ドル円、日銀の利上げ意欲は? 高市円安一服 春闘や米労働市場焦点
ドル円相場は156円台で一方的な円安は一服。春闘での賃上げに向けた勢いの強さや米国の労働市場悪化がみられれば、円高進行の可能性もある。
ドル円相場で高市早苗政権発足を材料視した円安に一服感が出た。ドル円相場は日本時間28日昼までの取引で1ドル=156円台で推移。約2か月前の自民党総裁選挙前の水準からは9円もの円安とはいえ、一方的な円安進行には歯止めがかかったといえる。要因のひとつは、米連邦準備制度理事会(FRB)幹部から12月利下げに前向きな声が相次いだこと。また日本銀行の金融政策をめぐっては12月利上げ見通しが再燃しており、日米双方から円高材料が出ている状態だ。こうした中、今後のドル円相場で円高が進むかどうかは、日本の物価や春闘に関する日銀からの情報発信にかかってきそうだ。また米国の労働市場の失速懸念が強まった場合にも円高の流れが強まる可能性があり、週明け12月1日の日銀の植田和男総裁の挨拶や、米国の経済指標の発表が注目される。
ドル円相場は156円台前半 高市円安に一服感
ドル円相場(USD/JPY)は日本時間28日午後1時50分段階で1ドル=156.22円で取引されている。ブルームバーグによると、ドル円相場は高市政権の積極財政への懸念が強まっていた21日に157.89円をつけた後は円安進行が一服。自民党総裁選前日の10月3日につけていた147円台から9円の円安水準だが、一方的な円売りはストップした。
FRBの12月利下げ確率は93%まで上昇 FRB幹部が労働市場悪化に懸念
円安に歯止めをかけた要因のひとつはFRBの利下げ見通しの浸透だ。ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁が21日のチリでの講演で「近いうちに」利下げする余地があると述べたことや、FRBのクリストファー・ウォラー理事が24日に12月利下げを支持すると述べたことなどが材料視された。両者はいずれも利下げが必要な理由について米国の労働市場の弱まりを挙げている。ブルームバーグによると、27日の金融市場で見込まれる12月9、10日の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は3.663%で、利下げ確率は93%まで高まっている。
日銀の12月利上げ確率は62%に 物価上昇圧力に根強さ
また日銀の金融政策をめぐっては、12月18、19日の金融政策決定会合での利上げ見通しが強まってきた。ブルームバーグによると、金融市場で見込まれている12月決定会合後の政策金利の水準は28日午後1時50分段階で0.619%で、21日段階での0.519%から0.100%ポイント上昇。利上げ確率は56%となっている。日銀の12月利上げ確率は、高市政権のブレーンといえる経済財政諮問会議のメンバーに大規模金融緩和を支持してきた識者が含まれていたことから大きく低下していたが、過度な材料視は解消されてきたようだ。
日本経済では日銀の利上げを正当化する物価上昇圧力の強さも目立ってきた。28日朝に発表された東京都区部の消費者物価指数(CPI)の11月中旬速報値の伸び率は、総合指数が前年同月比2.7%。生鮮食品を除いたコア指数と、生鮮食品とエネルギーを除いたコアコア指数はいずれも2.8%だった。3つの指数はすべて10月から横ばいだが、コア指数の伸び率はブルームバーグがまとめた市場予想(2.7%)を上回っている。日本の物価上昇に関しては21日発表の10月の全国CPIでも上昇圧力の根強さが確認されていた。
春闘の初動のモーメンタムは? 経団連は実質賃金の安定的なプラス化目指す
こうした中、ドル円相場の見通しは、2026年春闘をめぐる思惑で左右される可能性がある。日銀の植田総裁は10月30日の決定会合後の記者会見で、利上げの是非を判断するには春闘の「初動のモーメンタム」を見極める必要があるとの立場を示していたからだ。
2026年春闘に向けた動きはすでに始まっている。高市氏は25日に首相官邸で開いた政労使会議で、「昨年と遜色のない水準」の賃上げを要請。3年連続での5%超賃上げへの道筋を示した。連合によると、2025年の賃上げ率(定昇相当込み)は5.25%で、2024年の5.10%に続き、5%を超えている。これに対して、経営側も賃上げに前向きな姿勢を示唆した。経団連の筒井義信会長は、ベースアップ実施の検討を「賃金交渉のスタンダード」にするとの立場を表明。「賃金引上げの力強いモメンタムの『さらなる定着』」で、「適度な物価上昇の下、実質賃金の安定的なプラス化の実現に貢献」するともしている。
日銀の植田総裁の春闘への評価は? 米国の労働市場悪化でも円高見通し
今後の投資家の注目はこうした春闘の動向に対する日銀の評価に集まりそうだ。日銀の植田総裁は週明け12月1日の午前10時5分から、名古屋での懇談会であいさつする予定。植田氏が物価上昇圧力の強さへの警戒を示したり、労使交渉における賃上げに向けた勢いの強さを指摘するなどすれば、12月利上げ観測がさらに広がり、円高材料とみなされる可能性がありそうだ。
また米国では3日午前8時15分(日本時間3日午後10時15分)に民間雇用サービス会社ADPが11月の全米雇用レポートを発表する。労働市場の弱さが確認されれば、FRBの利下げ見通しを強める要因といえ、やはり円高進行を後押しすることも想定される。
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