注目の日本のETF (上場投資信託)5選
ETF(上場投資信託)の市場価値は、2024年末には15兆ドル近くにまで上昇しました。この記事では、日本のおすすめETF銘柄をご紹介します。取り上げるETFは、運用資産額に基づいて選ばれています。

ETFとは?
ETF(上場投資信託)は、特定の指数に連動する運用成果を目指して運用される金融商品です。連動する指数には、例えば日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などが挙げられます。この市場には株式、株式指数、債券、通貨、コモディティーなどが含まれます。
ETFは株と同じように株式市場で取引されます。しかし、ETFを保有することは、そのETFを構成する株式や債券、コモディティーを保有することとは異なります。例えば、株式ETFを保有している人は配当金を受け取れるものの、株主総会で投票をすることはできません。
投資家からお金を集め、投資先が分散された資産ポートフォリオを購入するという点で、ETFは投資信託と似ています。しかし、いくつかの違いがあります。ETFは株式と同じように取引時間中に市場で売買することが可能ですが、投資信託はできません。また、ETFは定額買付(1口100円など)ができないのに対し、投資信託はできるといった違いもあります。
ETFは比較的低コストで特定の市場、業界、資産クラスへ投資することが可能なため、トレーダーから見ると柔軟性の高い商品となります。ETFの投資先は分散されているため、一つの株式や債券の値動きに左右されるリスクを減らすことができます。
ETFの種類
ETFには数多くの種類があるため、トレーダーは投資の目的やリスク耐性、好きな市場痩せクターに合わせてETFを選ぶことができます。主なETFの種類としては、以下のようなものがあります。
1. 株式連動型ETF
日経平均株価などの株価指数と連動した値動きで運用することを目指すETFです。幅広い銘柄への分散投資を可能にします。
2. 通貨連動型ETF
実際に通貨を購入することなく外国為替市場へ投資できます。通貨連動型を買うことで、EUや新興国などの地域における経済動向へのエクスポージャーを得られます。
3. セクターETF
セクターETFにより、業界を絞って、そのうちのいくつかの企業への投資が可能です。例えば、インベスコQQQトラスト・シリーズ(QQQ)はナスダックに上場しているハイテク企業の株価と連動しています。セクターETFを選ぶことで、個々の銘柄を選ぶことなく人気のあるセクターへ投資することができます。
4. コモディティーETF
コモディティーETFは、商品自体ではなく原資産の価格に基づいて取引されるデリバティブ(金融派生商品)で構成されています。これにより、トレーダーは商品の所有権や受け取りを気にすることなく、取引をすることが可能になります。
5. インバース(ベア)型ETF
インバースETFは、株価指数などベンチマークにしている指標の値動きと逆の動き(マイナス◯倍)で運用されるETFです。つまり、ETFの原資産が値下がりするとETFの値段が値上がりし、ETFの原資産が値上がりするとETFの値段が値下がりします。
インバースETFでロングポジション(買い待ち)をヘッジしたり、資産の目減りリスクを避けたりするトレーダーもいます。
6. レバレッジ(ブル)型ETF
レバレッジ型ETFは、日経平均など特定の投資対象の日々の値動きの、倍の動きで運用されるETFです。例えば、2倍のレバレッジがかかったETFでは、100円の上昇に対して、200円分の上昇成果を得ることができます。
レバレッジ型商品は通常の取引よりも多くの利益を得ることが可能ですが、同時に損失が大きくなることもあります。トレーダーはレバレッジ型ETFを取引する前に、ご自身のリスク耐性を確認するようにしましょう。
注目すべき日本のETF5選
ここでは、注目すべき日本のETFをご紹介します(年初来のリターンは2025年3月26日時点のものです。過去の値動きは、将来の値動きを示すものではありません)。
- TOPIX連動型上場投資信託 (1306.T)
- NEXT FUNDS 日経平均連動型上場投信 (1321.T)
- NEXT FUNDS日経平均インバース・インデックス連動型上場投信(1571)
- iFreeETF 日経平均ダブルインバース・インデックス(1366)
- 純金上場信託(現物国内保管)(1540)
1. TOPIX連動型上場投資信託 (1306.T)
