TSMC、成長見通しを維持 不確実性にも言及 日本の半導体株は好感
TSMCは17日の2025年1-3月期決算会見で2025年の総収入の見通しを維持。顧客企業の動向に変化はないとしているが、先行きの不確実性も指摘している。

半導体受託製造で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は17日の2025年1-3月期決算会見で、2025年の総収入の前年比伸び率が20%台半ばになるとの見通しを維持した。アメリカのドナルド・トランプ大統領による高関税政策が世界経済を揺らす中でも、現状では顧客企業の動向に変化はみられないとしている。17日の日本の株式市場では半導体製造装置の東京エレクトロンなどが値上がりしており、TSMC発表内容は投資家から好感されたようだ。ただ、TSMCは今後の見通しについて不確実性の高さも指摘しており、トランプ氏の通商政策の影響がこれから表面化する可能性は残る。
TSMCの2025年1-3月期決算は総収入が市場予想割れ 4-6月期の見通しは予想超え
TSMCの1-3月期決算は総収入が前年同月比35.25%増の255.26億ドル。TSMCが米国で上場している米国預託証券(ADR)ベースでの1株当たり利益(EPS)は53.62%増の2.12ドルだった。ブルームバーグがまとめた市場予想は、総収入が256.75億ドル、1株当たり利益は2.10ドル。発表された結果は総収入は市場予想を下回ったものの、1株当たり利益は予想を超えた。

またTSMCは4-6月期の総収入の見通しについて284億-292億ドルの範囲を提示。中間値の288億ドルは、ブルームバーグがまとめた市場予想の約272億ドルを上回った。
2025年の20%台半ばでの成長見通しは維持 魏CEO「顧客の行動に変化なし」
さらに魏哲家(シーシー・ウェイ)CEOは17日の決算会見で、2025年通期の総収入について、1月16日の前回決算会見時と同様に、「前年同期比で20%台半ば」の成長が見込めるとした。トランプ氏は1月20日の就任以降、高関税政策を矢継ぎ早に打ち出しているが、魏氏は「顧客企業の行動には、今のところ何の変化も出ていない」としている。2025年通期の見通しは、トランプ政権がNVIDIA(エヌビディア)の中国向け半導体「H20」を輸出規制の対象にしたことを考慮したうえで数字だという。魏氏は同時に人工知能(AI)関連の需要の強さも強調し、2025年のAI半導体の売り上げは倍増するとしている。一方、半導体受託製造関連市場の2025年の見通しについては、前回決算発表時に10%成長を見込んでいたことに言及するにとどめた。
こうした発表内容を日本の株式市場は好感した。東京エレクトロンの株価(8035)は17日の取引を前日比0.61%高にあたる1万9810円で終了。TSMCの決算内容が市場に伝わった午後2時30分の直前には1万9335円をつけていたが、終値までの1時間で2.5%近い値上がりをみせたことになる。半導体製造装置のアドバンテスト(6857)も17日の終値は前日比3.49%高。東京エレクトロンと同様にTSMC決算発表を境とした値上がりがみられた。

半導体需要の見通しには不確実性も 7月の次回決算発表で見通しに変化か
とはいえ、TSMC決算が半導体株にまつわる不安を解消したわけではない。魏氏は決算会見で、トランプ氏の高関税政策が世界経済の見通しをつかなくしていることについて、「今後数か月でより確かな見通しが得られるかもしれない。半導体市場の需要への潜在的な影響を注視する」とも述べた。また黄仁昭(ウェンデル・ファン)CFOも「関税にまつわる不確実性やリスクがある」とし、次回の決算会見までには見通しに変化が出る可能性を示唆している。
実際、オランダの半導体製造装置大手、ASMLホールディング(ASML)は16日に発表した1-3月期決算で、新規受注が市場予想を大幅に下回り、米国株式市場での半導体株安の一因を作った。TSMC自身の株価(TSM)も16日終値段階で、1月23日につけた高値から32.47%安となっている。TSMCの決算は現状では新たな悪材料とは受け止められていないが、世界の半導体株の値動きには引き続き不安がつきまとうことになりそうだ。
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