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来週のアメリカ株見通し:まずは米中協議の反応を見極め、インフレ指標を警戒、S&P500の週間予想

来週の米国株は、米中協議の内容とインフレ指標が材料視されよう。S&P500の週間予想について。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

概要

5~9日週のアメリカ主要3指数は、3週ぶりに下落して終えた。しかし、投資家の不安心理は後退している。来週も反発地合いを維持できるのかどうか?この鍵を握るのが米中協議の内容となろう。週末の初協議を経て両国の緊張が緩和に向かうとの観測が高まれば、来週の米国株は反発地合いを維持することが予想される。半導体株が株高をけん引する可能性があろう。
インフレ指標も材料視されよう。13日に4月の消費者物価指数(CPI)、16日に5月の期待インフレ率がある。S&P500は200日線の突破が焦点となろう。週間の予想レンジ下限は5860ポイントを想定。インドとパキスタンの軍事対立が激化している。この状況で米中対立の根深さとインフレ再燃が意識される場合、S&P500は5500ポイントを視野に下落する展開を想定したい。



主要指数は3週ぶり下落も過度の不安心理は後退

5~9日週の主要3指数は下落して終えた。3週ぶりの下落となった。10~11日にスイスで行われる米中の関税協議を控え、9日の市場では利益確定売りが入り相場の重石となった。

米株価指数の動向:5~9日の週

米株価指数の動向:5~9日の週

ブルームバーグのデータで筆者が作成

だが、過度の不安心理は後退している。S&P500種株価指数(以下S&P500)を対象とするオプション取引のボラティリティ(変動率)を元に算出されるVIX指数は、21ポイント台へ急低下している。4月7日に一時60ポイントへ急上昇する局面が見られた。S&P500は50日線を完全に突破し、3月27日以来となる5700ポイントを突破する局面が見られた。

ナスダック100が対象のVXN指数も50ポイント台から25ポイント台まで低下している。ナスダック100は節目の20000ポイントを突破し、20181レベルで推移している200日線をトライする状況にある。

また、中小型株で構成されるラッセル2000は先週、小幅ながらも上昇して終えた(上のパフォーマンスチャートを参照)。中小型株の買いは地合いの強さを示唆している。来週の米国株もこの強さを維持できるのかどうか?その鍵を握るのが、米中協議の内容と米国のインフレ指標となろう。

VIX指数とVXN指数の動向:年初来

VIX指数とVXN指数の動向:年初来

ブルームバーグのデータで筆者が作成


米中協議の評価、週明けの反応で見極め、半導体株の動向に注目

来週は2つの材料が、米国株のトレンドを左右するだろう。ひとつが米中の関税協議である。両国は10〜11日にスイスで初の協議を行う。米国からはベッセント財務長官、中国からは経済政策を担当する何立峰副首相が出席する。協議を前にトランプ米大統領は中国の関税率について「80%が正しいようだ」と、自身のSNSに投稿した。また「スコットB(ベッセント氏)次第だ」、「中国は米国に市場を開放すべきだ。それは中国のためでもあり、閉鎖的な市場はもはや機能しない」と投稿した。レビット報道官は「80%」の関税率を大統領が思い付いた数字としたが、トランプ氏としては協議を前に揺さぶりをかける狙いがあったと見られる。

ロイターの報道によれば、今回の協議では広範な関税の引き下げや特定の品目に関する例外措置の導入について議論されるという。緊張緩和に向けて両国が歩み寄れば、米国株の押し上げ要因となろう。だが、低迷する不動産市場の影響で中国の内需は停滞している。ゆえに米国製品の輸入増には限界があろう。中国の税関当局が9日に発表した貿易統計によれば、貿易摩擦が影響し米国からの輸入額は前年同月比13.8%減となった。

ラトニック米商務長官は8日、英国と違い日本や韓国との通商協議の取りまとめには多くの時間を要する可能性があると語った。中国との協議では他のアジア諸国以上に難航する可能性がある。その懸念が高まれば、今のリスク選好ムードに冷や水を浴びせかねない。まずは週明けの市場の反応で、米中協議に対する評価を見極めたい。

4月7日を境に米国株は反発基調へ転じている。S&P500のセクター別パフォーマンスを確認すると、景気敏感セクターが反発相場をけん引していることが分かる。特にマイクロソフト(MSFT)やアップル(AAPL)の大手ハイテク株、エヌビディア(NVDA)などの半導体株が属する情報技術セクターが18%高で最も上昇している。詳細を確認すると、マイクロソフト、パランティア(PLTR)、サービスナウ(NOW)などのソフトウェア株が上昇のけん引役となる一方、半導体株は強弱まちまちである。トランプ米政権はAI半導体の輸出規制を撤廃する方針を決めた。この状況で米中協議が市場から肯定的に評価される場合は、半導体株の買いが米国株のさらなる押し上げ要因となることが予想される。

