アルファベット、AIの収益化に自信 株価に追い風 投資増額には不安も
アルファベットの7-9月期決算はAIサービスが収益に貢献。利益成長の道筋が明るくなった。一方、設備投資負担の重荷は増している。
アルファベットが29日の取引時間終了後に発表した2025年7-9月期決算は総収入と利益の成長がともに加速した。人工知能(AI)サービスへの需要増大でクラウド事業の成長が好調だったことに加え、AIサービスを搭載した検索サービスの利用拡大なども収益向上に寄与した結果だ。29日の時間外取引では株価が急騰しており、30日の株価にも追い風が吹きそうだ。AIサービスをめぐっては対話型AIサービスChatGPTで知られるオープンAIの積極展開で競争が激化しているが、スンダー・ピチャイCEOは総合力を生かして優位に立つことができるとの自信を示している。ただ、需要拡大に対応するため、2026年の設備投資は大幅に増える見通しで、今後の利益成長にブレーキがかかれば、株価にとっての悪材料となる可能性もある。
アルファベットの7-9月期決算は1株当たり利益が35.4%増
アルファベットの7-9月期決算は総収入が前年同期比15.9%増の1023.46億ドルで、前四半期(4-6月期)の13.8%から成長が加速。1株当たり利益(EPS)は35.4%増の2.87ドルで、やはり伸び率が大きくなった。ブルームバーグがまとめた直前の市場予想は、総収入が998.52億ドル。1株当たり利益が2.27ドル。発表された結果は総収入と1株当たり利益がともに市場予想を超える好決算だった。
クラウド事業の成長が加速 AIは他事業でも収益化に貢献
アルファベットの成長力を示したのはAIサービスの提供基盤となっているクラウド事業だ。7-9月期のクラウド事業の収入は前年同期比33.5%増の151.57億ドルで、2四半期連続で成長が加速。顧客数が前年同期比で34%近く増えたことに加え、大口顧客の増加などが貢献したという。クラウド事業の受注残は9月末段階で1550億ドルとなっており、3か月前よりも46%増えている。また7-9月期はグーグルの大黒柱である広告事業も成長が加速。7-9月期の収入は前年同期比12.6%増の741.82億ドルとなり、2四半期連続で成長が加速した。
フィリップ・シンドラーCBOは29日の決算会見で、検索サービスのグーグルに対話形式で質問と回答をやりとりできるAIモードなどを搭載したことにより、利用件数が増えたことなどを強調した。買い物に関するやりとりを通じて、通販サイトに誘導することなどで収益化につなげることができているといい、AIの活用がクラウド以外の事業でも成果をあげ始めたといえそうだ。
こうした発表内容を受けて、アルファベットの株価(GOOGL)は29日の時間外取引で上昇。ブルームバーグによると、一時295.00ドルをつけ、直前の終値(274.57ドル)から7.44%の値上がりを記録した。30日の取引でも株価に追い風が吹きそうだ。
AIサービスの総合力に自信 2026年の設備投資額は「かなり大きくなる」
AIサービスをめぐってはオープンAIの積極展開で競争が激化しているが、ピチャイ氏は成長への自信を深めている。決算会見では、自社AIの「Gemini(ジェミニ)」を組み込んだウェブブラウザのクロームを近く発表するとし、オープンAIが21日にChatGPTの利用を前提として設計された新ブラウザを発表したことへの対抗心をのぞかせた。ピチャイ氏はアルファベットのAIサービスの強みを総合力と位置づけ、「自社開発のAIモデルを提供する唯一の大規模クラウドサービス事業者」として差別化を図るとしている。
ただ、需要拡大に対応するための設備投資の積み増しは、収益圧迫要因として業績の重荷になる可能性がある。アルファベットの7-9月期の設備投資額は前年同期比83.39%増の239.53億ドルで、3四半期連続で伸び率が大きくなった。アナト・アシュケナージCFOは決算会見で、2025年の設備投資額は910-930億ドルとの見通しを示したうえで、「2026年の設備投資額は2025年よりもかなり大きくなる」と述べている。アルファベットの株価は足元では上昇を基調を維持しているが、今後の設備投資計画や利益成長の動向次第では、投資家の不安を高める懸念も残っていそうだ。
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