【米国株】S&P500の週間見通し(7/14~18):6,180~6,300予想、6月物価指数とネットフリックス決算に注目
今週の焦点は6月の物価指数と企業決算となろう。17日にネットフリックスが2Q決算を発表する。S&P500の週間予想レンジは6,180~6,300。同指数が原資産の株価指数CFD「米国500」の展望についてIG証券のアナリストが分かりやすく解説。

要点
・強気相場を維持する米国株だが、その勢いは後退気味である
・今週から企業決算が本格化する、ネットフリックスの決算に注目
・経済指標では6月物価指数(CPI・PPI)が米国株の変動要因となろう
・米国500の週間予想レンジは6,180~6,300

ブルームバーグのデータで筆者が作成
しかし、リスク回避のムードが高まっているわけではない。「恐怖指数」として知られるVIX指数は16ポイント台の低い水準で推移している。
今週から米国市場は決算シーズンが本格化する。6月の消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)もある。トランプ米大統領は12日、欧州連合(EU)とメキシコに対して30%の関税を適用すると表明した。トランプ関税の懸念を企業決算と物価指数が相殺する要因となれば、米国株は強気相場を維持することが予想される。
VIX指数:日足 年初来

ブルームバーグのデータで作成
米企業の決算発表が本格化、17日にネットフリックスの2Q決算
今週から米国企業の四半期決算が本格化する。ファクトセットによれば、S&P500の第2四半期の利益成長率は4.8%が見込まれている(7月11日時点)。今年3月末時点の予想は9.4%増だった。一株利益(EPS)の下方修正で2023年第4四半期(4.0%)以来の低成長となる可能性がある。焦点は業績の見通しとなろう。トランプ関税の影響を警戒しアナリスト予想を下回る業績見通しが続く場合は、最高値圏にある米国株の調整売りが加速する展開を警戒したい。
17日の引け後に動画配信大手のネットフリックス(NFLX)が4-6月期(第2四半期)決算を発表する。ブルームバーグがまとめたアナリスト予想では売上高が前年同期比15.54%増の110.44億ドルが見込まれている。1株利益(EPS)は7.07ドルが予想されている。前四半期は6.61ドル、前年同期は4.88ドルだった。米国や欧州での値上げがネットフリックスの増収増益に貢献すると予想されている。
ネットフリックスの売上高と1株利益の推移:2022年以降

ブルームバーグのデータで作成 / 赤の棒グラフ:2Q予想、7/13日時点
焦点の7-9月期(第3四半期)の売上高見通しだが、ブルームバーグがまとめたアナリスト予想では前年同期比14.69%増の112.68億ドルが予想されている。EPSは6.69ドルが見込まれている。前年同期は5.40ドルだった。
ネットフリックスの成長を支えているのが広告収益である。その土台である月間アクティブユーザー数(MAU)は5月時点で9400万人に達した。ブルームバーグ・インテリジェンスは、今年末に約1億3500万人へ増加すると予想している。MAUの堅調な伸びは、広告付きプランの加入者数の増加を促すだろう。ブルームバーグ・インテリジェンスは、今年の広告収益がおよそ30億ドルに達し、2026年には約50億ドルとなる予想を示している。
ネットフリックス 3Qの業績見通し
・売上高:112.68億ドル(前年同期比14.69%増)
・EPS:6.69ドル(前年同期は5.40ドル)
出所:ブルームバーグのアナリスト予想 / 7月13日時点
ブルームバーグのデータによれば、ネットフリックスの株価収益率(PER)は58倍を超えている。株価売上高倍率(PSR)も13倍と、いずれも米株高が始まった2023年以降の平均を上回る場面が見られた。ネットフリックスの株価は年初から39.7%高にある。業績見通しがアナリスト予想を下回る場合は、高値警戒感を意識した調整売りが予想される。
ネットフリックスのPERとPSRの推移:2023年以降

ブルームバーグのデータで作成 / 7月11日時点
6月の物価指数-CPIとPPIに注目
今週は6月の物価指数も米国株の変動要因となろう。15日に6月の消費者物価指数(CPI)、16日に同月の生産者物価指数(PPI)が発表される。ブルームバーグの市場予想によれば、CPIは前月比と前年同月比でともに5月から上昇することが見込まれている。一方、PPIは前年同月比でインフレの鈍化が見込まれている。
物価指数が予想外に上振れる場合は、米債市場で10年債利回りや超長期の20年債、30年債の各利回りの上昇圧力を高める要因になり得る。このケースではS&P500の調整売りを警戒したい。企業決算で予想を下回る業績見通しが続く場合は、調整売りの加速を警戒したい。
米国の物価指数の推移:過去1年間

ブルームバーグのデータで作成 / 赤の棒グラフとドット:6月の市場予想、7月13日時点
米国500の週間見通しとテクニカル分析
週間予想レンジの上限:6,300
日足チャートでS&P500のトレンドを確認すると、一目均衡表は三役好転で強気地合いを示唆している。RSIが「買われ過ぎ」の水準へ到達した後に低下基調へ転じつつある状況は、調整売りの可能性を示唆している(下のチャート、黒矢印を参照)。しかし、上述したVIX指数の動きと考えるならば、投資家のリスク選好姿勢は続いている。
企業決算と物価指数で株高の勢いが戻れば、S&P500は6,300の攻防が焦点となろう。先週10日の取引時間中に6,290.22まで上昇した。6,300のラインを意識した動きである。このラインを週間予想レンジの上限と想定したい。
S&P500のチャート:日足 5月以降

出所:TradingView
S&P500と連動する株価指数CFD「米国500」も6,300のラインを意識する状況にある。この水準をトライするサインとして、以下にまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。先週7日以降、6,270レベルがレジスタンスラインとして相場の上昇を止める局面が見られる。このラインを突破すれば、次の焦点はS&P500と同じく10日の高値6,290レベルとなろう。後者の水準をも突破すれば、6,300のトライを想定したい。
筆者の想定を超える上昇で6,300のラインを突破する場合は、フィボナッチ・エクステンション100%の水準6,324レベルのトライを意識したい。
レジスタンスライン
・6,324:フィボナッチ・エクステンション100%の水準
・6,300:予想レンジの上限
・6,290:7月10日の高値
・6,270:レジスタンスライン
週間予想レンジの下限:6,180
トランプ米大統領が12日、欧州連合(EU)とメキシコに対して8月1日から30%関税の適用を通知すると表明した。トランプ氏は、合成麻薬フェンタニルの米国流入対策でメキシコの取り組みが不十分と非難した。EUに対しては貿易不均衡を問題視した。
週明けの米国株は下落で反応する可能性がある。だが、S&P500とナスダック総合指数の最高値更新が示すとおり、トランプ関税に対する米国株の耐性は高まっている。関税不安がS&P500の下落要因となっても、企業決算と物価指数を無難に通過すれば、押し目買いの好機を与えることになろう。
7月第1週に米国500は6,180レベルでサポートされ、6,290まで上昇する起点となった。企業決算と物価指数が株安の要因となる可能性も考慮し、6,180ラインを今週の予想レンジの下限と想定したい。
米国500の下落局面では、半値戻し6,211レベル、フィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準6,190レベルの攻防に注目したい。後者のラインを下方ブレイクする場合は、6,180への下落を想定したい。筆者の想定を超える下落で6,180を下方ブレイクする場合は、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準6,170のトライを意識したい。
サポートライン
・6,211:半値戻しの水準
・6,190:フィボナッチ・リトレースメント61.8%戻しの水準
・6,180:予想レンジの下限
・6,170:フィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準
米国500のチャート
4時間足:6月26日以降

出所:IGチャート
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