チャート分析に欠かせないのが、テクニカル指標(テクニカルインジケーター)です。テクニカル指標による分析手法を「テクニカル分析」といいます。ここでは、多くの投資家が使っている10種類の指標について解説します。
テクニカル指標には、大きく分けて先行指標と遅行指標があります。先行指標は将来の動きを予測するときに使われます。一方、遅行指標は過去のトレンドからマーケットの勢いを分析するときに使われます。
これらの10種類のテクニカル指標には、それぞれ使い方や特徴があります。ご自身の取引スタイルや戦略に合わせて使い分けることをおすすめします。
移動平均線(MA)または単純移動平均線(SMA)は、多くのトレーダーに使われているテクニカル指標です。MAは、ある一定期間の価格から平均値を算出して、チャート上に折れ線で表示されます。
例えば、200日MAを算出するときは、200日分のデータの平均値を計算します。MAを使うことで、支持線と抵抗線の水準や過去の相場の動きを確認することができます。そして、期間の異なるMAの水準を比べることで、トレンドを予測するトレーダーもいます。
EMAは他のテクニカル指標と組み合わせることで、相場の状況やトレンドをより正確に把握することができます。
EMAは期間を設定する必要があります。12日、26日50日そして200日で設定するパターンが見られます。
ストキャスティクスは、現在の相場が「買われすぎ」なのか「売られすぎ」なのかを分析するときに使われるテクニカル指標です。多くの投資家が使うオシレーター系指標です。
ストキャスティクスの数値は、0から100までの範囲で動きます。見方はトレーダーによって異なりますが、一般的には数値が20以下の場合は「売られすぎ」と判断します。一方、80以上の場合は「買われすぎ」と判断します。しかし、実際の相場がこれらの数値を超える状況となっても、トレンドが転換するとは限りません。これはストキャスティクスに限らず、すべてのオシレーター系指標に言えることです。
移動平均収束拡散法(MACD)は、MACDラインとシグナルラインを比較することで、相場の勢いを分析するテクニカル指標です。
MACDラインがシグナルラインを上抜ける場合は、買いのシグナルと判断します。また、MACDラインが0パーセントの水準を上回る場合も買いのシグナルと判断します。
一方、MACDラインがシグナルラインを下抜ける場合は、売りのシグナルと判断します。また、MACDラインが0パーセントの水準を下回る場合も売りのシグナルと判断します。
ボリンジャーバンドは、ボラティリティの動向を分析するときに使用されるテクニカル指標です。この指標はバンドの上限(アッパーバンド)、バンドの下限(ローワーバンド)、移動平均線で構成されています。バンドの幅はマーケットのボラティリティによって拡大したり縮小したりします。バンドの幅が縮小するほど、ボラティリティは低いと判断します。逆にバンドの幅が広ければ広いほど、ボラティリティは高いと判断します。
価格がアッパーバンド以上の水準へ上昇する場合、その銘柄は買われすぎの可能性を示していると考えます。逆に価格がローワーバンドを下回る場合は、その銘柄は売られすぎている可能性を示していると考えます。
RSIは、「買われすぎ」や「売られ過ぎ」を判断するテクニカル指標です。RSIの数値は、0~100のレンジで推移します。見方はトレーダーによって違いますが、一般的にはRSIの数値が70付近まで上昇する場合、買われすぎと判断します。逆にRSIの数値が30付近まで低下する場合、売られ過ぎと判断します。
RSIが買われ過ぎの水準まで上昇する場合、上昇トレンドから下落トレンドへ転換する可能性を示していると考えます。一方、RSIが売られ過ぎの水準まで低下する場合、下落トレンドから上昇トレンドへ転換する可能性を示していると考えます。
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フィボナッチ・リトレースメントは、価格の戻りの水準を分析するためのテクニカル指標です。具体的には、ある一定期間の高安を設定し、高値から何パーセント、安値から何パーセント戻るのかを予測するときに使われます。
主に38.20%、50.00%そして61.80%が重要な戻りの水準となります。これらの水準は相場をサポートするポイント、もしくは相場の上値を抑制するレジスタンスのポイントになる可能性があります。
一目均衡表は、相場をサポートする水準や上昇を抑制する水準を分析するために使われるテクニカル指標です。一目均衡表は転換線、基準線、2本の先行スパンそして遅行スパンで構成されています。また、2本の先行スパンの間を雲と言います。
基準線と転換線の関係や遅行線の水準で、トレンドを予測するトレーダーもいます。
標準偏差は、マーケット全体の状況を分析ときに使われるテクニカル指標です。標準偏差が上昇の局面にある場合、マーケットは上下に振れやすい不安定な状況にあることを示しています。逆に標準偏差が低下の局面にある場合、マーケットが落ち着いた状況にあることを示しています。
