ドル円 今日の見通し(11/21):158円視野に上昇拡大、不意打ちの円高を警戒
今日のドル円展望。米ドル高と円安が重なり158円が視野に入る。急速な円安の進行は、かえって円高リスクを高める要因に。「不意打ちの円高」に要警戒。
要点
- 米利下げ期待が後退。米ドル高の転換ムードが強まる。日銀の利上げ不透明で円安も進行し、ドル円は158円を視野に上昇拡大
- 週足のテクニカル指標は「買われ過ぎ」を示唆。2024年も同様の状況が見られ、7月から9月にかけて162円手前から140円割れの急落相場となった。急速な円安の進行は政治問題化しやすく、今後の円安けん制発言が介入示唆となれば「不意打ちの円高」に要警戒
- 上値の焦点は158.00と158.55。下落の局面では157円の維持が焦点に。変動拡大の場合は158.88と156.00のトライを想定
トレンド転換のムードが強まる米ドル
外為市場では、米ドルのトレンドが転換するムードが強まっている。今年4月以降、ドル指数(DXY)は3回の下落局面を経て、現在は米ドル高へ転じている。19日に200日線を突破。8月高値の100.25ポイントも上方ブレイクすれば、チャート分析の観点ではさらに米ドル高が進行する可能性が高まる状況にある。
ドル指数の日足チャート:今年3月以降
TradingView提供のチャート
昨日の動きもまた、米ドルの地合いの強さを示唆した。政府機関閉鎖の影響により1ヶ月半遅れの発表となった9月の米雇用統計によれば、非農業部門の雇用者数は11万9000人増と市場予想の5.3万人増を上回った。しかし、7月雇用者数の伸びは7万9000人から7万2000人に、8月は2万2000人増から4000人減に下方修正された。一方、失業率は4.4%と市場予想の4.3%を上回り、2021年10月以来およそ4年ぶりの高水準に達した。
ADP雇用統計などの民間調査と同じく米労働市場の軟化が示されたことで、米債市場では金利が低下した。しかし、外為市場での米ドル売りは限定的だった。むしろ主要通貨で米ドル高となった状況は、今の米ドル高の地合いの強さを示唆した。
米ドルの動向 対G10通貨:11月20日
ブルームバーグの為替データで作成
利下げ期待の後退が米ドルを下支え
米ドル高の要因として、筆者は市場が抱く利下げ期待の後退に注目している。
先週は、各連銀の総裁から利下げについて慎重な意見が相次いだ。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(10月開催分)でも「多くの参加者」が、年内は政策金利を据え置くことが適切になる公算が大きいと示唆したことが判明した。
OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)市場では、雇用不安が意識される中でも12月の利下げ確率が50%を割り込む状況にある。一方、2026年1月の利下げ確率は50%台へ上昇している。現状、市場は来年1月までに次の利下げを織り込む状況にある。しかし、FOMC参加者がインフレを警戒していることを考えるならば、今後発表される物価指数の内容次第で、市場の利下げ期待がさらに後退する可能性があろう。
米FOMC 利下げ確率の推移:12月 / 来年1月
ブルームバーグのデータで作成 / OIS市場の確率 / 21日午前8時時点
日銀の年内利上げの不透明感が高まり円安が進行する中、米ドル高がさらに進行すれば、ドル円(USD/JPY)は後述する上値水準の攻防に注目したい。
ドル円のチャート分析
「不意打ち」の円高を警戒
ドル円(USD/JPY)のトレンドを週足チャートで確認すると、地合いの強さがよく分かる。13週線が52週線を上抜けゴールデンクロスに転じ、一目雲の上限、レジスタンスラインそしてフィボナッチ・リトレースメント76.4%の水準156.73を難なく突破している。
一方、ストキャスティクスとRSIは「買われ過ぎ」の水準にある。週足チャートでこの状況が確認されるのはまれだが、2024年にも同じ状況が見られた。当時は7月上旬に162円手前まで米ドル高・円安が進行。その後、9月中旬に140円を下方ブレイクする荒れ相場となった。
現在は、日米の金融政策に不透明感が強まる状況にありドル円の上昇要因となっている。急落相場が発生する可能性は低い。しかし、短期間での円安進行は政治問題化しやすい。今後の円安けん制発言で、介入の可能性が高まっていると市場が警戒する表現が使われる可能性がある。今後の円安局面では、「不意打ちの円高」を警戒したい。
ドル円の週足チャート:2024年以降
TradingView提供のチャート
チャート分析
今日もドル円(USD/JPY)が強気地合いを維持する場合は、158円を意識することになろう。15分足チャートでまとめたフィボナッチ・エクステンションの水準を見ると、次の焦点が158.00のラインであることが分かる。20日の高値157.89の上方ブレイクは、158.00をトライするサインとなろう。
ドル円が158円台へしっかりと上昇する場合、次の焦点は2つのフィボナッチ・エクステンション161.8%が重なる158.55レベルの攻防となろう。20日の終値157.46レベルから約1円上の水準にあたる158.55レベルを今日の上限と想定したい。
ドル円は変動拡大の傾向にある。想定を超える上昇で158.55レベルを完全に突破すれば、今年1月の高値158.88レベルが視野に入る。
一方、下値の焦点は157円の維持となろう。昨日の市場で相場をサポートした経緯のあるフィボナッチ・リトレースメント61.8%と76.4%の水準の攻防に注目したい。レポート掲載時点では、前者の61.8%戻し157.26をトライする場面が見られる。
ドル円が157.00を一気に下方ブレイクする場合は、20日の安値156.87のトライを意識したい。「山高ければ谷深し」-ドル円が156.87をも下方ブレイクすれば、156.00を視野に下落拡大を警戒したい。
上値の水準
・158.88:今年1月の高値水準
・158.55:フィボナッチ・エクステンション161.8%
・158.00:フィボナッチ・エクステンション100%
・157.89:11月20日の高値水準
下値の水準
・157.26:フィボナッチ・リトレースメント61.8%
・157.11:フィボナッチ・リトレースメント76.4%
・157.00:サポートライン
・156.87:20日の安値水準
・156.00:サポートライン
ドル円の15分足チャート:11月20日以降
TradingView提供のチャート
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