トヨタ自動車、株価上向き トランプ関税不安後退 販売好調維持焦点
トヨタ自動車の株価は決算発表から2週間で6%上昇。トランプ関税への不安は後退しているが、株価の割高感は4年2か月ぶりの高水準になっている。

トヨタ自動車の株価が上向いている。21日の終値は前日比では値下がりしたものの、2025年4-6月期決算発表前日との比較では約2週間で6%超の値上がり。決算発表では、アメリカのドナルド・トランプ大統領の高関税政策の影響で、2026年3月通期の業績見通しを下方修正するという悪材料があったにも関わらず、株価は底堅さをみせている。業績見通しの下方修正で高関税の悪影響の度合いがはっきりしたことに加え、トヨタの業績への逆風となるドル円相場での円高が進んでいないことも安心材料となっているようだ。一方、業績見通しを引き下げる中での株価上昇はトヨタの株価の割高感を4年2か月ぶりの水準にまで押し上げている。トヨタの株価の今後の見通しは、販売台数を積み重ねるなどの取り組みで、トランプ関税の悪影響をどこまで取り返せるかにかかってきそうだ。

トヨタの2025年4-6月期決算は市場予想超え 2026年3月期の業績見通しは下方修正
トヨタが7日の取引時間中に行った4-6月期決算発表は好材料と悪材料が入り混じる内容。総収入は前年同期比3.5%増の12兆2533億円、営業利益は10.9%減の1兆1661億円だった。ブルームバーグがまとめた直前の市場予想は、総収入が12兆1820億円、営業利益が8902億円で、発表された結果は総収入と営業利益の両方で市場予想を超える好決算だった。

一方、トヨタは決算発表に合わせて、2026年3月通期の業績見通しを下方修正。営業利益が3兆2000億円になるとの予想を示し、前回5月の決算発表時に示した3兆8000億円から6000億円もの大幅な引き下げとなった。7日の株式市場ではトヨタの株価は前日比1.51%安となった。
トランプ関税の影響は通期で1兆4000億円 不透明感の緩和が株価上昇を後押し
業績見通しの下方修正にも関わらず、トヨタの株価が復調しているのは、悪材料の出尽くしが感じられたからだ。営業利益見通しが6000億円引き下げられた最大の要因はトランプ氏の高関税政策の悪影響を大きく積み増したこと。前回決算発表時は4、5月の2か月分として1800億円を見込んでいたが、今回の業績見通しでは2026年3月通期で1兆4000億円の利益圧迫を想定した。ただ、日米は7月23日発表の関税協議での合意で日本からの輸入自動車にかかる関税は15%としており、4月以降にかかってきた25%関税よりは利益への悪影響が軽減されそうだ。
また、ドル円相場(USD/JPY)での円高もスローペースとなっている。ブルームバーグによると、ドル円相場は7月に入ってからほぼ一貫して1ドル=145-150円台で推移。トランプ氏が米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長を解任する可能性が取り沙汰されていた4月22日につけた139.89円のような円高の再来は起きていない。トヨタは通期の業績見通し作成に際して、ドル円相場を145円と想定しており、足元の水準は投資家にとっての安心材料といえる。
予想株価収益率は4年2か月ぶりの高さ 営業利益の減少を抑え込めるかが焦点に
一方、業績見通しが引き下げられる中で進む株価上昇は、割高感につながっている。ブルームバーグによると、トヨタの株価と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は20日段階で11.47倍となり、2021年6月17日につけた11.61倍以来の高水準。日経平均の予想PERが20倍を超えていることを踏まえれば大きな数字とはいえないが、トヨタ株の基準では異例の割高感だ。

このためトヨタの株価の今後の見通しはトランプ関税に伴う業績悪化を食い止め、株価の割高感を抑えられるかにかかってくる。トヨタが示した2026年3月期の営業利益が3兆2000億円になるという見通しは、前期から約1兆6000億円もの大幅な減収。トヨタが今後、販売増加やコスト削減などの取り組みを積み重ねることで減収幅を縮めることができれば、株価上昇に対する追い風が増す。トヨタの4-6月期の販売台数は前年同期比7.3%増で、トヨタが2026年3月通期の見通しで示している1.7%増を上回るペースとなっている。

ただ、トヨタの株価はドル円相場の影響を受けやすく、ドル円相場が145円を超える円高になれば、下落圧力を受けることは避けられない。足元では安定しているドル円相場の値動きも投資家心理を揺らすことになりそうだ。
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