金価格見通し(12/9):FOMC後の下落警戒、4075ドル~4300ドル予想
IG証券のアナリストによる金価格の見通し。FOMC後の動きに要注意。12日までの予想レンジは4075ドル~4300ドル。
要点
- 金価格は底堅さを維持する一方、米ドル安でも上値が重く下落リスクがくすぶる
- FOMC後の動きに要注意。来年の利下げペースに対する市場の思惑がトレンドを左右しよう。米金利と米ドルが上昇する場合、金価格の下落拡大を警戒したい
- 週間の予想レンジ上限は4300ドル、下限は4075ドル(今週12日まで)
米ドル安でも上値が重い金価格
金価格は4200ドル前後で底堅さを維持している。しかし週間の変動率を確認すると、10月下旬に発生した急落相場の後は、上昇と下落を繰り返している。先週は約1%安で終えた。米ドル安が進行するなかでも上値が抑制されている今の状況は、金価格の下落リスクがくすぶる状況を示唆している。
今週、金価格の下落要因になり得るのが、後述する米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースに対する市場の思惑だ。
金価格の週間変動率:今年9月以降
ブルームバーグの価格データで作成
FOMC後の動きに要注意
9~10日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が開かれる。8日のIG米国レポートで述べたとおり、翌日物金利スワップ(OIS)市場と12月以降の米2年国債利回りの動きは、利下げを完全に織り込んでいることを示唆している。
IG米国株レポート
・米国株週間見通し(12/8~12):焦点は米利下げパス、S&P500はFOMC後の下落を警戒
ゆえに今回の焦点は、2026年の利下げパスとなろう。現状、来年1月と3月の利下げ確率がいずれも30%前後にある(OIS市場)。
米FOMC 利下げ確率の推移:12月、来年1月と3月
ブルームバーグ、OIS市場のデータで作成 / 9日午前8時時点
FOMC参加者が予想する来年の政策金利の見通し(ドットプロット)とパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見で、来年の利下げペースが緩慢になるとの思惑が強まれば、8日のIG為替レポートで指摘したとおり米金利と米ドルの上昇要因になり得る。FOMC後、金価格は下落圧力に直面する可能性がある。
金価格の見通しとチャート分析
上限予想:4300ドル
筆者が警戒するFOMC後の米金利上昇と米ドルの反発が発生しない場合、金価格は日足チャートにまとめた上値水準の攻防に注目したい。
最初の焦点は、4240ドルの攻防となろう。レジスタンスラインに転換する可能性がある4220ドル(1時間足チャート)の突破は、4240ドルをトライするサインと捉えたい。
11月中旬以降、レジスタンスラインとして意識されている4240ドルをブレイクアウトすれば、12月1日に相場の上昇を止めた4265ドルの攻防が視野に入る。4265ドルは、10月20日の高値と同月28日安値のフィボナッチ・リトレースメント76.4%にあたる。5日の取引では、このテクニカルラインが意識され、日足ローソク足は長い上ヒゲ付きの上影陰線となった(高値4260ドル)。高値圏での上影陰線は下落を暗示する。
金価格が4265ドルを突破し、かつこの水準がサポートラインに転換する場合は、次の節目水準4300ドルを視野に上昇拡大を想定したい。このラインを今週の上限と予想する。
・4300ドル:上限(予想)
・4265ドル:76.4%戻し(日足チャート)
・4240ドル:レジスタンスライン(日足チャート)
・4220ドル:レジスタンス転換の可能性あり(1時間足チャート)
下限予想:4075ドル
FOMC後に米金利と米ドルが上昇する場合、金価格は以下にまとめた下値水準の攻防に注目したい。
まずは、4180ドル前後と4160ドルの維持が焦点となろう。4186ドルは、直近高安のフィボナッチ・リトレースメント76.4%にあたる。8日の取引ではサポートラインとして意識される場面が見られた。直下の4175ドルは4日と8日の下落を止め、4186ドルとサポートゾーンを形成している。後者の4160ドルは先週、サポートラインとして相場を支えた(日足チャート、青矢印を参照)。
金価格が4160ドルを下方ブレイクする場合は、4120ドルを視野に下落拡大を予想する。この水準は日足チャートのフィボナッチ・リトレースメント38.2%であり、現在は25日線もこの水準へ上昇している。重要なテクニカルラインが重なる4120ドルを下方ブレイクする場合は、4100ドルの維持が焦点に浮上しよう。
10月下旬以降、金価格の下落局面では変動幅が拡大する場面が散見される。FOMC後に金価格が続落すれば、4100ドル割れもあり得る。このケースでは、半値戻しの水準4075ドルまでの下落を想定したい。この水準を今週12日までの下限と予想する。
・4180ドル:サポートライン(1時間足チャート)
・4160ドル:サポート転換の水準(日足チャート)
・4120ドル:38.2%戻し、25日線(日足チャート)
・4100ドル:サポートライン(日足チャート)
・4075ドル:下限(予想)、半値戻し(日足チャート)
金価格の日足チャート:今年10月以降
TradingView提供のチャート
金価格の1時間足チャート:12月以降
TradingView提供のチャート
本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。
リアルタイムレート
- FX
- 株式CFD
- 株価指数CFD
※上記レートは参考レートであり、取引が保証されるものではありません。株式のレートは少なくとも15分遅れとなっております。