アドバンテスト、近づく最高値 6月すでに30%高 中東情勢は重荷
アドバンテストの株価は2週間で3割上昇で最高値に近づいてきた。一方、中東情勢悪化や割高感の高まりは今後の不安要素だ。

アドバンテストの株価の上昇が勢いを増している。17日の終値は前日比2.43%高の9550円。6月に入ってからの2週間あまりで約30%上昇しており、値上がりに一気に火がついた形だ。アメリカの半導体大手NVIDIA(エヌビディア)が5月下旬に発表した好決算が上昇のきっかけになっており、1月につけた最高値も視野に入ってきた。ただ、金融市場では中東情勢の悪化への懸念も高まっており、今後は株式市場全体に吹く逆風にさらされる可能性もある。また最高値が近づけば割高感が意識され始めることも考えられ、ドル円相場での円安という追い風への期待も高まりそうだ。

エヌビディアの好決算が株価上昇の追い風に 最高値から8%安まで回復
アドバンテストへの評価が高まった背景にはエヌビディアの好決算がある。エヌビディアは5月28日に行った2025年2-4月期決算発表に際し、5-7月期の総収入が前年同期比1.5倍になるとの見通しを提示。米国政府による中国向け半導体輸出規制にも関わらず、人工知能(AI)向け半導体への需要の強さが高成長を維持する筋書きを示した。アドバンテスト自身も4月25日の1-3月期決算発表で、AI関連需要の強さを強調しており、投資家心理が大きく上向いた。
アドバンテストの株価は1月10日に最高値(1万0380円)をつけた後、下落基調に入り、米国のドナルド・トランプ大統領が相互関税の一部停止を発表する直前にあたる4月7日には51.50%安にあたる5034円まで下落していた。17日の終値は最高値から8.00%安の水準で、5か月かけてようやく最高値付近まで復活してきた形だ。1月以降の不振のきっかけは1月13日に米国で退陣間際のジョー・バイデン政権が半導体輸出規制の見直し案を公表したことで、アドバンテストの株価は半導体株への期待の縮小や拡大に翻弄されつつも最高値付近まで戻ってきたといえる。
中東情勢悪化は株式市場全体への逆風 割高感の高まりも
ただ、アドバンテストの株価の今後の見通しをめぐっては株式市場全体への逆風に足を引っ張られる可能性がある。13日から始まったイスラエルのイランに対する攻撃は激しさを増しており、17日にはアメリカがイラン攻撃に加わるとの見方も浮上した。中東情勢をめぐる混乱拡大は金融市場のリスク回避姿勢を強める可能性があり、アドバンテストを含む日本株にとっても重荷になりかねない。
また、アドバンテストの株価はこれまでの上昇の結果、割高感も高まってきた。ブルームバーグによると、アドバンテストの株価水準と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は17日段階で31.61倍。株式市場でのAIブームが本格化した2023年以降の平均(36倍程度)に近づいてきた。今後、最高値まで値上がりが続いていけば、割高感が上昇ペースを遅らせることも考えられる。

ドル円相場は145円台 最高値更新には円安の追い風も必要か
さらにアドバンテストの株価をめぐっては円安の追い風が吹いていないことも不安要素だ。ドル円相場(USD/JPY)は18日午前の取引で1ドル=145円台で取引され、日本銀行が利上げへの慎重姿勢を示す中、前日比では円安が進行。ただ、最高値をつけた1月上旬のドル円相場は157円台で推移しており、現状は依然として円高水準だといえる。アドバンテストの株価が最高値更新を果たすには、円安進行の一押しが必要だとみることもできそうだ。

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