランの和平協議は継続 原油価格は5週間半ぶりの低水準まで下落
S&P500の上昇の背景には米国とイランの和平協議が継続されていることがある。イランメディアのタスニム通信は27日、和平合意が成立した場合には、第一段階の措置として、経済制裁で凍結されている240億ドルのイラン資産のうち120億ドルをイランに返還することや、イランによるホルムズ海峡封鎖と米国によるイランに対する海上封鎖が「30日以内」に解除されることなどが検討されていると報じた。
イラン戦争が終結に向かっているとの見方を受け、27日の金融市場では原油価格の下落が進行。ブルームバーグによると、WTI(7月渡し、WTI原油)の27日の終値は前日比5.55%安の1バレル=88.68ドルとなった。WTIが終値で90ドルを割り込むのは、4月20日(89.61ドル)以来だ。原油高は米国を含む世界各国での経済活動を縮小させる恐れがあるだけに、原油価格の下落はS&P500にとっての好材料といえる。
トランプ氏は和平協議で持久戦の構え 半導体株は急上昇に一服感
一方、トランプ氏はイランとの協議に時間をかけて臨む姿勢で、ほぼ横ばいだったS&P500の27日の値動きには勢い不足も感じられる。トランプ氏は27日の閣議に際しては、戦争の長期化が11月の中間選挙で共和党を不利にするとの見方に関して、「中間選挙を気にすることはない」と言及。26日にテキサス州で行われた共和党の上院選挙予備選で、トランプ氏が支持するケン・パクストン州司法長官が共和党重鎮の現職ジョン・コーニン上院議員を破ったことを踏まえ、「国民は理解してくれている」と述べた。トランプ氏は焦点となっているイランが保有する濃縮ウランの扱いについては、中国やロシアに引き渡す案を否定し、イランとの間の溝も感じさせた。
こうした中、27日の取引では半導体株の下落が目立った。クアルコム(QCOM)の株価の27日の終値は前日比6.20%安で、前日までの4営業日続伸での合計27.20%高の勢いが停止。アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)と半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(AMAT)も5営業日ぶりの反落となった。S&P500種構成銘柄ではないものの、英半導体大手アーム・ホールディングス(ARM)の株価も5.76%安となり、前日までの6営業日続伸(53.58%高)から反落した。
物価上昇の過熱感は? 投資家心理の改善でS&P500への悪影響は一時的か
また、原油価格の高止まりが物価上昇を過熱させるとの懸念は引き続き、S&P500にとっての懸念材料だ。28日午前8時30分(日本時間28日午後9時30分)に発表される4月の個人消費支出(PCE)物価指数で、物価上昇圧力の強さが示されれば、株式市場の楽観ムードに冷や水がかかる恐れもある。ブルームバーグがまとめた市場予想では、4月PCE物価指数の伸び率は前年同月比3.8%と見込まれ、前月(3月)の3.5%から物価上昇が加速する見通し。食品とエネルギーを除いたコア指数でも3.3%となり、前月(3.2%)よりも伸び率が大きくなると予想されている。
ただ、米国とイランの和平協議に時間がかかったとしても、いずれは合意に達すると期待できるのであれば、投資家にとっては大きな安心材料だ。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の終値は27日の終値で前日よりも4.23%低い16.29となり、1月26日(16.15)以来の低水準となった。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。
このため4月PCE物価指数で物価上昇の根強さが示されたとしても、イラン和平への期待がつながっていれば、S&P500への下落圧力は一時的にとどまる可能性もある。S&P500の今後の見通しをめぐっては、最高値の更新が続く筋書きも考えられそうだ。
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