米国株、悪材料山積でリスク拡大 S&P500急落 エヌビディアは反発
S&P500は1%超の反落。トランプ氏の新関税やイラン情勢、AI不安が投資家心理を悪化させた。エヌビディアの株価は好調だが、株式市場の見通しは暗い。
アメリカの株式市場の混乱が拡大してきた。S&P500種株価指数の23日の終値は前週末比1.04%安の反落。ドナルド・トランプ大統領が相互関税に代わる新たな関税を打ち出していることや、イラン情勢をめぐる緊張の高まりで、投資家心理の悪化が続いている。さらに23日には人工知能(AI)の普及が既存産業の業績の逆風になるとの見方が再燃すると同時に、AIサービスを提供する大手ハイテク株も下落しており、株式市場の見通しは暗い。一方、AIの開発やサービス展開に不可欠な最先端半導体を供給する半導体大手NVIDIA(エヌビディア)の株価は、25日の四半期決算発表を控え、続伸した。ただ、株式市場では半導体株全体が勢いづいているわけではなく、S&P500の先行きに潜む急落リスクは大きくなっているといえそうだ。
アメリカのS&P500は反落 1%超の下落は2月に入ってすでに3回目
S&P500(SPX)の23日の終値は6837.75で、13日以来の安値水準。1月27日の最高値(6978.60)から2.02%安の水準まで後退した。ブルームバーグによると、1%を超える下落は2月に入ってから3回目で、すでに12月の2回や1月の1回を超えている。
トランプ氏の新関税は15%に イラン軍事攻撃の可能性と合わせて投資家心理冷やす
S&P500の値動きが不安定化している背景には米国の政治や経済の混迷が深まっていることがある。4月に国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて発動された相互関税は、20日の連邦最高裁判所の違憲判断を受けて停止されたが、トランプ氏は同日、1974年通商法122条に基づき、24日から150日間の期間限定で各国からの輸入品に10%関税を課すことを決定。さらに21日の自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿では、この関税を15%に引き上げると表明した。またトランプ氏は23日午後の投稿ではイランとの核協議に関してイランに対する軍事攻撃の可能性を示唆。外交的な解決を望んでいるとしつつも、イランを軍事攻撃した場合には「簡単に勝利する」ことができるとした。
こうした中、23日の金融市場ではウォール街の「恐怖指数」と呼ばれるVIX指数(VIX)が上昇。シカゴ・オプション取引所によると、VIXの23日の終値は前週末より10.06%高い21.01となり、16日(21.20)以来、1週間ぶりの高さとなった。VIXはS&P500のオプション取引の動向から算出され、値が大きいほど今後の値動きが荒くなることへの警戒が強いことを示す。
AIサービスとの競合懸念でIBMが13.81%安 ソフトウェア分野での懸念深まる
さらに23日にはAIの普及が既存産業の業績を悪化させるとの懸念が再燃した。AI開発企業のアンソロピックは23日のブログ投稿で、プログラム言語「COBOL(コボル)」に習熟した技術者が少なくなる中、AIがコボルを用いたシステムの刷新を進めることができると表明。23日の株式市場では、コボルが使われている金融機関や政府機関などの大型システムで実績があるIBM(IBM)のシステム刷新サービスへの需要が奪われるとの見方から、IBMの株価が前週末比13.81%安と急落しした。
アンソロピックをめぐっては、1月30日に発表したAIサービスの新機能が既存の産業の脅威になるとの観測を強めている。ブルームバーグによると、ソフトウェアやサービスに関連した銘柄の株価指数との連動を目指すステート・ストリート社の上場投資信託(SPDR S&Pソフトウェア・サービスETF)の価格の23日終値は141.84ドルで、2月に入ってから15.16%安の急落。同じ期間でのS&P500の1.46%安を大きく下回る成績となっており、投資家の間では他産業の株価でも同様の急落が起こりえるとの懸念が強い。
一方、AI向けの最先端半導体を供給するエヌビディア(NVDA)の株価は23日終値で前週末比0.91%高の191.55ドルとなり、1月29日(192.51ドル)以来、約3週間ぶりの高さに到達。2月5日の直近の安値(171.88ドル)からは11.44%高となった。エヌビディアは25日に2025年11月-2026年1月期決算発表を控えており、好業績と強気な見通しが示されるとの期待もありそうだ。エヌビディアは2023年以降の株式市場の上昇を牽引してきただけに、株価に勢いが戻ればS&P500の見通しが明るくなる可能性もある。
AMDの株価不振は止まらず エヌビディアが好決算でも急落リスクは継続か
ただ、エヌビディアの株価上昇は半導体株全体への期待を表しているわけではない。23日の取引ではエヌビディアのライバルにあたるアドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)の株価は前週末比1.77%安となっており、1-3月期の業績見通しが悪材料視された4日の急落以降の不振が続いている。半導体需要の強まりが追い風になっていた半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(AMAT)も23日は0.49%安となり、6営業日ぶりに反落した。こうした中では、エヌビディアが25日に好決算を発表したとしても半導体株への期待がS&P500を勢いづかせることは難しく、経済や政治の混迷や、AIブームの余波への不安という急落リスクだけが残る筋書きも考えられそうだ。
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