ドル円、米国がイラン攻撃なら円安か 145円台膠着 金融政策動かず
ドル円相場は145円台で膠着。一方、米国はイラン攻撃の有無を2週間以内に決めるとしており、円安進行の材料になる可能性がある。

ドル円相場の膠着状態が続いている。日本時間20日午前の取引は1ドル=145円台前半で推移し、前日のニューヨーク市場の終値から横ばいの値動き。20日朝には日本の消費者物価指数(CPI)が物価上昇の根強さを示したが、日本銀行は17日に利上げに慎重姿勢を示したばかりで、大きな値動きにはつながらなかった。また、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策の行方が見えにくくなっていることも、ドル円相場の値動きが出にくい状況の背景といえそうだ。こうした中、ドル円相場の今後の見通しは中東情勢の進展で大きく変化する可能性がある。米国のドナルド・トランプ大統領はイラン攻撃を行うかどうかを2週間以内に判断するとしており、攻撃が決まった場合には「有事のドル買い」がドル円相場での円安につながることも考えられそうだ。
ドル円相場は145円台後半で推移 1円程度の値幅での取引が続く
ドル円相場(USD/JPY)の19日のニューヨーク市場の終値は1ドル=145.45円。日本時間20日の取引でも145円台前半での値動きが続いている。ブルームバーグによると、17日以降は144円台半ばから145円台半ばにかけての1円程度の値幅で取引されており、膠着状態といえる。

日本の5月の消費者物価指数は市場予想を超える伸び 物価上昇に根強さ
20日朝に発表された日本の5月CPIの伸び率は総合指数が前年同月比3.5%で前月(3.6%)から低下。ブルームバーグがまとめた市場予想と同じ数字だった。一方、生鮮食品を除いたコア指数の伸び率は3.7%、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指数の伸び率は3.3%で、どちらも前月から伸び率が高まった。また、コア指数とコアコア指数の伸び率は市場予想を0.1%ポイント超えており、物価上昇の根強さを感じさせる結果だ。

日銀は利上げに慎重姿勢 FRBの金融政策の方向性には不透明感
ただ、日銀は17日までの金融政策決定会合に際して利上げへの慎重姿勢を示したばかり。20日のドル円相場では、5月CPIが日銀の利上げを連想させて円高を後押しする流れは起きなかった。植田和男総裁は17日の記者会見で、基調的な物価上昇率は「まだやや2%を下回っている」と言及。輸入物価上昇やコメなどの食料品価格上昇の影響は次第に弱まっていくとの見方を示した。また、トランプ氏の高関税政策が製造業を中心とする日本企業の業績悪化につながり、物価や賃金の上昇が抑えられる可能性も警戒している。
また、ドル円相場の膠着の背景には、FRBの金融政策の方向性が見えづらくなっていることもありそうだ。FRBは18日までの連邦公開市場委員会(FOMC)後に発表した経済見通しで、年内2回の利下げの方向性を維持。ただ、内容を詳細にみれば、年内2回の利下げを見込む参加者と0回の利下げを見込む参加者の数がほぼ同数で、ジェローム・パウエル議長も18日の記者会見で、FOMC内の意見の相違が大きかったことを認めた。
日米の金融政策の方向性に大きな変化がなかったことは、日米の長期金利差の横ばい傾向にも反映されている。ブルームバーグによると、日米の長期金利差は19日終値時点で2.979%ポイント。6日以降は3.000%ポイント前後での推移が続いている。

トランプ氏はイラン攻撃の有無を2週間以内に判断 攻撃決断なら円安進行か
こうした中、ドル円相場の膠着状態は中東情勢の展開で崩れる可能性がある。ホワイトハウスのキャロライン・レビット報道官は19日の記者会見で、米国がイランに対する攻撃を行うかどうかの判断は「2週間以内」に下されるとするトランプ氏の声明文を読み上げた。トランプ氏は声明文の中で、近い将来にイランとの協議が行われることについて相当程度の可能性があるとしている。一方、イランの国連代表は18日、SNSのXへの投稿で「イランは脅迫の下で交渉に応じることはないし、脅迫の下での平和を受け入れることもない」としている。
FX市場ではイスラエルがイランの核施設を攻撃した13日以降、主要通貨に対してドルが買われやすくなっている。ブルームバーグによると、ポンドの対ドル相場(GBP/USD)の19日の終値は12日終値と比較して1.09%のポンド安となっているほか、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)は0.78%の豪ドル安、ユーロの対ドル相場(EUR/USD)は0.77%のユーロ安となった。また円の対ドル相場も攻撃の一報が入った直後は円高方向に動いたが、19日終値と12日終値との比較では1.35%の円安水準にある。

トランプ氏がイランへの攻撃を決断した場合には、中東情勢の緊迫度合いはさらに高まる。投資家の不安心理は「有事のドル買い」を誘発する可能性があり、ドル円相場では円安が進む可能性がありそうだ。
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