金の投資戦略

『金』は数ある金融商品の中でもユニークな特徴があります。金相場の動向を知ることはすべての投資家にとって重要なことです。ここでは、金投資の戦略および価格を予測する方法について解説します。

Source: Bloomberg

金は、世界中の投資家から『安全資産』とみなされています。このため、世界の金融市場~株式市場や外国為替市場~が混乱する際、資金の逃避先として選好されます。

金は、石油や銅のように国際商品市況と呼ばれる市場で取引されます。しかし、金の価格は他の金融商品と比べ経済の変動による影響をあまり受けません。『安全資産』とみなされる所以です。世界の金の大半は投資目的で保有されています。工業製品のために使用される割合は10%程度と考えられています。また、金の供給量は一定であることも『安全資産』としてみなされる理由です。

金取引と普及の要因の詳細

では、を取引するにはどのような方法があるでしょうか?代表的なのが金の上場投資信託(ETF)です。また、鉱業関連に従事している会社の株式を買うことも金を間接的に保有していることになります。金の取引業者や経験豊富な投資家は、あらかじめ決められた価格でポジションを取る先物やオプションを利用して投資することがあります。

次は金投資をする際、注目すべき9つの方法についてみていきましょう。

1.金と外国為替の関係

まずは金と外国為替の関係を知ることが重要です。これらは24時間いつでも取引することができる金融商品です。しかし、通貨と違い金には希少性(世界中の金を集めてもオリンピックで使用されるプールおよそ3つ分しかありません)があるため、『安全資産』としての特徴があります。また、金は分割や持ち運びが可能で、容易に検証できます。そして最も重要な特徴は代替が可能であるということです。金の1単位は世界中どこでも同じ価値を持ちます。

外国為替との関係でまず知っておくべきことは、米ドル相場との関係です。世界中で取引される金のほとんどは米ドル建てで取引されます。そして金と米ドルには逆相関の関係があります。つまり、どちらか一方の価格が上昇する場合、どちらか一方が下落するという関係です。さらに通貨と違い金は各国の政治動向や経済動向、または金融政策の動向の影響を受けにくい特性を持っています。

インフレに強いという点も『安全資産』としての魅力を高めています。ある国でインフレが進むと、通貨は無価値になる可能性があります。例えば、ベネズエラやジンバブエのハイパーインフレーションによる通貨暴落です。しかし、金は一定の供給量しかないため、価値が暴落することはありません。このため、インフレヘッジには最適な金融資産となります。しかし、安全資産であるがゆえに、世界経済が成長局面にあり投資家がリスクを取りに行く相場環境では、金価格は下落します。

『安全資産』としての特性を理解するために、2008年の世界金融危機前後の動向をみてみましょう。2011年に記録した金の高値は、世界金融危機と欧州債務危機から投資家が資金を守るために金の投資額を急激に増やしたことを示しています。その後、世界経済が回復すると金相場は徐々に下落していきます。世界中の投資家が安全資産からリスク資産へ資金をシフトさせたためです。

2.ファンダメンタルズ分析を用いた金投資戦略

金が安全資産の特徴を持つことはすでに述べました。安全資産である以上、世界の金融市場が混乱する時、金の価値は最も上昇します。しかし、いくつかのファンダメンタルズ的な要因でその価値が変動することも常に覚えておきましょう。

以下では、金価格に影響を与えやすいファンダメンタルズの要因について考えてみます。

3.インフレーションと金利の動向

まず注視すべきは、各国中央銀行(特に米連邦準備制度理事会:FRB)の政策動向です。金はインフレに対するヘッジの手段となり得ます。よって、中銀による量的緩和(QE)は、金価格に影響を与えます。金がインフレヘッジになる、ということはインフレ指標である消費者物価指数(CPI)と金価格には相関関係があります。

一方、金利との関係はどうでしょうか?金価格と金利の間には直接的な相関関係はありません。しかし一般的には、金利が高くなると投資家にとって金の魅力が低下してしまうと考えられています。金には利息が付かないからです。しかし、金と金利が同じ方向に動くことは珍しくありません。

尚、CPI以外でインフレの動向を考える指標として、実質金利(名目金利-期待インフレ率)があります。代表的なものとして米国物価連動国債(TIPS)の利回りがそれにあたります。

4.金と地政学の関係

次に金価格と地政学の関係について考えてみましょう。

2011年のピーク時に金価格は1トロイオンス=1920ドルまで高騰しました。金融危機の直後だったこと、中東におけるアラブの春という革命が発生したこと、そして欧州債務危機により世界の金融市場がリスクを回避する状況に陥ったことが金価格高騰の理由でした。最近では、北朝鮮の核問題が意識され、金価格が上昇する局面が見られました。

5.テクニカル分析を用いた金投資

テクニカル分析は金投資にも使えます。テクニカル分析を行う際に重要なことは、金価格そのものの分析を行うだけでなく、鉱業関連株やETFといった他の市場や金融商品も同時に分析することです。複数の分析の結果、投資家が抱く戦略と一致する結論が導き出される場合、金投資を行うと良いでしょう。