TOPIX連動型上場投資信託(1306.T)は、日本株全体に広く分散投資できる代表的なETFのひとつです。このETFは、東証株価指数(TOPIX)に連動する成果を目指して運用されており、TOPIXに採用されている銘柄のみを対象にしています。つまり、日本の上場企業の中でも、東証プライム市場に属する主要企業の株式にまとめて投資できる商品です。
運用方法としては、TOPIXの構成比率に基づいて、個別銘柄をほぼ同じ比率で保有する「パッシブ運用」を採用しています。そのため、個別企業の動向に左右されにくく、日本経済全体の成長に期待して投資するスタイルに向いています。トヨタや三菱UFJ、ソニー、日立製作所といった日本を代表する大企業が上位に組み込まれている点も特徴です。
年1回の分配があり、直近の分配金は100口あたり5,790円(2024年7月実績)と、安定的な配当収入も魅力の一つです。また、信託報酬は最大でも年0.24%(税抜)と低水準に抑えられており、長期保有でもコスト負担を抑えやすい点も初心者にとって安心材料となりそうです。
このETFは、日々の値動きも比較的穏やかで、長期的に日本株の成長を取り込みたいと考える方に適していると考えられます。特定の業種や企業に偏らず、幅広い銘柄に投資したい方にとって、堅実な選択肢といえるかもしれません。
- 設定日: 2001年7月13日
- 運用資産総額: 24兆953億円(2025年現在)
- 組み入れ銘柄数: 約2,000銘柄
- 組み入れ上位5銘柄: トヨタ自動車、ソニーグループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、日立製作所、三井住友フィナンシャルグループ
- 2025年初来リターン: 約1.7%
2. NEXT FUNDS 日経平均連動型上場投信 (1321.T)
NEXT FUNDS 日経平均連動型上場投信(1321.T)は、日本の代表的な株価指数「日経平均株価(225種)」に連動する投資成果を目指したETFです。日経平均は、日本経済新聞社が算出する、日本を代表する225銘柄で構成される株価指数であり、このETFはその構成銘柄の動きに沿って値動きするよう設計されています。
特徴的なのは、トヨタやソニーではなく、ファーストリテイリングや東京エレクトロン、アドバンテストといった株価の高い銘柄が指数への影響力を大きく持っている点です。時価総額ではなく株価に基づいた「価格加重平均方式」を採用しているため、値がさ株の動向がパフォーマンスを大きく左右します。これにより、ハイテク株や成長株へのエクスポージャーが比較的強めとなる傾向があります。
分配金は年1回(毎年7月8日)で、2024年には10口あたり6,170円の分配実績がありました。信託報酬は年率0.10527%(税込・2025年適用)と、TOPIX連動型ETFよりもやや低コストである点も魅力のひとつです。
このETFは、日本株の中でも成長性を重視した投資をしたい方や、日経平均という分かりやすい指数に連動した商品を探している方にとって、非常にシンプルで使いやすい選択肢だといえそうです。短期トレードでも価格の動きがダイレクトに反映されやすいため、チャート分析などの戦略も立てやすい点は、初心者にとっても取り組みやすいポイントになるかもしれません。
- 設定日: 2001年7月9日
- 運用資産総額: 約10兆8,404億円(2025年現在)
- 組み入れ銘柄数: 225銘柄
- 組み入れ上位5銘柄: ファーストリテイリング、東京エレクトロン、アドバンテス、ソフトバンクグループ、KDDI
- 2025年初来リターン: 約1.39%
3. NEXT FUNDS日経平均インバース・インデックス連動型上場投信(1571)
日経平均インバース・インデックスはは、日経平均株価が下落したときに値上がりしやすい、少しユニークなタイプのETFです。このETFは、日経平均株価の「逆の動き(-1倍)」をするインデックスに連動するよう設計されており、相場が下落する局面で利益を狙いたい投資家に向いています。
仕組みとしては、現物株ではなく日経平均先物などのデリバティブを利用し、株価指数の下落時に上昇を目指す運用が行われています。主に短期国債などの安全性が高い資産を保有しながら、先物取引を通じて「売りポジション」を取ることで、このインバース効果を実現しています。運用の実質的な売建エクスポージャー(リスク量)は、信託財産の純資産総額と同程度に調整されるように管理されており、信頼性の高い運用体制が整えられています。
