米国株、急落リスク拡大 S&P500週次反落 AI不信や金融不安渦巻く
S&P500は週次0.44%安。エヌビディアの好決算は起爆剤にならなかった。AI普及の余波や金融株の不振が要因で、週明け以降も波乱が起きそうだ。
アメリカの株式市場に不安が渦巻いている。S&P500種株価指数の27日の終値は1週間前比0.44%安で2週ぶり反落。好決算を発表した半導体大手NVIDIA(エヌビディア)を含む「マグフィニセント・セブン」と呼ばれる大手ハイテク7社のすべてが週次で下落した。人工知能(AI)の本格普及が既存産業への打撃になるとの懸念に加え、イギリスの金融機関の経営破綻が米国の金融機関への不安をも強めた結果だ。投資家はリスク回避姿勢を強めているもようで、AIブームが追い風になるはずの半導体株の値動きも冴えない。週明け3月2日以降の金融市場では、6日発表の2月雇用統計をはじめとする経済指標や、半導体大手の決算発表も予定されている。投資家心理が悪化する中では経済イベントに対する株式市場の反応が悲観的になる可能性があるほか、イラン情勢も悪化しており、S&P500の急落リスクは大きくなっているといえそうだ。
アメリカのS&P500は2週ぶりの週次反落 最高値から1.43%安まで後退
S&P500(SPX)の27日の終値は前日比では0.43%安の6878.88。2日連続での値下がりで、1月27日の最高値(6978.60)から1.43%安まで後退した。ブルームバーグによると、週次での下落(0.44%安)は大手ハイテク各社のAI関連設備投資の大きさへの不安が続いた9-13日週(1.39%安)以来2週ぶりだ。
またS&P500の2月の騰落率は0.87%安となり、ドナルド・トランプ大統領の高関税政策が不安視されていた2025年3月(5.75%安)以来11か月ぶりの大きな下落となった。2月は歴史的にみて投資家心理が冷えやすい月とされ、2026年もジンクスが維持された形だ。
エヌビディアは好決算でも週次6.65%安 オープンAIの1100億ドル調達にも冷ややか
S&P500の足を引っ張っているのは大手ハイテク株だ。エヌビディア(NVDA)は25日発表の四半期決算が市場予想を超えたにも関わらず、翌26日の株価は前日比5.46%安。27日までの週次でも6.65%安となった。マグニフィセント・セブンの他の6社も週次で0.05-2.26%%安となっている。7社の株価がそろって週次で下落するのは、米国と中国のレアアースをめぐる緊張が再燃した10月6-10日週以来だ。
S&P500は、AIブームの火付け役であるオープンAIが27日に、サービス提供能力強化のために1100億ドルの資金調達を行うと発表したことにも沸かなかった。オープンAIは、エヌビディアから300億ドル、日本のソフトバンクグループ(9984)から300億ドル、アマゾン・コム(AMZN)からは500億ドルを調達すると公表。ChatGPTの週間利用者数が9億人に達したことや、企業向けの有料会員が900万社なったこと、プログラミング支援のAIサービスの利用者が急拡大していることなどをアピールしているが、投資家心理は上向いていない。
AIブームの余波への懸念は継続 英国金融機関破綻で米国の金融株も下落
株式市場がAIブームを好感しない背景には、AIによる業務効率化が一部の既存産業から市場を奪うとの懸念が続いていることがある。ブルームバーグによると、ソフトウェアやサービスに関連した銘柄の株価指数との連動を目指す上場投資信託(SPDR S&Pソフトウェア・サービスETF)の27日の終値は前日比2.11%安となった。2025年末比では19.55%安で、S&P500の0.49%高を大きく下回る成績だ。
また27日の株式市場では金融株の不振も注目された。25日に経営破綻を申請したイギリスの住宅ローン会社のマーケット・フィナンシャル・ソリューションズ(MFS)に対し、ウェルズファーゴ(WFC)など米国の金融機関も融資を行っていると報じられているからだ。ウェルズファーゴの株価は27日に前日比5.62%安と急落した。S&P500内で金融セクターに分類される銘柄との値動きを目指す上場投資信託(SPDR S&P金融ETF)の27日の終値は前日比2.04%安。2025年末比では6.10%安で、金融株もS&P500の足を引っ張る存在だといえる。
こうした中、米国の金融市場では投資家のリスク回避姿勢も感じられる。シカゴ・オプション取引所によると、ウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)の27日の終値は前日よりも6.60%高い19.86。23日の21.01以来の高さとなり、再び20の大台が近づいてきた。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど、今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。
週明け3月2日以降の米国の金融市場では重要イベントが相次ぐ。2日には米サプライマネジメント協会(ISM)が2月の製造業の景況感指数(PMI)を発表するほか、4日には民間雇用サービス会社ADPの全米雇用リポート、6日には雇用統計が控える。さらに4日の取引時間終了後にはブロードコムが2025年11月-2026年1月期決算を発表する予定だ。経済指標が強い結果だった場合でも米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが遠のくとの見方が投資家心理を冷やす可能性があるほか、ブロードコムが好決算を発表したとしてもエヌビディア同様に株価下落に見舞われる恐れもある。イラン情勢をめぐっては日本時間28日午後、米国とイスラエルがテヘランへの空爆を実施したと報じられており、S&P500の今後の見通しには波乱が待ち受けていそうだ。
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