アップル、iPhone販売に期待 30日決算 最高値から株価上昇加速も
アップルの7-9月期決算はアイフォンの販売状況が焦点。利益面も含めた成長力を示せば、株価が最高値から勢いづく可能性もある。

アップルが30日に発表する2025年7-9月期決算はiPhone(アイフォン)の販売実績に注目が集まりそうだ。アップルが9月に発売したアイフォン17シリーズは出足の好調さが報じられており、足元の株価は約10か月ぶりの最高値更新を果たす勢い。30日の決算発表で市場の想定を超える実績や強い見通しが示されれば、株価がさらに上昇することも考えられそうだ。ただ、アップルの株価は割高感が重荷になっている可能性があり、上昇がさらに加速するには利益面での成長を示すことが不可欠。ドナルド・トランプ大統領の高関税政策という利益の圧迫要因をアップルが跳ね返すことができるかどうかも注目点といえる。
アップルの7-9月期決算は総収入が7.4%増の見通し
アップルはアメリカ東部時間30日午後5時(日本時間31日午前6時)から決算会見を開く。ブルームバーグがまとめた事前予想によると、アップルの7-9月期の総収入は前年同期比7.4%増の1019億ドルになる見通し。1株当たり利益(EPS)は7.9%増の1.77ドルになるとみられている。予想通りになれば、総収入の成長は前四半期(4-6月期)の9.6%から減速。1株当たり利益も前四半期(12.1%増)から伸び率が小さくなる。アップルは直近22回の四半期決算のうち2回で総収入が市場予想を超えられなかった。1株当たり利益では1回で予想を下回った。

アップルの株価は前回決算から24.51%増 20日には約10か月ぶりに最高値更新
アップルの株価(AAPL)の22日の終値は258.45ドル。2024年末比では3.21%高で、マグニフィセント・セブンと呼ばれる大手ハイテク7社の中では、アマゾン・コム(AMZN)の0.66%安に次いで悪い成績となっている。ただ、前回決算発表当日(7月31日)から約3か月間の伸び率は24.51%高となっており、20日には約10か月ぶりの最高値更新も果たした。翌21日の262.77ドルで記録を更新している。2024年上期(1-6月)はトランプ氏の高関税政策などが逆風となって株価が伸び悩んでいたが、下期に入って調子を取り戻してきた形だ。

ブルームバーグによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は22日段階で32倍程度。前回決算発表当日の27倍程度から割高感が増している。アナリストが提示する目標株価の平均は252ドル程度で、現状よりも3%ほど低い。一方、10月下旬に入ってからは目標株価を300ドル以上に引き上げる動きもある。61人のアナリストのうち36人は買い、20人は維持、5人は売りを勧めている。
トランプ氏との関係改善が株価の追い風 アイフォン17の出足の好調さが焦点に
アップルの株価が前回決算発表以降に勢いづいたのはトランプ氏との関係改善が好材料視されたからだ。トランプ氏は当初、アップルがアイフォンの多くを中国やインドで生産していることを問題視。アイフォンを米国内で生産しなければ、最低でも25%の関税をかけると警告していた。しかしトランプ氏は、アップルが8月6日に米国内への1000億ドルの追加投資を発表すると、「アップルは米国に戻ってきている」と満足感を示した。アップルの株価はこの日から8日までの3日間で合計13.02%高になっている。
また、アップルにとっては9月に投入したアイフォン17シリーズの好調さが報じられていることも好材料だ。民間調査会社IDCは13日に発表した7-9月期のスマートフォン世界市場の動向に関するレポートで、「17シリーズへの需要は力強く、事前注文は前世代製品を超えた」と分析。またカウンターポイントリサーチも20日発表のレポートで、米国と中国における17シリーズの発売から10日間の販売について、16シリーズの同時期の実績を14%上回ったとしている。17シリーズは発表当初の株式市場の評価は低かったが、消費者からは受け入れられている可能性がある。
このためアップルの30日の決算発表では、アイフォンの販売実績が注目されそうだ。ブルームバーグのまとめによると、金融市場ではアイフォンの7-9月期の販売額は前年同期比6.7%増の493億ドルと予想されている。発表される実績がこの水準を大きく超えれば、好材料として株価上昇を勢いづかせる可能性がありそうだ。また、アイフォンの好調さを背景として、ケビン・パレクCFOが決算会見で示す10-12月期の総収入の見通しが市場予想を超える強さを示すことができるかどうかも焦点のひとつ。ブルームバーグのまとめでは、10-12月期の総収入は6.1%増の1318億ドル程度と見込まれている。

アップルの株価には割高感 利益の成長を示すことができるかも株価を左右
ただ、アップルの株価は割高感が高まっており、株価のさらなる上昇には、利益面での成長力を示す必要もありそうだ。アップルの株価は前回決算発表からの3か月で24%値上がりした一方、今後12か月の予想1株当たり利益の上昇は6%あまりにとどまっている。
アップルはトランプ氏との関係改善が好材料視されたものの、引き続き、中国製品に課されている20%関税などの影響を受けており、パレク氏は7-9月期の影響額が11億ドル程度との見通しを示していた。アップルがこうした逆風を跳ね返し、7-9月期での想定を超える利益面での成長と力強い今後の見通しを示せば、やはり株価にとっては好材料になりそうだ。
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