ただし、このETFは「毎日の日経平均の動きに対して-1倍」の動きをすることを目的としているため、数日以上の保有ではパフォーマンスにずれが生じやすく、長期投資には不向きとされています。その分、短期トレードや相場急落時のヘッジ手段として活用されることが多いです。たとえば、相場が下落しそうなときにこのETFを買うことで、損失のカバーや利益獲得を狙える可能性があります。
信託報酬は年0.88%(税込)とやや高めですが、相場急落時の備えとして持っておくという考え方もできそうです。分配金は近年支払われておらず、価格変動そのものを重視した商品といえます。相場の下落局面を狙いたいとき、リスク管理の選択肢として一考の価値があるETFです。
- 設定日:2012年4月10日
- 運用資産総額:214.7億円
- 資産構成:現金、その他資産が100%
- 2025年初来リターン:-3.65%
4. iFreeETF 日経平均ダブルインバース・インデックス(1366)
iFreeETF 日経平均ダブルインバース・インデックスは、日経平均株価の下落時に「2倍」の値上がりを目指す、いわゆる「ベア型レバレッジETF」です。相場が下がるときに利益を狙える設計となっており、特に短期トレードや下落相場に備える戦略に活用されやすい商品です。
このETFの運用対象は「日経平均ダブルインバース・インデックス」という指数で、これは日経平均株価の変動率の「-2倍」の動きを日々反映するように設計された指数です。つまり、日経平均が1日で1%下がると、このETFは理論上2%上昇することを目指します。
主な運用手法は、日経平均先物の売建てと短期の日本国債などの債券を組み合わせるもので、信託財産の純資産総額の約2倍となるような売建ポジションを保有するように調整されています。そのため、変動は大きく、値動きが激しい局面ではハイリターンも狙える反面、上昇相場では損失が拡大しやすくなります。
運用報酬(信託報酬)は年率0.825%(税込)と、インバース型としては一般的な水準です。分配金は過去に支払われておらず、価格変動を直接狙う設計です。また、長期保有には向かず、数日以上の保有では「複利効果」により指数と乖離するリスクがあるため、短期売買向きとされています。
このETFは、相場の急落を予想する場面や、ポートフォリオのリスクヘッジ手段として活用することで、短期的なチャンスを探る手段として有効かもしれません。市場の変化に敏感なトレード戦略を考えている方には、使い方次第で大きな武器となる可能性がある商品です。
- 設定日:2015年1月6日
- 運用資産総額:55.28億円
- 資産構成:現金、その他資産が100%
- 2025年初来リターン:-3.71%
5. 純金上場信託(現物国内保管)(1540)
純金上場信託(現物国内保管)純金上場信託(現物国内保管)(1540)は、金の価格に連動するETFで、国内に保管された現物の純金に裏付けられているのが最大の特徴です。株式とは異なり、金そのものの価値に投資する形となるため、株式市場の変動リスクとは異なる値動きをします。特に、経済不安やインフレリスクが高まる局面で注目されやすい資産といえます。
このETFは、「円建ての金価格(日々公表される国内スポット価格)」に連動するよう設計されています。金そのものを購入するのではなく、ETFという形で証券口座を通じて売買できるため、現物保管の手間がなく、簡便に金へ投資できるのが魅力です。また、保有している金は国内で安全に保管されており、現物との交換制度も設けられています 。
分配金は支払われず、値上がり益を狙う商品です。信託報酬は年率0.44%(税込)と比較的低水準で、長期保有でも負担が抑えられます。為替リスクがない点も、日本国内の投資家にとっては安心材料となるかもしれません。
このETFは、株式や債券とは異なる資産クラスへの分散投資としての役割が期待されます。相場全体が不安定なときのリスクヘッジとしても有効です。短期トレーダーにとっても、金相場の上昇が期待されるタイミングで機動的にエントリーできる手段として、柔軟に活用できそうです。価格変動はやや緩やかですが、堅実な資産としてポートフォリオの一部に加える価値は十分あるといえるでしょう。
- 設定日:2010年7月2日
- 運用資産総額:7,632億円
- 資産構成:金現物100%
- 2025年初来リターン:+16.89%
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