米国株見通し(6/27):S&P500最高値に迫る エヌビディアは連日の最高値更新
26日の米株式市場でS&P500が2月の最高値を一時上回る場面があった。エヌビディアは連日で最高値を更新した。中東懸念の後退と米利下げ期待で強まるリスク選好のムード。S&P500が原資産の株価指数CFD「米国500」は新たな高値水準を見極める状況にある。今日の見通しについてIG証券のアナリストが分かりやすく解説。

要点
・26日の米株式市場でS&P500が一時2月の最高値を更新する場合が見られた
・マグニフィセントセブンが上昇、特にAI関連3銘柄が米株高をけん引
・米国500 今日の予想レンジは6,100-6,200
米株高止まらず、S&P500は一時2月の最高値を上回る
26日の主要な米株価指数は上昇して終えた。米株式市場の時価総額の約80%をカバーするS&P500は前日比0.8%高の6,141.02で終了。取引時間中に2月19日に付けた終値ベースの最高値6144.15を一時的に上回る場面があった。大型ハイテク株の買いでナスダック100は前日比0.94%高の22,447.29で終え、連日で最高値を更新した。
この日、最も上昇したのがラッセル2000だった。中小型株にまで買いが広がる状況は、米国株の強気地合いの強さを示唆している。
米株価指数の変動率:26日

ブルームバーグのデータで筆者が作成
騰勢強めるマグニフィセントセブン、AI関連銘柄の上昇幅が拡大
S&P500の上昇を支えているのがマグニフィセントセブンである。トランプ米大統領が相互関税を発表して以降の推移を確認すると、アップル(AAPL)以外の銘柄がS&P500の上昇率を上回っている。
マグニフィセントセブンとS&P500の変動率:4月3日~6月26日

ブルームバーグのデータで筆者が作成
注目すべきは、AI事業に巨額の投資をしているエヌビディア(NVDA)、マイクロソフト(MSFT)、メタ・プラットフォームズ(META)の上昇幅が拡大していることである。いずれも前回の決算が投資家の期待を上回る内容だった。
マグニフィセントセブンのトレンドが変化したのが4月の下旬以降である。年初来からのトレンドを確認すると、1月下旬~2月にかけての決算では中国の新興企業DeepSeek(ディープシーク)の台頭もあり、米企業による巨額の設備投資に対する懸念が高まった。マグニフィセントセブンは下落トレンドを形成した。
しかし、4月下旬~5月にかけての決算では投資家の期待に応える決算内容が続いた。上昇率にバラつきはあるが、いずれの銘柄も上昇または反発のトレンドへ転じている。特に上記で取り上げたAI関連3銘柄の上昇幅が拡大している。
2025年に入ってからのマグニフィセントセブンの動きは、決算の重要性を示唆している。関税ショックと中東の地政学リスクが短期間で終息した状況も考えるならば、上記の3銘柄は次の決算まで株高トレンドを維持する可能性がある。
マグニフィセントセブンとS&P500の変動率:年初来

ブルームバーグのデータで筆者が作成
エヌビディアが連日で最高値を更新、160ドルが視野に
マグニフィセントセブンの中でも現在最も注目すべき銘柄が、半導体大手のエヌビディア(NVDA)である。25日の米株式市場で同社の株価は上場来高値を更新した。26日の市場でも前日比0.46%高の155.02ドルで終え、連日で最高値を更新した。時価総額は約3兆7,800億ドルに達し、3兆6,900億ドルのマイクロソフト(MSFT)を上回り世界最大の企業となった。
5月28日の第1四半期(2-4月)決算では、第2四半期(5-7月)の売上高予想が450億ドルから上下2%と、アナリスト平均予想の459億ドルを下回った。しかし、これは対中輸出規制の影響を考慮した予想であり、市場ではむしろ今後のデータセンター市場の拡大による同社製のAI半導体の需要拡大-マイクロソフトなどから新型半導体「ブラックウェル」の強い需要が材料視された。また、トランプ米政権の主導でエヌビディアはサウジアラビアやUAEなど中東地域でのビジネス拡大に乗り出し、今後数十億ドル規模の投資を計画している。データセンター市場の拡大と他国への市場開拓は、対中輸出規制の影響を相殺するとの期待と高める要因となろう。
週足チャートでエヌビディアの株価動向を確認すると、13週線が上昇へ転じている。上述した決算後のトレンドも考えるならば、目先は160ドルを視野に上昇幅の拡大を想定したい。株価が160ドル台へ達すれば、フィボナッチ・エクステンション100%の水準164.14ドルの攻防が焦点となろう。
しかし、株価と52週線との乖離率が21%まで拡大している。160ドルを目指す過程では調整売りを想定したい。株価の反落局面では、150ドルとサポート転換の可能性がある144ドルの維持が焦点となろう。
エヌビディアの株価チャート:週足 2024年以降

出所:TradingView
米国500の見通しとテクニカル分析
予想レンジの上限:6,200
ラトニック米商務長官は26日、米国と中国が5月のジュネーブ協議での貿易合意について最終的な理解の取りまとめに至ったと、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで述べた。合意内容には、中国が米国にレアアースを供給することに関する文言が含まれているとも語った。米中貿易懸念の後退は米株高の要因となろう。
また、26日のIG為替レポートで指摘したとおり、短期金融市場では今年3回利下げの可能性を織り込み始めている。米利下げ期待の高まりもまた、米株高の要因となろう。27日の米株式市場では、S&P500が終値ベースで2月の最高値の更新すると予想する。
S&P500が対象の株価指数CFD「米国500」は、本日早朝の取引で高値6,154まで上昇する局面が見られた。今週に入りS&P500は、株高の局面で1%近く上昇している。本日も続伸する場合は、昨日の終値から1%高の6,200レベルを予想レンジの上限と想定したい。
米国500が6,200のラインを目指すサインとして、フィボナッチ・エクステンション127.2%の水準6,183レベルの攻防に注目したい。このテクニカルラインの上方ブレイクは、6,200をトライするサインと捉えたい。
レジスタンスライン
・6,200:予想レンジの上限
・6,183:フィボナッチ・エクステンション127.2%
・6,154:27日早朝の高値水準
予想レンジの下限:6,100
米国500は最高値圏の攻防にある。4時間足チャートのRSIとストキャスティクスはいずれも「買われ過ぎ」の水準へ到達している。週末を控え利益確定売りが入りやすい。27日の株式市場で米国500が反落する場合は、以下にまとめたサポートラインの維持が焦点となろう。しかし、上述した現在の相場環境を考えるならば、米国500の下落幅は限定的と予想する。
まずは、フィボナッチ・エクステンション100%の水準6,126レベルが、サポートラインへ転換するかどうかを見極めたい。このテクニカルラインを下方ブレイクする場合は6,100のトライを意識したい。このラインを今日の予想レンジの下限と想定したい。
サポートライン
・6,126:フィボナッチ・エクステンション100%(4時間足)
・6,100:予想レンジの下限(4時間足)
S&P500のチャート
日足:今年2月以降

出所:TradingView
米国500のチャート
4時間足:6月以降

出所:IGチャート
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