豪ドル高、4か月ぶり水準 RBA政策金利維持 利下げ姿勢も強調
豪ドル円相場で豪ドル高が進み、一時95.70円をつけた。RBAが政策金利を維持するサプライズがあったためだが、利下げの方向性は変わっていない。

豪ドル円相場で豪ドル高が進んだ。豪ドル円相場は日本時間8日午後に一時、1豪ドル=95円台後半をつけ、約4か月ぶりの豪ドル高水準を記録。オーストラリア準備銀行(RBA)が8日までの理事会で、金融市場での利下げ予想に反して政策金利を維持したことがサプライズなった。RBAは利下げ見送りの理由として、物価上昇の鎮静化が経済指標で完全には裏付けられていないことを挙げている。ただ、ミシェル・ブロック総裁は8日の記者会見で、利下げの方向性は崩れていないことや、世界経済悪化のおそれが強まった場合には利下げの余地が大きく残されていることも強調。金融市場ではRBAが8月には利下げに踏み切るとの見方が強い。豪ドル円相場の今後の見通しをめぐっては、物価上昇やアメリカのドナルド・トランプ大統領の高関税政策をめぐる動向が注目点となりそうだ。
豪ドル円相場は一時95.70円 約4か月ぶりの豪ドル高水準
豪ドル円相場(AUD/JPY)は日本時間8日午後1時30分に1豪ドル=95.70円をつけた。ブルームバーグによると、3月18日につけた95.75円以来、約4か月ぶりの豪ドル高水準だ。

豪ドル円相場での豪ドル高の背景になったのは、豪ドルの対ドル相場(AUD/USD)の上昇だ。ブルームバーグによると、豪ドルの対ドル相場は一時、前日のニューヨーク市場終値比で1.03%の豪ドル高が進行。円の対ドル相場がほぼ横ばいで推移しているのとは対照的な値動きとなった。

RBAが利下げを見送るサプライズ 物価上昇の鎮静化の確認に時間
8日のFX市場での豪ドル高は、オーストラリアの中央銀行にあたるRBAの動向が引き金を引いた。RBAは8日、前日からの理事会で政策金利を3.85%で据え置くことを決めたと発表。金融市場では、5月の消費者物価指数(CPI)の総合指数の伸び率が前年同月比2.1%だったことなどから、0.25%幅の利下げを決めることが確実視されていただけに、サプライズになった。RBAは政策金利の維持は賛成6、反対3の採決で決定されたとしている。
RBAは声明文で、5月までのCPIについて、4-6月期の物価上昇率がおおむね予想通りになることを示唆しているとしながらも、「少しだけ予想より強かった」と分析。RBAが2月と5月の理事会で合計0.50%幅の利下げを行っていることを踏まえ、「物価上昇率が持続的に2.5%で推移し続けることを確実にするために」、もう少し経済指標を確認する時間をとることができるとしている。ブロック氏は8日の記者会見で、CPIの四半期ベースでの伸び率を変動が大きかった項目を除いた刈り込み平均で見た場合、RBAが目標とする2-3%の範囲に収まったのは2025年1-3月期の2.9%だけだと指摘した。

オーストラリア中銀のブロック総裁は利下げ姿勢の維持を強調
ただ、ブロック氏は理事会での議論で問題となったのは「利下げのタイミングであって、金融政策を変更する方向ではない」と繰り返し強調。RBAが今後も利下げをメーンシナリオとしていくとの考えを示した。さらに世界経済の動向については、トランプ氏が課す関税の水準や、オーストラリア経済と関係が深い中国がトランプ関税の悪影響を和らげるために経済対策をとるのかといった不確実性があることにも言及。世界経済の悪化がオーストラリア経済に悪影響を及ぼした場合には、利下げの余地が大きく残されているとの立場も示している。
こうした中、金融市場ではRBAが8月11、12日の理事会では利下げを決めるとの見方が強い。ブルームバーグによると、日本時間8日午後5時5分段階での金融市場では、8月理事会後の政策金利の水準は3.608%と見込まれており、現状から0.25%利下げが決まる確率は92%程度とされている。

4-6月期CPIやトランプ関税をめぐる思惑が豪ドル円相場の見通しを左右
オーストラリア経済をめぐっては7月30日に4-6月期のCPIが発表される。ブロック氏が言及した刈り込み平均ベースでの物価上昇率が2-3%の範囲で収まれば、RBAが想定通りに利下げを進められるとの見方が豪ドル安材料として意識されそうだ。またトランプ氏の高関税政策に関しては、7月7日に相互関税の一部停止の期限が8月1日まで延長されたほか、5月12日に発表された中国との関税大幅引き下げ合意も8月上旬に90日間の期限を迎える。米国の高関税がオーストラリア経済にとっての逆風になるとの観測が出た場合にも、豪ドル安圧力が強まる可能性がありそうだ。
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