米国株見通し(10/27):2つの緩和期待とハイテク決算、ナスダック100上昇拡大か
ナスダック100の短期見通し。焦点は2つの緩和期待とハイテク決算。株価指数CFD「米国テク株100」の展望と注目のチャート水準についてIG証券のアナリストが詳細解説。
要点
- ナスダック指数は2週連続の2%高。週明けの市場でもハイテク株の買いに支えられ強気相場を維持し、連日で最高値を更新
- 今週は米中の緊張緩和とFOMCの追加利下げという「2つの緩和期待」がナスダック指数の強気相場を支える展開が予想される。マグニフィセントセブンの決算も株高要因となれば、週後半の上昇拡大を想定したい
- ナスダック100の株価指数CFD「米国テク株100」の週間予想レンジは25200~27000
主要3指数 連日の最高値、ナスダック上昇拡大
米国株が強気相場を維持している。先週の米株式市場では主要3指数が上昇して終えた。週明け27日も強気相場が続き、主要3指数が連日で最高値を更新。S&P500種株価指数は初めて6800を突破した。
注目はナスダック指数である。総合指数と100指数はともに2週続けて2%高で終えた。27日はナスダック総合とナスダック100がそれぞれ1.8%高となり、ダウ平均の0.71%高、S&P500の1.23%高を上回り、主要指数の中でも強気相場の勢いが増している。
後述する米中対立の緩和期待と米連邦準備制度理事会(FRB)の緩和姿勢は、ハイテク株の上昇要因である。マグニフィセントセブンの好決算も重なれば、ナスダック指数の上昇拡大を予想する。
米株価指数の週間変動率:2025年7月以降
ブルームバーグのデータを基に作成
2つの緩和期待
今週の米国株は、「2つの緩和期待」にサポートされる展開が予想される。一つは米国と中国の対立緩和の期待である。
マレーシアで行われた両政府の閣僚級協議では、中国がレアアース(希土類)の輸出規制を1年間延期する一方、米国は100%の対中関税発動を見送る方向で調整していることをベッセント米財務長官が米ABCニュースのインタビューで明かした。30日に予定されている米中首脳会談を前に、対立緩和に向けた動きが見られたことで、週明けの米主要3指数は最高値を更新した。30日の米中首脳会談で対立緩和の動きがさらに進めば、週後半の米国株は上昇拡大が予想される。
もう一つの「緩和期待」が、米連邦準備制度理事会(FRB)の緩和姿勢である。28~29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利下げが確実視されている。CMEのFedWatchツールによれば90%超の確率で利下げを織り込んでいる。また、OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)市場では12月の追加利下げに加え、2026年も緩和サイクルの継続を想定する状況にある。米FRBのパウエル議長は10月14日、今後数ヶ月以内に量的引き締め(QT)停止の可能性を示唆した。今回の会合でQT終了を決定する可能性もある。
いずれの点も市場は織り込み済みだが、米FRBの緩和姿勢は株高トレンドを支えるだろう。米中懸念の後退も重なれば、ハイテク株が株高のけん引役となろう。特に、ハイテク株の影響を受けるナスダック100の上昇拡大が期待される。
米政策金利の予想推移:2026年9月まで
ブルームバーグのデータを基に作成/ OIS市場の確率、10月28日 午前8時時点
マグニフィセントセブンの決算
今週はマグニフィセントセブンに名を連ねる大手ハイテク企業の決算が重なる。29日の取引終了後にマイクロソフトが第1四半期(1Q)決算、メタ・プラットフォームズとアルファベットが第3四半期(3Q)決算を発表する。翌30日には、アマゾン・ドットコムの第3四半期(3Q)決算とアップルの第4四半期(4Q)決算が控えている。ブルームバーグがまとめたコンセンサス予想を以下にまとめた。
マグニフィセントセブン5社の業績予想
コンセンサス予想:ブルームバーグより
米中懸念が後退し、かつ業績見通しを含めたハイテク決算が投資家の期待を上回る場合、週後半のナスダック100はハイテク株主導の上昇拡大が予想される。
一方、業績見通しで投資家の失望を誘う内容が続く場合は、成長懸念がナスダック100の調整売りを促す展開を警戒したい。しかし、2つの緩和期待が売りの圧力を相殺することで、下落幅は限定的となることが予想される。
ナスダック100指数の株価指数CFD「米国テク株100」は、以下にまとめたチャート水準の攻防に注目したい。
米国テク株100のチャート分析
予想レンジの上限:27000
米国テク株100のトレンドを日足チャートで見ると、23000がサポートラインに転換して以降、強気相場の勢いが増し、右肩上がりのトレンドチャネルを形成している。MACDはゴールデンクロスに転じ上昇基調にある。上方の窓開けスタートとなった週明けの相場も考えるならば、今週も新たな高値水準の見極めが焦点となろう。株高の局面では、以下にまとめたチャート水準の攻防に注目したい。
最初の焦点は、次の節目水準26000のトライとなろう。このラインを突破すれば、次はフィボナッチ・エクステンション161.8%水準の26200のトライを想定したい。
今年に入り原資産のナスダック100は週間で3回1000ポイント超上昇する局面があった。いずれもトランプ関税に絡んだ上昇相場だった。
・4月7日~11日:1292.35ポイント高
・4月21日~25日:1174.47ポイント高
・5月12日~16日:1366.49ポイント高
現在も米中の貿易問題が焦点となっている状況を考えるならば、24日終値25360から1000ポイント上の水準26360レベルのトライを想定しておきたい。前述した通り、2つの緩和期待とハイテク好決算が重なる場合、週後半の米国テク株100は上昇が拡大する可能性がある。米国テク株100が26360も突破する場合は、27000のトライが視野に入る。この水準を今週の上限と想定したい。
レジスタンスライン
・27000:予想レンジの上限
・26360:レジスタンスライン
・26200:フィボナッチ・エクステンション161.8%
・26000:節目のライン
予想レンジの下限:25200
1時間足チャートのRSIとストキャスティクスは相場の過熱感(買われ過ぎ)を示している。25日線との乖離率も3.7%へ拡大している。過熱感を意識した調整売りで米国テク株100が反落する場合は3つの水準、25550、25400、25200の攻防に注目したい。
25550は、週明けの上方窓開けスタートの基点となった水準である。反落の局面で相場を支える場合は、サポートラインの候補となろう。
25400は、サポートラインに転換する可能性がある。25400の直下には5日線が上昇している。テクニカルの面でもサポートラインとして意識されやすい。
25200は、24日に突破されるまで10月のレジスタンスラインだった。サポートラインの転換が焦点となる水準である。25200を今週の下限と想定したい。
サポートライン
・25550:上方の窓開けスタートの基点
・25400:サポート転換が焦点、直下に5日線
・25200:予想レンジの下限
米国テク株100の日足チャート:2025年8月以降
TradingView提供のチャート
米国テク株100の1時間足チャート:10月17日以降
TradingView提供のチャート
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