トヨタ、トランプ関税の影響見通しは? 8日決算 株価下落リスクも
トヨタが8日に行う決算発表は2026年3月通期の見通しが焦点。トランプ関税の影響が大きくなるとの不安を招けば、株価が下落するおそれがある。

トヨタ自動車が8日に行う2025年1-3月期決算発表は2026年3月期の業績見通しが注目される。2025年3月期については、すでに発表されている販売台数がトヨタが示した見通しを超えており、堅調な結果になるもよう。一方、2026年3月期についてはアメリカのドナルド・トランプ大統領の高関税政策の悪影響は避けられず、業績の見通しをつけづらいのが現実だ。トヨタの株価はトランプ氏の自動車関税をめぐる思惑で揺れ動いており、投資家から業績への悪影響が大きいと判断された場合には、株価への下落圧力が強まるリスクがありそうだ。
トヨタの2025年3月期は総収入が5.6%増の見通し
トヨタは8日に2025年1-3月期決算を発表する。ブルームバーグがまとめた市場予想によると、総収入は前年同期比9.6%増の12兆1362億円になる見通し。営業利益は4.6%増の1兆1644億円になるとみられている。2025年3月通期でみれば、総収入は前期比5.6%増の47兆5985億円が見込まれる一方、営業利益は9.9%減の4兆8241億円が予想されている。

トヨタの株価は2024年末比で12.56%安 円高にトランプ関税への不安が重なる
トヨタの株価(7203)の1日の終値は2751円で、2024年末比で12.56%安。日経平均株価(N225)の8.63%安を下回る成績となっている。2024年は年間21.44%高と日経平均をしのぐ結果だったが、2025年は出足からつまづいた形だ。2025年に入ってからは1月上旬に1ドル=158円台をつけていたドル円相場(USD/JPY)が4月には139円台まで円高に振れたことが株価の重荷になっているほか、トランプ氏が3月26日に輸入自動車への25%関税を4月3日から発動すると決めた後は、トランプ氏の高関税政策をめぐる思惑で株価が大きく動いている。

ブルームバーグによると、直近の株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は9.7倍で、2024年末の水準(10.4倍)から割高感が和らいだ。アナリストが提示する目標株価の平均は3116円で、現状よりも13%ほど高い。27人のアナリストのうち19人は買い、7人は維持、1人は売りを勧めている。
トヨタの販売台数は1月以降に急回復 ドル円相場もトヨタの想定通りの水準に
トヨタは2024年10-12月期までは販売台数が低調。2024年4-12月の9か月間のグループ総販売台数は前年同期比3.1%減の829万5451台にとどまり、株価を下押しする要因になっていた。しかし販売は2025年1月以降は急激に回復。4月24日に発表した2025年3月通期の販売台数は0.7%減の1101万0835台まで盛り返し、2024年11月に下方修正した販売目標の1085万台をクリアした。また、ドル円相場は2025年3月期の平均では1ドル=152円で推移しており、トヨタが2月時点で想定していた水準と一致する着地となっている。このため2025年3月期の決算内容には大きな波乱は起きないと考えられそうだ。

トランプ関税のマイナス効果は必至 GMは40億-50億ドルの影響を想定
一方、2026年3月期の業績見通しについては不確定要素が山積している。トランプ氏が輸入自動車への25%関税を発動させる中、日本の自動車メーカーは米国内での販売価格を引き上げなければ利益が圧迫されることは必至。しかし価格を引き上げれば販売低迷につながる恐れもあり、おいそれとは決断できないのが現状だ。また、トランプ氏の高関税への不安は3月までの駆け込み需要を招いており、今後、反動がでることも想定される。自動車メーカーの間で広がる不安を受け、トランプ政権は4月29日には米国内で自動車を生産するメーカーに対する2年間限定での負担軽減措置をとると発表。日米の関税協議については前進を強調している。
自動車大手の中ではドイツのフォルクスワーゲン・グループが4月30日の1-3月期決算発表に際して、2025年の販売収入が前年比で最大5%増になるとの見通しを維持。ただし「このところ発表されている関税の影響について考慮していない」とした。また、米ゼネラル・モーターズ(GM)は5月1日、関税により40億-50億ドルの影響が出るとの見通しを示している。
こうした中、トランプ氏の高関税政策がトヨタの業績にプラスになることは想定しづらく、8日の決算発表はトヨタにとって試練となる可能性がある。高関税による影響が金融市場の想定よりも大きいとの印象をもたれた場合には、株価が下落することも考えられそうだ。
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