米国株、上昇へ好材料 S&P500最高値目前 エヌビディアは記録更新
S&P500は最高値が目前。半導体株の好調や中東情勢改善、利下げ期待の高まりが好材料だ。27日発表のPCE物価指数で上昇が加速する可能性がある。

アメリカ株にとっての好材料が増えてきた。S&P500種株価指数の25日の終値は前日比0.00%安となり、横ばいの値動き。2月中旬につけた最高値まで1%未満の値上がりで到達する水準を維持した。半導体大手NVIDIA(エヌビディア)は4%超の上昇で最高値を更新しており、人工知能(AI)ブームを背景にした半導体株の値上がりが勢いづいている。また、このところの株式市場の重荷となってきた中東情勢は大きく改善。さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長の議会証言後も、金融市場でFRBの利下げ期待が強まっていることもS&P500にとっての追い風といえる。S&P500の今後の見通しをめぐっては27日に発表される5月の個人消費支出(PCE)物価指数が焦点。ドナルド・トランプ大統領の高関税政策が物価を押し上げる効果が想定内に収まったと判断されれば、S&P500に働く上昇圧力が強まることが想定される。
アメリカのS&P500は横ばい 最高値まで0.85%高で到達する水準
S&P500(SPX)の25日の終値は6092.16で、前日終値(6092.18)からは0.02ポイント安。3営業日ぶりの下落だが、前日までの2日間での2.08%高の反動を抑え込んだといえそうだ。2月19日につけた最高値(6144.15)には0.85%高で届く水準で、4か月ぶりの最高値更新が目前に迫っている。

エヌビディアは4.33%高で最高値更新 AIブームへの期待に根強さ
25日の株式市場ではエヌビディア(NVDA)が前日比4.33%高の154.31ドルをつけ、最高値を更新。これまでの最高値だった1月6日の149.43ドルを大きく上回った。半導体株ではこのほか、アドバンスド・マイクロ・デバイセズ(AMD)が3.59%高、半導体製造装置のアプライド・マテリアルズ(AMAT)が1.60%高となっており、AIブームへの期待の根強さを感じさせた。S&P500構成銘柄ではないものの、英半導体大手アーム・ホールディングスの株価(ARM)も0.58%高となっている。


トランプ氏、「戦争は終わった」 パウエル氏の議会証言後も利下げ見通しは拡大
S&P500が最高値目前に迫った背景にあるのは中東情勢の緊張緩和だ。トランプ氏は北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議が開かれたオランダで25日に記者会見し、「戦争は終わった」と言及。米国とイランが来週に協議を持つことを明かした。また、自身のSNSトゥルースソーシャルへの投稿で中国がイラン産原油を購入することを容認する姿勢を示唆したことに関連し、イランは国を再興するために資金が必要だとの考えを示した。
さらに金融市場では、FRBの利下げに対する期待も高まっている。パウエル氏は24日に下院金融サービス委員会での議会証言で、トランプ氏の高関税による物価上昇圧力が大きくならなければ、「利下げを遅らせるのではなく、より早く行うことができる状況になる」と説明した。パウエル氏は同時に、特定のFOMCでの利下げの可能性を示唆するものではないとの立場も示し、早期利下げへの言及は避けた。ただ、利下げのタイミングをめぐっては、FRBのミシェル・ボウマン副議長らから、物価動向次第で7月利下げを支持するとの発言が出ており、金融市場での利下げ期待は強い。
ブルームバーグによると、金融市場で見込まれている9月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の政策金利の水準は25日時点で4.053%となり、議会証言前の23日(4.099%)から低くなっている。現状の4.25-4.50%(中間値4.375%)から0.25%の利下げが確実視されている状況だ。7月のFOMCでの利下げについても27%程度の確率が見積もられている。

5月PCE物価指数は物価上昇加速の見通し 予想の範囲内ならS&P500に上昇圧力
こうした中、S&P500の今後の見通しをめぐっては、27日午前8時30分(日本時間27日午後9時30分)に発表される5月PCE物価指数への注目が高まる。ブルームバーグがまとめた市場予想では、総合指数の伸び率が前年同月比2.3%、食品とエネルギーを除いたコア指数の伸び率が2.6%となる見通し。パウエル氏も議会証言の中で5月PCE物価指数の伸び率の見通しについて市場予想と同じ数字を示していた。

5月PCE物価指数の伸び率に関する予想は、前月の実績からの物価上昇加速が見込まれている形だが、発表される結果が予想の範囲内に収まれば、利下げ期待が裏付けられ、S&P500には上昇圧力がかかりそうだ。一方、結果が大きく上振れた場合には、トランプ氏の高関税の悪影響への懸念が株式市場のムードを暗くすることも考えられる。
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