標準偏差は過去の動きが重要となります。以下の例を見てみましょう。
例:
過去20年間のS&P500指数の標準偏差の動向を確認すると、標準偏差が20%前後まで低下した後に上昇するパターンが見られます。今後、S&P500指数の標準偏差が20%に近い水準まで低下する場合、上下どちらかに大きく動く可能性があります。
平均方向性指数(ADX)は、価格の変動幅を指数化して、トレンドの方向性やその強さを分析するために使われるテクニカル指標です。ADXは、0から100までのレンジで推移します。多くのトレーダーはパラメーターを14日間で設定します。ADXの値が25以上の場合は「強いトレンド」と判断します。逆にADXの値が25未満では「弱いトレンド」と判断します。このようにADXはトレンドの強弱を判断するためのテクニカルインジケーターであり、トレンドを予測する目的で使われることはありません。
今回取り上げた10種類の指標は、大きく「トレンド系」と「オシレーター系」に分けられます。ご自身の分析目的に合わせて選びましょう。
指標 |
分類(トレンド系/オシレーター系) |
先行/遅行 |
主な用途 |
見方の目安 |
移動平均線(MA) |
トレンド系 |
遅行指標 |
トレンドの方向性、支持線・抵抗線の把握 |
短期線が長期線を上抜け=上昇トレンド、下抜け=下降トレンド |
指数平滑移動平均線(EMA) |
トレンド系 |
遅行指標 |
直近の値動きを重視したトレンド把握 |
MAより価格変化への反応が早い、他指標との組み合わせに有効 |
ストキャスティクス |
オシレーター系 |
先行指標 |
買われすぎ・売られすぎの判断 |
20以下=売られすぎ、80以上=買われすぎ |
MACD |
トレンド系 |
遅行指標 |
相場の勢い・トレンド転換の判断 |
MACDラインがシグナルラインを上抜け=買いシグナル、下抜け=売りシグナル |
ボリンジャーバンド |
トレンド系(ボラティリティ) |
遅行指標 |
ボラティリティの把握、買われすぎ・売られすぎの判断 |
アッパーバンド超え=買われすぎ、ローワーバンド割れ=売られすぎ |
RSI(相対力指数) |
オシレーター系 |
先行指標 |
買われすぎ・売られすぎの判断 |
70付近まで上昇=買われすぎ、30付近まで低下=売られすぎ |
フィボナッチ・リトレースメント |
トレンド系(値幅分析) |
先行指標 |
押し目・戻りの水準予測 |
38.2%、50%、61.8%が主要な支持・抵抗の目安 |
一目均衡表 |
トレンド系 |
遅行指標 |
支持・抵抗水準、トレンドの方向性把握 |
基準線と転換線の位置関係、雲(先行スパン)とのクロスで判断 |
標準偏差 |
ボラティリティ系 |
遅行指標 |
相場全体の安定・不安定の把握 |
数値上昇=不安定な相場、数値低下=落ち着いた相場 |
平均方向性指数(ADX) |
トレンド系(強弱測定) |
遅行指標 |
トレンドの強弱判断(方向性は示さない) |
25以上=強いトレンド、25未満=弱いトレンド |
指標で導き出した数値の通りに相場が動くというわけではない点を念頭に置いておきましょう。一つの指標だけで判断するのではなく、トレンド系とオシレーター系を組み合わせて使うのがおすすめです。
テクニカル指標とは何ですか?
テクニカル指標とは、過去の値動きや取引量などのデータをもとに、将来の相場動向やトレンドの強弱を分析するためのツールです。移動平均線やRSI、MACDなどが代表的な例で、これらを使った分析手法を「テクニカル分析」と呼びます。
初心者にはどのテクニカル指標がおすすめですか?
初心者の方には、まず仕組みがシンプルな移動平均線(MA)から始めるのがおすすめです。トレンドの方向性を視覚的に把握しやすく、他の指標と組み合わせる際の土台にもなります。慣れてきたら、買われすぎ・売られすぎを判断できるRSIやストキャスティクスを併用すると分析の幅が広がります。
テクニカル指標は何種類くらい使うのが適切ですか?
一つのインジケーターだけに頼ったり、逆に多くの指標を同時に使いすぎたりするのはおすすめできません。一般的には、トレンド系(例:移動平均線)とオシレーター系(例:RSI)を1〜2種類ずつ組み合わせ、ご自身の取引プランに合わせて使い分ける方法が効果的とされています。
先行指標と遅行指標の違いは何ですか?
先行指標は将来の値動きを予測する目的で使われる指標(例:ストキャスティクス、RSI)で、遅行指標は過去のトレンドから相場の勢いを確認する目的で使われる指標(例:移動平均線、MACD)です。両方の性質を理解して使い分けることで、より精度の高い分析が可能になります。
テクニカル指標はデモ口座で試すことができますか?
はい、IG証券のデモ口座では、実際の資金を使わずに各種テクニカル指標の表示や使い方を試すことができます。実取引を始める前に、ご自身の取引スタイルに合った指標を見つける練習として活用いただけます。
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