豪ドル安進行も RBAの利下げペースは? オーストラリア経済に不安
オーストラリア準備銀行は8日の利下げが確実な情勢。経済への不安が出る中、利下げペース加速が示唆されれば、豪ドル安圧力が強まりそうだ。

豪ドル円相場に下落圧力がかかる可能性が出てきた。オーストラリア準備銀行(RBA)が7、8日に開く理事会は2会合連続での利下げが確実視される情勢。投資家の注目は声明文などで示される今後の利下げペースの方向性に集まりそうだ。オーストラリア経済をめぐってはこのところ、物価上昇の鎮静化に加え、経済活動の下振れを懸念させる経済指標が目立つ。RBAの情報発信が利下げペースの加速を感じさせた場合には、1豪ドル=94円台での推移が続いている豪ドル円相場が豪ドル安方向に動く可能性がある。また、ドル円相場ではアメリカのドナルド・トランプ大統領の言動が円高圧力して意識される可能性もあり、やはり豪ドル円相場での豪ドル安圧力として働くことが想定されそうだ。
オーストラリア準備銀行は8日の利下げがほぼ確実 物価上昇鎮静化を好感か
オーストラリアの中央銀行にあたるRBAは8日午後2時30分(日本時間8日午後1時30分)に理事会の結果を発表する。ブルームバーグによると、金融市場で見込まれる理事会後の政策金利の水準は日本時間7日午前10時11分の段階で3.605%。現状の政策金利である3.85%からの0.25%利下げがほぼ確実視されている情勢だ。

RBAは2月18日までの理事会で4年3か月ぶりの利下げを決定。さらに5月20日までの理事会でも2会合ぶりの利下げを決めた。RBAは5月理事会後の声明文で、「基調的な物価上昇率は予想期間の大半にわたって2-3%の中間値付近で推移すると予想される」とし、物価上昇鎮静化に自信を表明。実際、6月25日に発表された5月の消費者物価指数(CPI)は総合指数の伸び率が前年同月比2.1%となっており、物価上昇のペースダウンが明らかになっている。

オーストラリアの小売売上高や貿易に弱さ 利下げペース加速の見通しも
こうした中、7月8日までの理事会ではRBAが今後の利下げペースについてどのような見方を示すかが焦点になりそうだ。オーストラリア経済をめぐっては、2日に発表された5月の小売売上高が前月比0.2%増となり、ブルームバーグがまとめた市場予想の0.5%増を下回る結果。3日に発表された5月の貿易収支も22.38億豪ドルの黒字にとどまり、やはり市場予想の50.00億豪ドルの黒字を大きく下回った。RBAは5月の声明文では物価上昇鎮静化に自信を示すと同時に、家計消費については「数か月前の予想よりも成長が少し緩やかになっている」と指摘。さらに成長ペースが遅くなれば、「総需要の伸びが抑えられ続け、労働市場の悪化が現在の予想よりも厳しくなる」リスクがあるとしていた。
このため今回の理事会後の声明文やミシェル・ブロック総裁の記者会見では、経済活動を下支えするために利下げペースを加速させる方向性が示される可能性がある。ブルームバーグによると、足元の金融市場では7月から12月末までの5回の理事会のうち、7月を含めた3回で0.25%利下げが行われるとの筋書きが有力視されているが、回数や利下げ幅が大きくなるとの見立てが強まることも考えられる。豪ドル円相場(AUD/JPY)は6月6日以降、ニューヨーク市場の終値ベースでは、ほぼ一貫して1豪ドル=94円台での値動きが続いているが、豪ドル安が進む可能性もありそうだ。

ドル円相場での円高圧力は継続 トランプ氏が日本批判を強めれば円高進行も
また、ドル円相場で円高圧力が意識されやすい状況にあることも、豪ドル円相場にとっては豪ドル安圧力といえる。ドル円相場ではトランプ氏が6月23日にイスラエルとイランの停戦合意を発表した後、有事のドル買いの巻き戻しが起き、1ドル=148円台から142円台まで円高が進んだ。米国の6月雇用統計が予想以上の強さを示した7月3日には145円台まで円安に振れたものの、足元では144円台で推移している。

トランプ氏は1日には日本との関税協議の進展の遅さに不満を示しており、金融市場では日本から米国への輸出を不利にする円高を望んでいるとの見方が根強い。また日本の物価上昇率の高さは日本銀行がいずれは利上げに踏み切るシナリオを裏付けている。こうした中、トランプ氏の言動や日本の経済指標が利上げの可能性を高めた場合には、やはり豪ドル円相場での豪ドル安圧力として働くことになりそうだ。
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