アドバンテスト、一気に最高値 半導体株急浮上 2か月半で2.1倍
アドバンテストの株価は5か月半ぶりに最高値を更新。半導体株への期待が復活している。今後は割高感や円安が不安材料となる。

半導体検査装置のアドバンテストの株価が勢いづいている。26日の終値は前日比5.00%高の1万0700円で、1月につけた最高値を更新。4月上旬につけた安値から、2か月半で2.1倍になった計算となる。前日(25日)のアメリカの株式市場でNVIDIA(エヌビディア)が最高値を更新したことに追随した値上がりとなった。世界の半導体株をめぐっては、人工知能(AI)ブームを背景とした好業績への期待が継続。さらにアメリカのドナルド・トランプ大統領が打ち出した高関税に端を発した米中対立や、中東情勢緊迫といった悪材料が徐々に薄れてきたことが株価急騰の要因といえそうだ。ただ、割高感や円高といった不安材料が消えたわけではなく、アドバンテストの株価上昇にブレーキがかかる可能性も残っている。
アドバンテストの株価は1万0700円に 5か月半ぶりに最高値を更新
アドバンテストの株価(6857)の26日の終値は、1月10日につけたこれまでの最高値(1万0380円)を5か月半ぶりに超えた。トランプ氏が発表した相互関税への懸念が強まっていた4月7日には5034円をつける場面もあったが、約2か月半で株価が2.1倍になった形だ。
26日の上昇は前日(25日)の米国市場でエヌビディアの株価(NVDA)が前日比4.33%高となり、やはり1月以来の最高値を更新したことが好材料となった。25日の取引時間終了後には、半導体メモリで強みを持つマイクロン・テクノロジーズ(MU)が市場予想を超える2025年6-8月期の業績予想を発表し、AIブームを背景とした高帯域幅メモリ(HBM)の好調さを強調したことも半導体株への期待を高めている。さらに26日の米国株式市場では、エヌビディアの株価が0.46%高となり、最高値を連日で更新した。

AIブームへの期待継続 エヌビディアやTSMCの勢いは衰えず
世界の半導体株をめぐってはAI関連需要の根強さが意識されいている。エヌビディアは5月28日の決算発表で、2025年5-7月期の総収入が前年同期比で1.5倍になるとの見通しを発表。また半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC、TSM)が6月10日に発表した台湾ドルベースでの月次の総収入は、4月と5月の2か月合算ベースで前年同期比43.9%増となり、好調さを保った。TSMCは4月17日の決算発表に際して示したドルベースでの4-6月期の業績見通しで、総収入が38.3%増になるとしていたが、TSMCの想定を上回るペースで総収入が伸びているといえそうだ。日米の株式市場ではエヌビディアやアドバンテストだけでなく、TSMCや英半導体大手アーム・ホールディングスの株価(ARM)も好調だ。

米中対立や中東情勢の見通しは改善 アドバンテストには割高感や円高の不安
さらにこのところは株式市場全体をめぐる不透明感も薄れてきている。4月9日のトランプ氏による相互関税一部停止後も株式市場の重荷となってきた米中対立をめぐっては、5月12日に関税大幅引き下げ合意が発表された。6月9、10日のロンドンでの米中協議でも、中国のレアアースや磁石に関する輸出規制への懸念が和らいでおり、米中はともに関係悪化を望んでいないようだ。また、イスラエルが13日にイランの核施設を攻撃したことで、両国によるミサイル攻撃の応酬に至った中東情勢の悪化も、両国の間での停戦が合意されている。
ただ、アドバンテストの株価をめぐっては割高感という課題も大きくなっている。ブルームバーグによると、アドバンテストの株価水準と今後12か月の予想収益から算出される株価収益率(PER)は26日時点で34.3倍で、株式市場におけるAIブームが本格化した2023年以降の平均値(35.9倍)に近づいてきた。

また、アドバンテストにとっては円高進行の可能性も逆風として働く。ドル円相場(USD/JPY)は26日のニューヨーク市場の終値で1ドル=144.42円まで円高方向に動いた。米連邦準備制度理事会(FRB)に利下げを求めているトランプ氏が、2026年5月に任期が切れるジェローム・パウエル議長の後任人事を早期に発表すると報じられたことがFX市場でドル安効果を生んでいる。

アドバンテストが4月25日に示した2026年3月期の業績見通しは、ドル円相場が1ドル=140円で推移することを前提としている。FRB議長人事をめぐる思惑が今後も円高要因として働き続ければ、アドバンテストの株価にとっての不安材料となりそうだ。
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