トヨタ自動車、営業利益急減予想 7日決算 円高継続なら株価に重荷
トヨタ自動車が7日に発表する4-6月期決算は営業利益が3割減となる見通し。米国経済悪化や円高進行の懸念もあり、株価への重荷が増しそうだ。

トヨタ自動車が7日に発表する2025年4-6月期決算は営業利益の急減が予想されている。ドル円相場が1年前に比べて10円以上も円高に振れていることと、アメリカのドナルド・トランプ大統領の高関税政策の悪影響が見込まれているためだ。一方、トヨタの4-6月期の販売は好調で、円高や高関税といった外部要因を除けば、業績の堅実さも感じられる。また7月下旬の日本とアメリカの関税協議での合意では、米国が日本製自動車にかける関税が15%まで下げられるという好材料も浮上。トヨタの株価が1日で14%超上昇する場面もあった。しかし足元の東京株式市場では米国経済悪化懸念やドル円相場での円高が悪材料視されており、トヨタの株価にも下落圧力がかかっている。今後もさらに円高が進むことになれば、トヨタの株価にとっての重荷が増しそうだ。
トヨタ自動車の2025年4-6月期決算は営業利益が32%減の見通し
トヨタは7日に4-6月期決算を発表する。ブルームバーグがまとめた市場予想によると、総収入は前年同期比2.9%増の12兆1820億円になる見通し。営業利益は32.0%減の8902億円になるとみられている。予想通りであれば、総収入の伸び率は1-3月期の11.7%増から急減速し、営業利益は2022年4-6月期(42.0%減)以来の大きな下落率となる見通しだ。トヨタは直近20回の四半期決算のうち、総収入では1回、市場予想を超えられなかった。営業利益では7回市場予想を下回っている。

トヨタの株価は2024年末比で13.40%安 日経平均を大きく下回る悪い成績
トヨタの株価(7203)の1日の終値は2724.50円で、2024年末比では13.40%安となっている。日経平均株価(N225)の2.27%高を大きく下回る不振ぶりだ。前回(1-3月期)決算発表前日にあたる5月7日との比較でも0.68%高にとどまり、やはり日経平均の10.93%高に大きく見劣りしている。
ブルームバーグによると、トヨタの直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は1日段階で10.2倍程度で、前回決算発表前の9.5倍程度からわずかに割高感が増している。アナリストが提示する目標株価の平均は3003円で、現状よりも10%ほど高い。26人のアナリストのうち19人は買い、6人は維持、1人は売りを勧めている。
ドル円相場での円高とトランプ関税が営業利益を圧迫 販売台数は好調
トヨタの営業利益の大幅減少予想の背景には、円高とトランプ関税という外部要因がある。ブルームバーグによると、4-6月期のドル円相場(USD/JPY)は平均1ドル=144円台半ばで推移。一方、1年前にあたる2024年4-6月期のドル円相場は155円台後半での値動きだった。1年で10円超の円高が進んだことになり、トヨタがドル建てで稼いだ利益の日本円での評価が小さくなることは必至の情勢だ。トヨタは5月に示した2026年3月期の業績見通しで、ドル円相場を1ドル=145円と想定したうえで、営業利益が7450億円下押しされるとしていた。また、4-6月期の業績ではトランプ氏が4月3日に発動した輸入自動車に対する25%関税の悪影響も避けられない。トヨタは高関税について、4月と5月だけで営業利益を1800億円下押しするとみていたが、6月も利益が圧迫されている可能性がありそうだ。

一方、トヨタが7月30日に発表した4-6月期の世界販売台数は前年同期比7.3%増。トヨタ自身が設定している2026年3月通期の見通しである1.7%増を大きく上回るペースで販売が伸びている。2025年3月期の実績(0.7%減)からの反発に期待をもたせる成果だ。また、トランプ氏の高関税政策をめぐっては、米国が相互関税を15%とし、日本製自動車に課す関税も15%とすることで日米が合意しており、逆風は弱まったといえる。トヨタの株価は日米合意を受けた7月23日の取引では前日比14.34%高となっていた。

米国の経済見通しに不安 円高がさらに進めば下落圧力も
とはいえ、足元の株式市場では米国経済への不安が材料視されており、トヨタの株価にとっても重荷となりそうだ。1日に発表された7月雇用統計は非農業部門の就業者数がブルームバーグがまとめた市場予想を下回ったうえ、5月と6月の実績も大幅に下方修正される悪い結果。1日の米国株式市場は2か月半ぶりの急落に見舞われた。これを受けた4日の東京株式市場でも下落圧力が強まっており、トヨタの株価は4日午前10時56分の段階で、前週末比2.00%安にあたる2670円で取引されている。
またトヨタの株価にとっては円高がさらに進むことへの懸念もくすぐる。ブルームバーグによると、4日のドル円相場は1ドル=147円台後半で推移。7月雇用統計発表直前の150円台半ばから3円近くの円高が進行している。今後の経済指標の発表に際しても米国経済の弱さが材料視されれば、円高を通じてトヨタの株価への下落圧力になると考えられそうだ。
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