米国株、イラン戦争で見通し悪化 S&P500反落 労働市場リスクも
S&P500は3営業日ぶり反落。イランの強硬姿勢が投資家心理を悪化させた。5日の3月雇用動態調査などを機に下落圧力が強まる可能性がある。
アメリカの株式市場の楽観ムードに影が差した。S&P500種株価指数の4日の終値は前週末比0.41%安で、3営業日ぶりの反落。大手ハイテク株では決算発表後に急騰したアルファベットの株価が4営業日ぶりの反落となり、上昇に一服感が出ている。4日にはイランがアラブ首長国連邦(UAE)に対するミサイル攻撃を行ったと伝わっており、石油の重要通商ルートであるホルムズ海峡をめぐる緊張感が再燃したことが悪材料視された。4日の金融市場では原油価格が値上がりしているほか、投資家心理も悪化しており、株式市場の見通しは悪くなったといえそうだ。一方、4日には米連邦準備制度理事会(FRB)幹部から、利下げ路線の維持を強調する発言が出ており、株式市場にとっては安心材料といえる。ただ、こうした情報発信とは裏腹に、4日の金融市場ではFRBが利上げを迫られるとの見方が強まっている。5日以降に発表される労働市場に関する経済指標が悪い結果とみなされれば、物価上昇と経済悪化への懸念で、S&P500の見通しがさらに悪くなる展開も考えられる。
アメリカのS&P500は最高値から反落 急騰の勢いが減速
S&P500(SPX)の4日の終値は7200.75で、前週末までの2営業日連続での最高値更新から反落した。S&P500は4月15日に2カ月半ぶりの最高値を更新した段階で、3月30日の底値から2週間半で10.71%高の急騰となっていたが、その後の足元までの2週間半での上昇率は2.53%高に減速している。
好決算だったアルファベットやアップルの株価の上昇に一服感
S&P500への影響度が大きい「マグニフィセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社の株価の4日の値動きでは、アルファベット(GOOGL)が前週末比0.63%安となり、4営業日ぶりに下落した。29日発表の2026年1-3月期決算が予想を覆す増益だったことが好感された株価上昇の勢いは弱まったといえる。このほか、アップル(AAPL)の株価も4日に前週末比1.18%安となり、30日の決算発表で示した4-6月期の総収入の強気な見通しを好感した値上がりが一息ついた。
イランがUAEにミサイル攻撃 原油価格上昇で投資家心理悪化
S&P500の上昇ムードに冷や水をかけたのは中東情勢の緊張感だ。UAEは4日、SNSのXアカウントへの投稿で、UAEの防空システムがイランからの弾道ミサイル12発、巡航ミサイル3発、ドローン4機に対応したと公表。ブルームバーグによると、フジャイラにある石油ターミナルが空爆を受けたという。イラン戦争をめぐっては、米国のドナルド・トランプ大統領が米国東部時間3日夕方、ペルシャ湾で動きが取れなくなっている民間船舶のホルムズ海峡通過を米軍が支援する「プロジェクト・フリーダム」を現地時間4日朝から実行すると発表。一方、イランのタスニム通信によると、イラン軍は4日、ホルムズ海峡に接近しようとした米国の駆逐艦に巡航ミサイルなどの警告発射を行ったとの声明を公表している。
イランの強硬姿勢がもたらしたホルムズ海峡周辺での緊張再燃は、原油価格を上昇させた。ブルームバーグによると、原油先物市場の指標価格であるWTI(6月渡し、WTI原油)の4日のニューヨーク市場での終値は前週末比4.39%高の1バレル=106.42ドルで、終値としては3営業日ぶりの反発となった。高止まりが続く原油価格は、物価上昇圧力を強める世界経済にとっての不安要素で、S&P500にとっても悪材料だ。
4日の金融市場では投資家の不安心理も再燃した。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の4日の終値は前週末よりも7.65%高い18.29。VIXは4月7日から始まった米国とイランとの停戦が維持されていることを背景に30日終値では16.89まで低下していたが、今後、ホルムズ海峡周辺での戦火が拡大すれば、投資家心理がさらに悪化する可能性がある。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。
ニューヨーク連銀総裁が利下げ見通しを強調 金融市場は原油高に反応
一方、4日には米国の実体経済に関して、FRBから前向きな情報発信があった。ブルームバーグによると、ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁は4日、ニューヨーク市内での講演後、記者団に対して、「いずれは利下げする必要が出てくるだろう」と言及。物価上昇率は当初の想定よりも高くなっているとしつつ、次の金融政策変更が利下げになるという基本的なシナリオを変えるほどではないと説明した。FRBの金融政策をめぐっては、29日に公表された連邦公開市場委員会(FOMC)後の声明文で、利上げを見据えた議論があったことが明らかになり、S&P500にとっての悪材料になっていた。
ただ、4日の金融市場では、ウィリアムズ氏の発言にも関わらず、FRBが物価上昇抑制のための利上げを迫られるとの見方が拡大。投資家が抱く原油価格上昇への懸念の強さが印象づけられた。ブルームバーグによると、4日の金融市場で見込まれている12月のFOMC後の政策金利の水準は3.712%で、前週末よりも0.089%ポイント高くなった。年内の利上げ確率は28%まで上がっており、S&P500にとっての逆風は続いている。
労働市場関連の経済指標発表相次ぐ 悪い結果ならS&P500の見通し悪化も
こうした中、米国の株式市場では5日午前10時(日本時間5日午後11時)に発表される3月の雇用動態調査(JOLTS)や8日発表の4月雇用統計にも注目が集まる。ブルームバーグによると、雇用動態調査では、非農業部門の求人件数が685万件になると予想されており、想定を超えて悪い結果が発表された場合には、S&P500にかかる下落圧力が増す可能性もありそうだ。
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