米国株見通し:6週続伸のS&P500に過熱感、CPI警戒も押し目買い好機探る
S&P500、来週の見通し。好調な決算がAI・半導体株主導の株高を支えている。CPI・PPIがきっかけで過熱警戒の調整売りに直面しても、反落は押し目買いの好機と考えたい。株価指数CFD「米国500」の週間想定レンジは7250-7520。
要点
- AI・半導体株主導でS&P500は6週続伸。決算が5月株高の土台を支えている。ラッセル2000の7週続伸も考えるならば、来週のS&P500も強気地合い継続を想定したい
- しかし、現在は短期的な過熱感が意識されやすい状況にある。米利下げ観測が急速に後退する中、4月のインフレ指標-CPIとPPIが総じて予想を上振れすれば、調整売りの要因になり得る
- 株価指数CFD「米国500」の週間想定レンジは7250-7520。調整売りで反落する場合は押し目買いの好機と考えたい
S&P500が6週続伸、AI・半導体株主導の株高継続
米国株が強気地合いを維持している。この点を示唆しているのが、米株式市場の時価総額の約80%をカバーするS&P500だ。6週連続で続伸し、3月のパフォーマンス(株安局面)と比較すると、「中東相場」が過去のテーマとなっていることが分かる。
ナスダックも同じ状況にあることを考えるならば、現在の米株式市場のテーマは「AI・半導体株主導の株高」にある。しかし、以下で詳述するとおり、5月株高の土台を支えているのは、決算にあると筆者は考えている。
米主要指数 週次騰落率:3月以降、5月8日週まで
過熱相場警戒も強気地合い維持の予想
6週続伸ということもあり、S&P500の過熱感が強まっている。予想PERは21倍近くまで上昇し、過去5年平均を上回る。
S&P500 予想PERの推移:過去5年間
テクニカルもS&P500の過熱感を示唆している。25日線との乖離率は4.7%、50日線との乖離率は7.8%に拡大。日足RSIは74.6と「買われ過ぎ」の水準にある。来週は過熱相場を警戒した調整売りを想定しておきたい。
S&P500 日足チャート:2025年3月以降
しかし、強気地合いのトレンド自体は維持すると筆者は予想している。そう考える理由の一つが決算にある。
ファクトセットの「Earnings Insight」(8日時点)によれば、S&P500構成企業の89%が決算を終えた。そのうち84%がEPS予想を上回っている。このまま着地すれば、2021年Q2以来の最高水準になるという。利益の上振れ幅も集計ベースで+18.2%と、5年平均の+7.3%の2倍超に相当し、2桁増益は6四半期連続となる見通しだ。
個別決算では、5日に発表されたアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の1-3月期決算の影響が大きい。データセンター部門の売上高が前年同期比57.2%増の57.8億ドルに達し、AI向けGPUとサーバー用プロセッサーへの旺盛な需要が確認された。
リサ・スーCEOは「推論・エージェントAIが高性能CPUとアクセラレーターへの需要を一段と押し上げている」と述べ、サーバー成長の加速に自信を示した。第2四半期売上高ガイダンスは約112億ドル(プラスマイナス3億ドル)と市場予想(約105億ドル)を大幅に上回った。こうした強気の見通しは、AI・半導体相場の下支え要因となろう。
ラッセル2000の動きも、強気地合いの持続を示す重要なシグナルと筆者は考えている。同指数は中小型株で構成されるため、金利感応度が他の主要指数よりも高い。8日のIG為替レポートで述べた通り、年内の米利下げ観測は急速に後退している。日銀を含めた主要中銀も利上げ姿勢を維持している。
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本来、こうした金融環境はラッセル2000にとって逆風となるはずだ。にもかかわらず、米10年国債利回りが4.4%台に上昇する局面でも株高トレンドを維持し、今週(5月4~8日週)までに7週連続の上昇を達成した。AI・半導体関連の銘柄だけでなく、相対的な割安感が意識されやすい優良な中小型株を物色する動きは、株高のすそ野が広がっていることを示唆している。
ラッセル2000 週次騰落率:3月以降、5月8日週まで
米インフレ指標-CPI・PPI焦点、調整売りなら押し目買いの好機
来週12日に4月の消費者物価指数(CPI)、13日に同月の生産者物価指数(PPI)が発表される。インフレ懸念を強める内容ならば、過熱警戒に直面しているS&P500の調整売りを警戒したい。しかし、反落局面は押し目買いの好機と考えたい。理由は二つある。
一つは、前述の通り強い決算に裏打ちされた株高トレンドだ。もう一つが、8日に発表された経済指標にある。4月の米雇用統計では、平均時給が前月比+0.2%、前年同月比+3.6%と、ブルームバーグがまとめた市場予想の+0.3%、+3.8%をそれぞれ下回った。また、5月のミシガン大学期待インフレ率(速報値)では、1年先のインフレ期待が4.5%と、4月の4.7%から低下した。5-10年先のインフレ期待も3.5%から3.4%へ低下した。
中東の混乱とそれに伴う原油高を受けてなお、賃金インフレと期待インフレ率が抑制されている。この状況で単月のCPIとPPIが予想を上回っても、一過性の株安要因で終わることが予想される。原油先物の期先の価格が期近の価格よりも低い状況(バックワーデーション)にあることも考えるならば、米株式市場の参加者は引き続き「中東相場」の先を見据えるだろう。
来週の米インフレ指標が調整売り要因となれば、株価指数CFD「米国500」は「テクニカル分析」のセクションでまとめた水準での押し目買いを考えたい。
米インフレ動向:過去1年間
米国500のテクニカル分析、週間想定レンジ7250-7520
来週も米国500が強気地合いを維持する場合は、7400の突破と4時間足チャートのフィボナッチ・エクスパンション161.8%の水準7450レベルの攻防を想定したい。
7450を完全に突破すれば、次の節目水準7500が視野に入ろう。上の水準7523レベルは、フィボナッチ・エクスパンション100%にあたる。下の水準7520を来週の上限と予想する。
注目のチャート水準:レジスタンス
・7520:上限予想、フィボナッチ・エクスパンション100%(7523)
・7500:節目水準
・7450:フィボナッチ・エクスパンション161.8%
・7400:節目水準
4時間足と日足のRSIは、米国500の短期的な過熱相場(買われ過ぎ)を示唆している。前述の米インフレ指標が調整売りの要因となれば、4時間足チャートにまとめた青ラインを来週のサポート水準と想定したい。7310はサポートライン、7270はサポート転換の可能性がある水準として意識したい。
4月以降、日足の一目転換線がサポートラインとして意識されている。8日時点でこのラインが推移している7250レベルを来週の下限と予想する。調整売りの加速で7250レベルを完全に下方ブレイクする場合は、サポートラインへの転換が確認された7200までの下落を想定したい(4時間足チャート、青矢印)。
注目のチャート水準:サポート
・7310:サポートライン
・7270:サポート転換の可能性あり
・7250:下限予想、一目転換線(7254 / 5月8日時点)
・7200:サポート転換
米国500 4時間足チャート:4月20日以降
TradingView提供のチャート
米国500 日足チャート:2026年2月以降
TradingView提供のチャート
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