アーム、株価11%急落 2026年3月期見通し示さず 半導体市場悪化も
アームは7日の決算発表で2026年3月期の見通しを示さなかった。半導体市場の見通し不透明感が要因で、アームの株価は時間外取引で急落した。

英半導体大手のアーム・ホールディングスはアメリカ東部時間7日の取引時間終了後に行った2025年1-3月期決算発表で、2026年3月通期の業績見通しを示さなかった。アームの技術を使って半導体を生産する顧客企業が通期見通しを示していないことが要因。ドナルド・トランプ大統領の高関税政策や半導体輸出規制が半導体市場全体の見通しを不透明にしており、アームの株価は7日の時間外取引で11%超値下がりした。一方、アームは自社の技術があらゆる製品で必要とされていると強調し、今後の成長への自信は揺らいでいない。ただし半導体市場全体が下押しされた場合にはアームの業績にとって逆風になることは避けられず、アームの株価の値動きには不安定さがつきまといそうだ。
アームの1-3月期決算は市場予想を超える好決算
アームの1-3月期決算は総収入が前年同期比33.7%増の12.41億ドルで、四半期決算で初めて10億ドルを突破。調整ベースの1株当たり利益(EPS)は52.8%増の0.55ドルだった。ブルームバーグがまとめた直前の事前予想は、総収入が12.33億ドル、1株当たり利益が0.52ドル。発表された結果はいずれも、市場予想を上回る好決算だった。2025年3月通期では総収入が40.07億ドルとなり、こちらも市場予想の39.99億ドルを超えた。

2026年3月期の見通しは示さず アームの株価は時間外取引で11%超下落
こうした好決算とは裏腹に、アームは7日の決算発表に際し、2026年3月通期の見通しは示さなかった。アームは1年前の決算発表では、2025年の総収入が38億-41億ドルになるとの見通しを示しており、今回は異例の対応をとった形だ。またアームは2025年4-6月期の業績については、総収入が10億-11億ドルになるとの見通しを公表。中央値の10.5億ドルは市場予想の10.84億ドルを下回った。1株当たり利益の見通し(0.30-0.38ドル)も市場予想の0.40ドルを下回っている。
アームのジェイソン・チャイルドCFOは7日の決算会見で、2026年3月期の見通しを公表しない理由について、「顧客企業のほとんどすべてが通年の計画を明らかにしていない」ことを挙げた。トランプ氏の高関税政策や半導体輸出規制が顧客企業の製品の販売減少につながった場合は、顧客企業がアームの技術を用いた半導体製造で得た収入に応じてアームが受け取るロイヤルティ収入が減ることは避けられない。
アームの株価(ARM)は7日の時間外取引で、109ドル台で取引された。直前の終値(124.19ドル)との比較では11%以上安い水準だ。
今後の成長には自信も 「需要がこれほど強かったことはない」
一方、アームは成長への自信も示している。チャイルズ氏は決算会見で、4-6月期のロイヤルティ収入は前年同期比25-30%増になると説明。さらに正式な見通しではないと断りつつも、7-9月期のロイヤルティ収入は4-6月期と同程度との水準になるとし、10-12月期と2026年1-3月期については、前期比で10-15%程度の成長を想定しているとした。

また、顧客企業がアームの技術を用いた半導体を製造する契約を結ぶ際にアームが受け取るライセンス収入は、2025年1-3月期に前年同期比53.1%増の6.34億ドルとなっており、アームの技術への強い需要を裏付けている。マレーシア政府との大型複数年契約が決まったことなどが要因だという。ルネ・ハースCEOは決算会見でアームの技術はAI開発やサービス展開の拠点となるデータセンターだけではなく、スマートフォンやパソコン、自動車、イヤホンに至るまであらゆる製品で用いられており、「需要がこれほどまでに強かったことはない」としている。
ただ、顧客企業のほとんどが通年の生産計画を示していないという現状は半導体市場の不安定さを示している。7日の株式市場ではトランプ政権がジョー・バイデン前政権が退陣間際に示した半導体輸出規制見直し案を撤回すると報じられたことが好材料視されたが、トランプ政権が進めているという新たなルール作りの結果次第では、半導体市場への逆風が強まるおそれも拭えない。アームの親会社であるソフトバングループの株価(9984
)は8日の東京市場の取引で前日比2.39%安となっており、アームの業績の不透明感は日経平均株価(N225)の足を引っ張る側面もありそうだ。
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