トヨタ自動車、株価3000円割れも 日本株波乱余波 業績好調で割安感
トヨタ自動車の株価は3日続落で5%超値下がり。一方、トヨタは業績に自信を示しており、割安感は8月以来の水準が視野に入っている。
トヨタ自動車の株価に大台割れが近づいている。トヨタ自動車の株価の18日の終値は前日比3%近く値下がりし、3日続落の間に5.28%安。約1か月ぶりの3000円割れが視野に入った。人工知能(AI)ブームへの期待縮小を背景とした高市トレードの巻き戻しの余波を受けた形で、ドル円相場での円安基調も好材料視されない状況だ。一方、トヨタは5日の2025年7-9月期決算発表で販売台数の見通しを引き上げるなど、業績に自信を示した。結果として株価の割安感は強まっており、株価反発の余地は残っていそうだ。ただ、AIブームの継続性への懸念が高まる中で、株式市場の混乱はすぐには治まらない可能性があり、トヨタの株価への下落圧力も継続するおそれがある。
トヨタの株価下落の要因は、日本株全体を押し上げてきたAIブームと高市トレードの巻き戻しだ。東京株式市場の18日の取引では日経平均株価が前日比3.22%安となり、前日までの5万円台から一気に4万8000円台まで下落。全225銘柄のうち206銘柄が値下がりした。同時にドル円相場では、日本銀行の利上げや米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げへの期待の後退を背景として円安が進み、海外で稼ぐ日本企業の業績への追い風も期待されるが、トヨタの株価を浮上させるには至っていない。
トヨタの2025年7-9月期は好業績 総販売台数の見通しを引き上げ
一方、トヨタは5日の取引時間中に行った7-9月期決算発表で業績に自信を示していた。7-9月期の総収入は前年同期比8.2%増の12兆3774億円で、前四半期の3.5%増から成長が加速。ブルームバーグがまとめた市場予想の12兆1144億円を上回った。また営業利益は27.4%減の8395億円で、市場予想の8443億円を下回る結果。しかしアメリカのドナルド・トランプ大統領の高関税で生じた4500億円の悪影響をのぞけば、実質的には11.6%増の1兆2895億円だったとみることもでき、決して悪い決算だったわけではない。
こうした中、トヨタは2026年3月通期のグループ総販売台数の見通しを前期比2.6%増の1130万台とし、これまでの1120万台(1.7%増)から引き上げた。5日の決算説明会で今健太CFOは「世界中のお客様から強い需要をいただいている」と胸を張った。通期の総収入と営業利益の見通しも、それぞれ49兆円と3兆4000億円に上方修正。いずれもブルームバーグの市場予想は下回る水準で、株価は発表当日の5日に前日比3.65%安に沈んだが、13日の段階では決算発表前と比べて1.36%高にまで回復していた。
業績見通しには上方修正の余地も 米国市場の好調と円安基調が好材料に
株式市場ではトヨタの業績にはさらなる上方修正の余地があるともみられている。関税の悪影響を受ける米国市場では、高関税を警戒した駆け込み需要の反動が懸念された4月以降も好調な販売が継続。6月を除けば前年同月比10%以上の伸びが続いている。こうした需要の強さを踏まえれば、高関税の悪影響を和らげるための値上げの余地があるともいえそうだ。
また、トヨタ自動車は業績見通し作成に際して、10月以降のドル円相場を1ドル=145円と設定しているが、実際のドル円相場は10月以降に平均152円台で推移しており、円安の追い風はこれから考慮される可能性がある。
割安感は8月上旬以来の水準に 株式市場の波乱の余波は継続か
こうした中、高市トレードの逆回転で下落したトヨタの株価には割安感も出ている。ブルームバーグによると、トヨタの18日の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は10.1倍で、8月上旬以来の10倍割れも視野に入る。トヨタの株価の18日の終値は決算発表前日の4日との比較で3.99%下落しているが、予想1株当たり利益(EPS)は4.71%上昇しており、割安感が高まる要因となっている。
ただ、東京株式市場の急落の背景には、AIブームの継続への疑念が強まる中で、投資家心理が冷え込んでいることがある。18日の米国の株式市場では大手ハイテク株がそろって下落し、S&P500種株価指数(SPX)は4営業日続落。19日の半導体大手NVIDIA(エヌビディア、NVDA)の2025年8-10月期決算発表や20日の9月雇用統計で投資家心理がさらに冷え込む恐れがあり、日本株への悪影響がトヨタの株価を3000円割れに追い込むことも考えられそうだ。
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