【米国株】ナスダック100の見通し(7/29~8/1):23,000-23,670レンジ予想、ハイテク決算に注目、30日にメタ決算
ナスダック100の見通し。今週はFOMC後のパウエルFRB議長の会見とハイテク決算が焦点に。メタ・プラットフォームズの2Q決算に注目。株価指数CFD「米国テク株100」の売買ポイントについて、IG証券のアナリストが分かりやすく解説。

要点
・強気相場を維持する米国株、S&Pとナスダックが連日で最高値を更新
・米FOMC、パウエル会見で次の利下げ時期を探る状況に
・ピークを迎えるハイテク決算、30日にメタ、業績見通しに注目
・米国テク株100の予想レンジは23,000-23,670(8/1まで)
7月最終週の米国株は上昇スタート、S&Pとナスダック最高値
週明け28日の米株式市場でS&P500が小幅に6日続伸となり、連日で最高値を更新した。ハイテク比率の高いナスダック総合指数も4日続伸し、こちらも最高値を更新した。
米株価指数の変動率:7月28日

ブルームバーグのデータで作成
トランプ米政権は、日本に続き欧州連合(EU)とも関税交渉で合意した。関税リスクの後退を受け、市場の先行きに対する投資家の心理を反映するVIX指数とVXN指数は15ポイント台、17ポイント台と、いずれも警戒水準とされる「20」を下回る状況にある。連日の最高値更新で高値警戒感が意識されやすい局面にあるが、今の投資家心理を考えるならば、下落の局面は押し目買いの好機と考えたい。
VIXとVXNのチャート:日足 年初来

ブルームバーグのデータで作成
米FOMC、パウエルFRB議長の会見で利下げ時期を見極め
28日のIG米国株レポートで述べたとおり、今週の米国株は米連邦公開市場委員会(FOMC)後のパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)の会見でトレンドが左右される可能性がある。インフレリスクと経済の見通しに関する発言から、市場参加者は次回の利下げ時期を探ろうとするだろう。会見の内容が”タカ派”と受け止められる場合は、上昇の過熱感を意識した調整売りを警戒したい。
30日にメタ決算、焦点は業績見通し、株価反転かダブルトップか?
メタ・プラットフォームズ、7月は一人負けの状況に
FOMCを通過した後は、ハイテク決算に市場参加者の関心が集まろう。30日にメタ・プラットフォームズ(META)とマイクロソフト(MSFT)、31日にアマゾン・ドットコム(AMZN)とアップル(AAPL)が決算を発表する。先週、アルファベット(GOOGL)とテスラ(TSLA)が決算を発表した。アナリスト予想を上回ったアルファベットの株価は上昇し、アナリスト予想を下回ったテスラの株価は下落した。これら株価の動向は、決算の重要性を示している。
今週のハイテク決算で注目したいのが、30日の引け後に4-6月期(第2四半期、以下2Q)決算を発表するメタ・プラットフォームズである。月初来の変動率を確認すると「一人負け」の状況にある。
マグニフィセントセブンの変動率:月初来

ブルームバーグのデータで作成 / 7月28日時点
業績見通しで高値警戒感を払拭できるか?
日足チャートでメタ・プラットフォームズのトレンドを確認すると、740ドルの水準で二度上昇が止められた。下落相場へ転じるムードはない。しかし、株価の反発は限定的である。MACDはゼロラインを視野に低下基調にある。一目均衡表の転換線は、基準線を上から下に下方ブレイクしている。
メタ・プラットフォームズの株価チャート:年初来

出所:TradingView
2023年以降、AIブームが米国株高をけん引している。現在もその状況が続き、メタ・プラットフォームズの株価収益率(PER)は約28倍と高水準にある。株価売上高倍率(PSR)も10倍を超えている。上で述べた株価とテクニカル指標の動きも考えるならば、高値警戒感がメタ株の重石となっていると考えられる。
メタ・プラットフォームズのPERとPSR:2023年以降

ブルームバーグのデータで作成
ブルームバーグがまとめたアナリスト予想によれば、2Qの売上高は前年同期比14.65%増の447億9,700万ドルが見込まれている。1株利益(EPS)の予想は5.88ドル。前年同期は5.16ドルだった。
売上高と1株利益の推移:2022年以降

