米国株 週間見通し(9/15~19):ナスダック100調整警戒、予想レンジ23,450~24,500
今週は米FOMCをにらんだ展開が予想される。利下げは織り込み済み。先週、連日で最高値を更新したナスダック100は期待先行の反動による調整売りを警戒。強気維持の鍵は「AI相場」の継続。米国テク株100の予想レンジは23,450~24,500。IG証券アナリストが重要チャート水準を詳細解説。

要点
今週の米株式市場はFOMCをにらんだ展開となろう。利下げ期待による主力ハイテク株の買いでナスダック100は先週、初めて24,000へ上昇した。しかし、市場は既に0.25ポイントの利下げを完全に織り込んでいる。期待先行で連日最高値を更新したナスダック100は調整売りを警戒したい。だが、連続利下げの可能性が高まれば、AI相場の継続が予想される。調整売りを挟みながらナスダック100は強気相場を維持する公算が大きい。株価指数CFD「米国テク株100」の週間予想レンジは23,450~24,500。
期待先行の株高、ナスダックは連日の最高値更新
先週(9月8日~12日)の米株式市場では、主要3指数が最高値を更新した。利下げ期待を背景に主力ハイテク株の買いが加速し、ナスダック総合指数は5日続伸。終値ベースで22,141.10と最高値を更新した。週間上昇率は2%に達し、8月第1週(4日~8日の週)以来の大幅上昇となった。
ナスダック100は8日続伸で、初めて24,000の大台を突破。12日の市場では、終値で24,000ラインを維持した(12日終値:24092.19)。
米主要株価指数 9/8週の変動率

ブルームバーグのデータで作成
利下げは織り込み済み、調整売りを警戒
今週の米国株は、16日~17日に開かれる米連邦公開市場委員会(FOMC)をにらんだ展開となろう。
8月雇用統計をはじめとする雇用指標が相次いで労働市場の軟化を示唆し、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が懸念する雇用の下振れリスクが経済指標で裏付けられた。この結果、0.25ポイントの利下げが完全に織り込まれており、焦点は今後の政策方針へと移っている。
米労働市場に関するFOMC声明とパウエルFRB議長の見解に注目したい。労働市場の減速とそれによる景気懸念に言及すれば、市場は10月と12月の追加利下げを意識し始めるだろう。しかし、このシナリオも市場は織り込み始めている。OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)市場では、10月の利下げ確率が80%台、12月は90%台に達している。先週11日の米債市場では、10年債利回りが節目の4.0%を一時割り込んだ。米株高と同様、利下げを意識した期待先行の米債買いと言える。
先週の米株式市場が期待先行相場だったことを考えるならば、今週はその反動による調整売りを警戒したい。
米FOMC 利下げ確率の推移:2025年6月以降

ブルームバーグのデータで作成 / OIS市場の予想確率(9月12日時点)
ナスダック100の見通し、AI相場継続なら強気維持
今の米株高を支えているのが「AI相場」である。先週のS&Pセクター別パフォーマンスを確認すると、情報技術セクターが3%高でS&P500の株高をけん引した。上昇の主役は、エヌビディア(NVDA)に代表される主力の半導体株だった。
S&Pセクター別パフォーマンス:9/8週

一方、マグニフィセントセブンに代表される大手ハイテク株では、マイクロソフト(MSFT)が3%高、グーグルを傘下に持つアルファベット(GOOGL)が2.47%高で終えた。エヌビディアと同じくいずれもAI関連銘柄である。
先週の米株高は期待先行の面があり、ゆえに今週は「事実で売る」反落相場を警戒する必要がある。しかし、連続利下げ期待が高まれば米金利の上昇が抑制されるだろう。これは、AI関連銘柄の割高懸念の後退要因になる。調整売りをこなしながらAI相場が継続する場合、ハイテク株比率の高いナスダック100は強気地合いを維持することが予想される。
今週の注目ポイントは2つ。24,000のラインが下値支持線に転換することとフィボナッチ・エクステンション100%の24,273の完全突破である。両方の条件を満たせば、次の節目である25,000ラインを視野に上昇幅の拡大が予想される。なお、25,000のラインはフィボナッチ・エクステンション161.8%の水準にあたる。
一方、調整売りで24,000のラインを下方ブレイクする場合は、50日線を視野に下落幅の拡大を警戒したい。この移動平均線は現在、23,300台で推移している。
ナスダック100の日足チャート:2025年5月以降

米国テク株100の週間見通しとテクニカル分析
予想レンジの下限:23,450
筆者の予想どおり、今週の米国株が調整売りに直面すれば、ナスダック100を原資産とする株価指数CFD「米国テク株100」は、以下にまとめたサポートラインの攻防が注目される。
週間の予想レンジの下限は、50日線が推移している23,450レベルを想定。この水準をトライするサインとして23,900、23,700そして20日線が推移している23,600の攻防が注目される。前者2つのラインは、下値支持線に転換する可能性がある。
筆者の想定を超える調整売りで米国テク株100が23,450レベルを下方ブレイクする場合は、23,000ラインを視野に下落幅の拡大への警戒が必要だ。
サポートライン
・23,900:下値支持線に転換する可能性あり
・23,700:下値支持線に転換する可能性あり
・23,600:20日線(9/12時点)
・23,450:50日線(9/12時点)、予想レンジの下限
・23,000:節目のサポートライン
予想レンジの上限:24,500
米連続利下げ期待の高まりでAI相場が続く場合、米国テク株100は強気地合いを維持するだろう。この場合は、以下にまとめたレジスタンスラインの攻防に注目したい。
週間予想レンジの上限については、先週の上昇幅を参考に設定する。米国テク株100は先週、前週末(5日)終値23,635から最大で502ポイント上昇した(先週の高値は24,137)。連続利下げ期待の高まりでAI相場が続けば、今週も同程度の上昇余地がある。12日の終値24,091から502ポイント上の水準は24,593だが、その下の心理的節目である24,500レベルが、強い上値抵抗線として機能する可能性がある。したがって、週間予想レンジの上限を24,500と想定する。
米国テク株100が24,500を目指すサインとして、まずは9月12日高値の24,136とフィボナッチ・エクステンション161.8%の水準である24,246の突破を確認したい。後者のテクニカルラインを上方ブレイクすれば、100ポイント幅で上値の攻防を見極める展開を予想する。
筆者の想定を超える買いで米国テク株100が24,500のラインを難なく上方ブレイクする場合は、次の節目のラインである25,000の攻防を意識することになろう。このラインは、フィボナッチ・エクステンション261.8%の水準にあたる。
レジスタンスライン
・25,000:フィボナッチ・エクステンション261.8%
・24,500:週間の予想レンジ上限
・24,246:フィボナッチ・エクステンション161.8%
・24,136:9月12日の高値
米国テク株100の日足チャート:2025年8月以降

出典:IG / TradingView
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