日経平均、2025年は年間26%高 3年連続大幅上昇 年明けには不安
日経平均株価は3年連続での高い上昇率。高市トレードが追い風となった。ただ11月以降は失速感が出ており、年明けの値動きには不安が残る。
日経平均株価は2025年に値上がりが加速した。2025年最後の取引となった30日の終値は5万0399.48円で、2024年末比では26.18%高。人工知能(AI)ブームが追い風となった半導体検査装置のアドバンテストなどが牽引役となって、3年連続での高い上昇率を記録した。また10月には高市早苗政権の誕生を好材料視する「高市トレード」も日経平均の上昇に拍車をかけた。ただ、高市トレードは11月以降は失速感が鮮明で、第2次安倍晋三政権発足時のアベノミクス相場の上昇ペースからは大きく見劣りしている。2026年の株式市場ではAIブームの失速懸念が続くことが想定され、日経平均の年明けの値動きにも逆風が吹きつける恐れもある。
日経平均株価は2025年に26.18%高 3年連続での大幅上昇
日経平均株価(N225)の30日の終値は2024年末比で1万0444.94円高にあたり、上昇率(26.18%高)は2023年の28.24%高以来の大きさだった。日経平均プロフィルの1950年以降の76年分のデータでは、過去18番目に高い年間上昇率にあたる。日経平均は2024年も19.22%高という大きな上昇率を記録しており、3年間通算での上昇率は92.91%高。アベノミクス相場があった2012-2014年の3年間で記録した106.39%高以来の大きさとなった。
高市トレードで10月末に5万2411.34円 11月以降は失速
また、2025年の日経平均株価の上昇はAIブームに加え、高市政権の発足でも大きく勢いづいた。10月4日の自民党総裁選挙で積極財政を掲げる高市氏が勝利すると、週明け6日の東京株式市場では日経平均が前週末比2175.26円高と急騰し、10月31日の最高値(5万2411.34円)まで駆け上がった。ブルームバーグによると、10月の月間上昇率は16.64%高で、1990年10月以来35年ぶりの高い月次上昇率だった。
ただ、日経平均は10月以降に失速感が出たことは否めず、11月の月次騰落率は4.12%安、12月は0.17%高にすぎない。米国の大手ハイテク企業が10月下旬に行った2025年7-9月期決算発表を機にAIブームの継続性への疑念が膨らみ、アドバンテストやソフトバンクグループなどの半導体株が下落したことが要因のひとつだ。また高市氏の積極財政が財務の健全性を損なうとの見方が長期金利(10年物国債利回り)を26年10か月ぶりの高さにまで上昇させていることも株価にとっての逆風といえる。
こうした中、一時はアベノミクス相場を上回るペースだった高市トレードも失速している。自民党総裁選前日から12月30日終値までの12週間あまりでの日経平均の上昇率は9.98%高。2012年12月の第46回衆議院選挙を起点とするアベノミクス相場の同じ期間での上昇率(26.47%高)に大きく見劣りしている。
FOMCの議事要旨や米中関係が不安材料 AIブームへの期待縮小も日経平均の逆風
日経平均の年明け最初の取引となる1月5日に向けては、悪材料が積み重なる可能性もありそうだ。米国の株式市場では12月30日に12月の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨が発表される予定で、2026年の追加利下げに関する慎重意見が目立つ内容となれば、米国株の下落が日本株に悪影響を及ぼしかねない。また、中国人民解放軍が29日から台湾周辺海域で始めた軍事演習が米中関係の緊張を連想させれば、やはり米国株式市場を通じた日経平均への下落圧力が強まる展開も想定される。
さらに1月下旬以降は再び、米国の大手ハイテク企業の2025年10-12月期決算発表が始まる見通しで、改めてAIブームの継続性への疑念が高まる可能性もある。ブルームバーグによると、金融市場では日経平均の2026年末の終値は5万8000円に到達するとも予想されているが、出足でつまづく恐れも拭えない。
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