ポンド円、1年2か月ぶり高値 201円台 高市トレードの継続性は?
ポンド円相場は201円台後半。高市トレードによる円安が影響した。今後は注目が集まる高市氏が利上げへの慎重姿勢を強めるかが焦点だ。

ポンド円相場でのポンド高圧力が強まった。ポンド円相場は日本時間6日の取引で201円台後半をつけており、前週末比で1.5%ほどのポンド高が進行。2024年7月以来のポンド高水準を更新した。4日の自民党総裁選挙で高市早苗氏が勝利したことでドル円相場で大きく円安が進んだことが要因だ。また、ポンド相場をめぐっては、イングランド銀行(BOE)による追加利下げへの期待が縮小していることもポンド高要因となっている。こうした中、ポンド円相場の今後の見通しにとっては「高市トレード」の継続性が焦だ。高市氏の立場は日本銀行の植田和男総裁との立場と大きな違いはないとみられ、足元以上の円安進行の材料にはなっていないもよう。このため今後のFX市場では、首相指名に向けて注目が集まる高市氏が日銀以上に利上げへの慎重姿勢を強めるかどうかが材料視されることも考えらえる。
ポンド円相場は201円台後半 1年2か月ぶりのポンド高水準
ポンド円相場(GBP/JPY)は日本時間6日午前12時30分に1ポンド=201.83円をつけ、2024年7月23日(203.16円)以来のポンド高水準を更新した。ブルームバーグによると、前週末のニューヨーク市場の終値は198.82円で、一気に1.51%のポンド高が進んだ形だ。


高市氏は4日の総裁選勝利後の記者会見で需要増大が物価上昇を後押しする「デマンドプル」型の物価上昇を目指すべきだ言及。日銀が物価上昇率抑制を狙って物価を引き上げることで、消費が冷えることへの警戒感を示している。こうした中、金融市場では日銀の利上げ見通しは大きく後退。6日午前12時37分段階の金融市場では12月の金融政策決定会合後の政策金利の水準は0.6%と見積もられ、前週末段階の0.664%から大きく低下している。

イングランド銀行は物価上昇に警戒 2回に1回の利下げペースが崩れる見通し
一方、ポンドの対ドル相場(GBP/USD)をめぐっては、イギリスの中央銀行にあたるBOEの利下げ見通しが後退したことが、ポンド高要因として働いている。BOEが9月18日に政策金利を4.00%で維持すると発表。声明文では、前日に発表された8月消費者物価指数(CPI)の総合指数の伸び率が前年同月比3.8%だったことを踏まえ、物価上昇の高さが「賃金と企業の価格設定行動に上昇圧力をかけることを引き続き警戒する」とした。

BOEは2024年8月以降、理事会2回につき1回のペースで利下げを進めてきたが、金融市場ではBOEは11月6日に結果を発表する次回理事会では2会合連続で利下げが見送るとの見方が強い。ブルームバーグによると、11月理事会後の政策金利の水準は3.953%と見積もられており、現状の政策金利から0.047%ポイント低いに過ぎない。

高市氏は日銀の植田総裁と同じ立場 利上げへ慎重姿勢強めればポンド高追加進行も
こうした中、ポンド円相場の今後の見通しをめぐっては、高市トレードによる円安の持続性が注目される。高市氏が示した日銀の利上げが消費を落としてしまうことへの懸念は、日銀の植田和男総裁が7月31日の金融政策決定会合後の記者会見で示した立場と同じ。このため高市氏と日銀の足並みはそろっており、ともに利上げに慎重な立場だとみることができる。また植田氏は9月19日の決定会合後の記者会見では、ドナルド・トランプ大統領の高関税政策が日本経済に及ぼす影響についても慎重に見極める立場を強調。米国経済をめぐっては、1日から始まった政府機関一部閉鎖が先行きの不透明感を強めており、植田氏が日本経済への悪影響への懸念をさらに強めている可能性もありそうだ。こうした中、ドル円相場での円安圧力は維持されるとの見方も成り立つ。
ただ、高市氏の金融政策に対するスタンスが植田氏と一致しているのであれば、高市氏の自民党総裁就任は新たな円安材料を提供しなかったとみることもできる。6日のドル円相場では円安が進んではいるものの、150円を超える円安にはつながっておらず、7月上旬から3か月にわたって続いてきた1ドル=145.49円から150.92円のレンジ内での値動きにとどまっている。
このためポンド円相場でさらにポンド高が進むには、高市氏の利下げへの慎重姿勢が植田氏よりも強くなるか、日銀からの情報発信が米国経済の見通しや日本経済への悪影響への警戒感を強めることが必要だとみることもできる。高市氏は15日にも召集される見通しの特別国会で首相に指名される公算が高いとみられており、発言への注目度の高さが、FX市場に及ぼす影響を大きくすることも考えられそうだ。
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