S&P500のセクター別パフォーマンス:4月7日~5月9日

S&P500のセクター別パフォーマンス:4月7日~5月9日

ブルームバーグのデータで筆者が作成


インフレ指標を警戒、13日に4月CPI、16日に5月期待インフレ率

5月の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明文では経済見通しの不確実性について、”一段(further)”と高まっているとした。また、失業の増加とインフレ率の上昇リスクについても警戒感を示した。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長もFOMC後の会見でトランプ関税がもたらす不確実性に言及し、さらにデータを確認するまでは何が正しい対応なのか実際のところ分からないので先手を打つ状況にない、と述べた。

パウエルFRBは新たなデータを待つしかない状況にある。そのデータとして今週は、インフレ指標に注目が集まるだろう。13日に4月の消費者物価指数(CPI)、16日にミシガン大学調査の5月期待インフレ率がある。9日時点でのブルームバーグ予想を確認すると、4月CPIは前月比が3月から上昇する見通しにある。前年同月比は横ばい予想にある。一方、5月期待インフレ率の予想はまだ出そろっていない。インフレ再燃は米株安、インフレ抑制は米株高の要因になり得る。

米国の消費者物価指数(CPI):直近1年間

米国の消費者物価指数(CPI):直近1年間

ブルームバーグのデータで筆者が作成 / 赤の棒グラフとドット:4月の予想

なお、ミシガン大学調査では消費者態度指数も材料視される可能性がある。ブルームバーグ予想は53.3と4月確報値の52.2から改善の見通しにある。消費者の先行景況感も48.0と、前月の47.3から改善の見通しにある。期待インフレ率の上昇と消費者マインドの低下が止まれば、米株高の要因になり得る。

ミシガン大学消費者態度指数と期待インフレ率:直近1年間

ミシガン大学消費者態度指数と期待インフレ率:直近1年間

ブルームバーグのデータで筆者が作成


S&P500の週間予想と注目のテクニカルライン

200日線の攻防と三役好転、週間レンジの上限は5840レベル

来週もS&P500が反発地合いを維持する場合は、今月2日以降レジスタンスラインとして意識されている5700ポイントを完全に突破し200日線をトライするだろう。来週、日足の一目均衡表は三役好転へ転じるだろう。200日線をも突破する場合、S&P500はさらに上値を目指すだろう。5800ポイントの攻防が視野に入ろう。

S&P500が5800ポイント台へしっかりと上昇すれば、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準5838ポイントの突破が焦点となろう。このテクニカルラインをも突破すれば、3月5日の高値水準5860ポイントが視野に入ろう。この水準を週間の予想レンジの上限と想定したい。

レジスタンスライン
・5860:予想レンジの上限、3月5日の高値(日足)
・5838:76.4%戻し(日足)
・5800:レジスタンスライン(4時間足)
・5748:200日線(日足、5/9時点)
・5700:レジスタンスライン(日足)

5500ポイントの維持

インドとパキスタンの対立が激化している。パキスタンのシャリフ首相が10日、核管理の責任を担う国家指令本部(NCA)を招集したとの情報も流れている。核保有国同士の軍事的緊張はリスク選好ムードに水を差す要因となろう。米中協議の内容とインフレ指標までが株安の要因となれば、来週のS&P500は一転して下落相場を警戒したい。週間の予想レンジ下限を5500ポイントと想定したい。この水準は、4月安値からのフィボナッチ・リトレースメント23.6%戻しにあたる(4時間足を参照)。また、サポート転換を意識する水準でもある。

S&P500が5500ポイントを目指すサインとして、日足の一目転換線と50日線の攻防に注目したい。一目転換線が推移している5575レベルは、サポートラインへ転換する可能性がある(4時間足チャートを参照)。13日に短期サポートラインが5575レベルと交錯する。今月に入り50日線がサポートラインとして意識される兆しが見られる。この移動平均線は9日時点で5550台にある。この移動平均線の下方ブレイクは、5500ポイントをトライするサインと考えたい。

サポートライン
・5575:一目転換線(日足、5/9時点)
・5551:50日線(日足、5/9時点)
・5500:予想レンジの下限、23.6%戻し(4時間足と日足)


S&P500のチャート

日足:2月以降

日足:2月以降

出所:TradingView

米国500のチャート

4時間足:3月以降

4時間足:3月以降

出所:IGチャート


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