アマゾン、株価一時14%超上昇 利益成長加速 クラウドの優位に自信
アマゾンの7-9月期決算は利益が36%増。AIはクラウド事業だけでなく小売り事業に好影響を与えているようだ。
 
 アマゾン・コムが30日の取引時間終了後に発表した2025年7-9月期決算発表は投資家に安心感をもたらした。アマゾンの7-9月期は利益の成長率が前四半期から加速。アンディ・ジャシーCEOは決算会見で自社の人工知能(AI)サービスが小売り事業にも好影響をもたらしていることを強調するなどして、成長と収益性の両立に自信を示した。アマゾンの株価は30日の時間外取引で一時、14%を超える上昇をみせた。一方、AIサービスの提供基盤となるクラウド事業の成長率がライバル各社に見劣りする状況に変わりはなく、2026年の設備投資負担がさらに重くなるとされたことも株価には悪材料。ただ、アマゾンのクラウド事業の規模でみればライバル各社に対する優位性が広がっており、株価の不振には歯止めがかかったといえそうだ。
アマゾンの7-9月期決算は1株当たり利益が36.4%増 前四半期から成長加速
アマゾンの7-9月期決算は総収入が前年同期比13.4%増の1801.69億ドルで、前四半期(4-6月期)の13.3%増からほぼ同程度の成長。1株当たり利益(EPS)は36.4%増の1.95ドルで、前四半期(33.3%増)から成長が加速した。ブルームバーグがまとめた直前の市場予想は、総収入が1778.16億ドル、1株当たり利益が1.58ドル。発表された実績はいずれも市場予想を超える好決算だった。
 
 アマゾンのクラウド事業は11四半期ぶりの成長率 AI需要に自信
アマゾンの成長性を裏付けてきたクラウド事業の7-9月期の収入は前年同期比20.2%増の330.06億ドル。伸び率は2022年10-12月期(20.2%増)以来、11四半期ぶりの大きさだった。アンディ・ジャシーCEOは30日の決算会見開始早々、クラウド事業の成長は「再加速した」としたうえ、9月末時点の受注残が2000億ドルに上っていることにも触れ、AIサービスへの需要の強さに自信を示している。
 
 小売り事業にもAIサービスが貢献 2桁成長を維持
またアマゾンの収入の3分の2を稼ぎ出す小売り関連事業の7-9月期の収入は前年同期比10.5%増の1154.71億ドル。伸び率は前四半期の11.0%から減速したものの、2桁台の成長を維持した。アマゾンの小売事業をめぐってはドナルド・トランプ大統領の高関税政策が逆風になるとの懸念もあったが、大きな悪影響は出ていないもようだ。
 
 
ジャシー氏は決算会見で小売り事業についてもAI活用の効果が出ていることを強調した。アマゾンの小売りサイトに搭載されている対話型AI「ルーファス」の2025年の利用者は2億5000万人に達し、ルーファスを使わない利用者と比べて最終的な購入に至る確率が60%高まるとした。こうしたルーファスの貢献は年換算で100億ドルの増収効果につながりそうだという。
クラウド事業と小売り事業の両面でAIの強みをアピールする発表内容は投資家に好感されたようだ。ブルームバーグによると、アマゾンの株価(AMZN)は30日の時間外取引で一時255.88ドルまで上昇。直前の終値(222.86ドル)から14.45%高となった。
クラウド事業の成長率はライバルに見劣り 2026年の設備投資は増加の見通し
一方、3か月前の前回の決算発表以降のアマゾンの株価不振の要因となった、クラウド事業の成長率がライバルに見劣りしているという状況に変わりはない。29日に発表されたマイクロソフトの7-9月期決算ではクラウド事業は前年同期比28.8%増、アルファベットのクラウド事業は33.5%増だった。
 
 
また、ライバル各社と同様、アマゾンにも設備投資負担への不安はのしかかる。アマゾンの7-9月期の設備投資額は前年同期比60.6%増の342億ドル。2025年通年では60.9%増の1250億ドルになるとの見通しを明示した。ブライアン・オルサブスキーCFOは決算会見で2026年の設備投資額は「2025年から増える」と述べた。
 
 ジャシーCEOはクラウド事業での優位性を強調 規模の大きさを誇示
ただ、ジャシー氏は決算会見でクラウド事業で劣後しているとの見方について、アマゾンが20%超の成長を達成することと「アマゾンよりも収入規模がかなり小さい」競合各社が高い成長率を記録することとは全く意味合いが異なると反発した。実際、クラウド事業の収入をアマゾンとマイクロソフトで比較すれば、7-9月期はアマゾンが21.09億ドル大きく、4-6月期段階の9.95億ドルから広がっている。アマゾンとアルファベットの規模の差は178億ドルもある。アマゾンの株価はこのところの不振で割安感が高まっていたこともあり、30日の値動きに現れた投資家の安心感が今後も続く可能性がありそうだ。
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