日経平均、急落のおそれ 週次656円下落 雇用統計ショック再来不安
日経平均株価は週次656円安で最高値目前から後退。1日の米国市場では見通し不安が強まっており、日経平均の急落も懸念される。

日経平均株価の見通しが半導体株で暗転した。日経平均の1日の終値は1週間前比で656.63円安。一時は目前に迫っていた1年ぶりの最高値更新が遠のいた。2025年4-6月期決算発表が悪材料となった東京エレクトロンなどの半導体株が軒並み下落して足を引っ張った結果だ。一方、海外投資家の日本株への関心は継続しているもようで、日本株への好材料として維持されている可能性がある。しかし日経平均は前週までは急激な上昇を続けてきただけに利益確定の売りに押されやすい状況。さらに1日発表のアメリカの雇用統計は米国経済の見通し不安を示す内容で、週明けには米国株安と円高が進む可能性も出てきた。投資家の脳裏には1年前の雇用統計発表後に日経平均が1日で4451円安となった記憶も残っており、日経平均が週明けに急落する展開も考えられそうだ。
日経平均株価は週次656円安 最高値から3.37%安まで後退
日経平均株価(N225)の1日の終値は前日比では270.22円安の4万0799.60円。7月24日には4万1826.34円をつけ、2024年7月11日の最高値(4万2224.02円)が目前にせまっていたが、3.37%安の水準まで後退した。ブルームバーグによると、週次での下げ幅(656.63円安)は、アメリカのドナルド・トランプ大統領が相互関税を発表した3月31日-4月4日週(3339.75円安)以来の下落幅となる。


アドバンテストは株価上昇の反動 ソフトバンクグループはアームの見通しに不安
3社の下落の要因は三者三様といえる。東京エレクトロンは31日の取引時間終了後に発表した4-6月期決算が、総収入が前年同期比1.0%減となる5四半期ぶりの減収決算。ブルームバーグのまとめた市場予想も下回った。さらに2026年3月通期の業績見通しでは総収入などを下方修正し、投資家の失望を買っている。東京エレクトロンは業績見通し下方修正の理由について、顧客企業が売り上げ拡大よりも利益の確保に軸足を移し始めたことなどを挙げている。
これに対してアドバンテストは29日の4-6月期決算発表に際し、2026年3月通期の業績見通しを上方修正。しかし前日の28日にはUBS証券が投資判断を引き下げたと伝わったことで8.96%安となっており、4月上旬から7月中旬にかけて株価が2.3倍になった反動が出た側面がありそうだ。ソフトバンクグループはアームが日本時間の31日早朝に市場予想を下回る決算発表を行っており、株価の重荷になった。

海外投資家の日本株買い越しは17週連続に 合計6兆1395億円
一方、日本株に対する海外投資家の関心は続いているようだ。日本取引所グループが31日に発表した投資部門別売買状況によると、海外投資家は前週(7月21-25日)に東京証券取引所と名古屋証券取引所の合算ベースで、日本株を6023億円買い越した。海外投資家の買い越しは17週連続で、アベノミクスへの期待が高まった2012年11月中旬から2013年3月中旬にかけての18週連続以来の記録だ。今回の買い越し額は17週の合計で6兆1395億円に達しており、18週連続時の5兆6692億円を上回っている。

米国の雇用統計で円高が147円台まで進行 1年前の4451円安の記憶も
しかし日経平均はトランプ氏の相互関税一部停止前につけた4月7日終値(3万1136.58円)から7月24日の高値まで、3か月半で34.33%高となっており、利益確定の売りが出やすい状況。株価回復の原動力となってきたアドバンテストやソフトバンクグループに息切れ懸念が出てくれば、日経平均の上昇の勢いは衰えていくことになりそうだ。
また、東京株式市場の1日の取引時間終了後には、米国の金融市場で見通し不安が拡大した。1日発表の7月雇用統計はブルームバーグがまとめた市場予想を下回ったうえ、5月と6月の実績も大幅に下方修正される悪い内容。トランプ氏の高関税政策が企業の利益を圧迫し、労働市場の悪化につながるという悪いシナリオが急激に現実味を帯びた。こうした中、ドル円相場(USD/JPY)は1日のニューヨーク市場の終値で1ドル=147.40円を記録。ブルームバーグによると、ドル円相場は雇用統計発表直前には150.57円をつけていたが、一気に3円超の円高が進んだ形となった。

米国経済の不安と円高はいずれも米国で稼ぐ日本企業の業績にとっては逆風だ。日経平均は1年前の2024年8月5日、日本銀行の利上げと雇用統計の悪化を要因とした急激な円高を受けて、前週末比4451.28円安という市場最大の下落幅を記録したことがある。足元の金融市場は1年前とは異なり、円キャリートレードの巻き戻しが円高につながるとの筋書きは描きにくいが、週明け4日の日経平均の取引をめぐっては、投資家不安の高まりが荒れた値動きにつながることも想定される。
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