ブルームバーグのデータで作成 / 赤の棒グラフ:2Qのアナリスト予想、7月28日時点
好決算だったアルファベットと同じく、メタ・プラットフォームズも広告を収益の柱としている。2Qの広告収益は前年同期比14.90%増の440億4,000万ドルが見込まれている。関税問題で中国の広告主が米国での支出を控えていることが影響し、広告のインプレッションと価格の伸びが抑制される可能性がある。
広告収益の推移:2022年以降

ブルームバーグのデータで作成 / 赤の棒グラフ:2Qのアナリスト予想、7月28日時点
焦点は業績見通しとなろう。7-9月期(第3四半期、以下3Q)の売上高は前年同期比13.85%増の462億ドル、1株利益(EPS)は6.03ドル(前年同期6.03ドル)が予想されている。
同社は4月に通年の設備投資計画を1月時点の600億〜650億ドルから640億〜720億ドルへ積み増した。人工知能(AI)を開発するデータセンターへの追加投資でAI事業の拡大を狙う。巨額の投資に見合うだけの業績見通しを示すことができなければ、2Q決算がアナリスト予想を上回ってもメタの株価は740ドルでダブルトップ形成のムードが強まる可能性がある。決算が株安要因となれば50日線、日足の一目雲、そしてネックラインの620ドルの攻防に注目したい。ネックラインの下方ブレイクは、ダブルトップ形成のサインとなろう(上のメタ株価チャートを参照)。
一方、2Q決算と業績見通しがアナリスト予想を上回る場合は、740ドルの攻防を意識したい。この水準がサポートラインへ転換すれば、新たな上値水準を目指すサインとなろう。
3Qの業績見通し
・売上高:462億ドル(前年同期比13.85%増)
・1株利益:6.03(前年同期 6.03ドル)
出所:ブルームバーグ / 7月28日時点
メタの株価はハイテク比率の高いナスダック100のトレンドを左右する可能性がある。好決算で一人負けの状態から脱する場合、同指数を原資産とする株価指数CFD「米国テク株100」は、以下で述べるレジスタンスラインの攻防を意識したい。
米国テク株100の見通しとテクニカル分析
週間予想レンジの上限:23,670
28日からスウェーデンのストックホルムで米国と中国が3回目の関税交渉に臨んでいる。初日の協議は5時間ほどに及んだと見られ29日も継続する。来月12日までとしている一部関税の停止期限を延長する観測がある。日本とEUに続き、中国との協議でも進展が見られる場合、ナスダック100は強気相場を維持しよう。
関税リスクの後退に加えて、アナリスト予想を上回るハイテク決算も重なれば、週後半にナスダック100の上昇幅が拡大する可能性がある。同指数の株価指数CFD「米国テク株100」は、以下で取り上げているレジスタンスラインの攻防に注目したい。
今週の予想レンジ上限はフィボナッチ・エクステンション161.8%の水準23,670を想定。このラインを目指すサインとして、まずは28日の高値23,442の上方ブレイクを確認したい。次の焦点は、エクステンション100%の23,487と127.2%の23,560の攻防となろう。後者の23,560を突破すれば、予想レンジの上限23,670のトライが視野に入ろう。
レジスタンスライン:1時間足
・23,670:予想レンジの上限、フィボナッチ・エクステンション161.8%
・23,568:フィボナッチ・エクステンション127.2%
・23,487:フィボナッチ・エクステンション100%
・23,442:7月28日の高値
週間予想レンジの下限:23,000
ナスダックの総合と100はともに最高値を更新する状況が続いている。パウエルFRB議長の会見が “タカ派” と市場で受け止められ、メタ・プラットフォームズ(META)を含めたハイテク決算が総じて投資家の期待を下回る場合は、調整売りを想定したい。
しかし関税リスクの後退で、投資家の心理はリスク選好に傾いている。米国テク株100の反落局面では、以下のサポートラインの攻防に注目したい。今週の予想レンジの下限は23,000。7月以降、サポートラインとして相場を支えている日足の一目転換線が23,000付近まで上昇している(28日時点:23,028)。
米国テク株100が23,000をトライするサインとして、以下3つのサポートラインの攻防に注目したい。いずれの水準も下値支持線へ転換する可能性がある。
サポートライン
・23,300:サポートライン(1時間足)
・23,200:サポートライン(1時間足)
・23,150:サポートライン(1時間足)
・23,000:予想レンジの下限、一目転換線(日足)
ナスダック100のチャート
日足:5月以降

出所:TradingView
米国テク株100のチャート
1時間足:7月18日以降

出所:IGチャート
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