基本的なテクニカル分析の手法としては、高安を結んだトレンドラインを引くこと、移動平均線を用いること、オシレーター系指標を併用することが挙げられます。

以下では、有効なテクニカル分析のツールをご紹介します。

6.テクニカル分析ツール

ここでは、すべての市場において多くの投資家が使用するテクニカル分析ツールについてご紹介します。

  • 移動平均線:移動平均線は、過去の価格データを平滑化し、一定期間の平均価格を算出します。例えば、20日間の移動平均線は20日間の平均レートであり、毎日再計算が行われます。21日目には、最初の1日目が計算から除外されます。いくつかの移動平均線を組み合わせることで、投資家はトレンドを見極めようとします。例えば、短い期間の移動平均線が長い期間の移動平均を上にブレイクすることをゴールデンクロスといい、強気相場のシグナルと捉えます。逆に下にブレイクする場合はデッドクロスといい、弱気相場のシグナルと捉えます。
  • 移動平均収束発散法(MACD):2本の移動平均線を用いることでトレンドの方向性を考えるために使用されるオシレーター系指標のひとつです。

7.ピボットポイント

ピボットポイントは、順張りにも逆張りにも利用できるテクニカル指標です。ピボットポイントの計算は、高値、安値、終値を単純に平均化することによって行われます。金の価格が前日のピボットポイントを上回っている場合、強気相場のシグナルと捉えます。逆に下回っている場合は弱気相場のシグナルと捉えます。

ピボットポイントは、支持線と抵抗線を分析する際によく使用されます。ピボットポイントが金のスポット価格よりも低い位置にある場合は支持線、高い位置にある場合は抵抗線と判断します。

ピボットポイントと以下のテクニカルツールを併用することをおすすめします。

  • フィボナッチ・リトレースメント:「黄金比」を使用してサポート/レジスタンスとなるポイントを探ります。23.60%、38.20%、50.00%、61.80%および76.40%の各戻り水準を多くの投資家は重視します。
  • エリオット波動:トレンドには一定のリズムがあり、一連の上昇波動の後には下降調整相場が続くという理論に基づいています。具体的には5つの波動の後、3つの波動による下降調整相場の前に、衝撃波が現れると考えられています。最初の5波動がインパルスウェーブを形成し、主要トレンドの方向に動きます。その後の3波動がコレクションウェーブを形成します。

8.その他のテクニカル分析ツール

ここでは金投資に有効なその他のテクニカル分析ツールについてご紹介します。

  • RSI一定期間(例えば14日間)にわたって価格が上昇/下落する場合、そのトレンドが売られすぎ/買われすぎを判断するために使用されます。MACD同様、オシレーター系指標のひとつです。
  • ストキャスティクス:相場の勢いを考える際に使用します。0~100の範囲内で数値化され、20未満では売られ過ぎ、80以上では買われ過ぎと判断します。RSIと併用することがあります。
  • アベレージ・トゥルー・レンジ(ATR):ATRは市場のボラティリティを確認するために使用されます。市場のトレンド自体の判断を行うテクニカル分析ツールではありません。ATRは移動平均線の一種です。一定期間にわたって最高値と最安値を最新の終値と比較し、直近5取引日の「真の値幅」を割り出し、その後平均化してATRを算出します。
  • ボリンジャーバンド一定期間における相場の振れ幅(ボラティリティ)を3本の線-上限、中心線、下限-を用いて判断します。これら3本の線は、統計学的に基づいて計算されます。

9.間接的な金投資(ETF / 鉱業関連株)

ETFや鉱業関連の事業を展開している会社の株式を保有することで、直接的ではなく間接的に金に投資することができます。

例えば金のETFとは、実勢相場に連動して価値が変動する金投資に特化した上場投資信託です。上場しているため、株式と同じように取引することができます。また、EFTに投資することで、保管コスト等を節約することができます。代表的な金ETFにSPDR®ゴールド・シェアがあります。

金を採掘する鉱業関連株に投資することで間接的に金投資をしていると述べました。実際に金価格が上昇すると、これら関連株式は上昇する傾向にあります。しかし、注意すべき点もあります。それは実勢相場との相関性です。ETFは実勢相場に連動して価格が変動するため強い正の相関があります。一方、鉱業関連株は、個別企業の決算内容や不祥事といったイベントでも価格が大きく変動します。よって、ETFほど強い正の相関はみられません。
しかし、鉱業関連株の投資で注目すべきは先行性にあります。なぜ先行性が重要なのか?株価に金価格が追随する状況が多々見られるからです。例えば、取引の前場で鉱業関連株が上昇している場合、それが金価格上昇のシグナルとなることがあります。特に注目すべき鉱業関連の企業として英国のFresnillo社やRandgold社が挙げられます。また、年間30万オンス以上の金生産を行い、採掘金から51%以上の収益を得ている企業すべてを対象としたFTSE Gold Minesインデックス(株価指数)に投資するのも一つの手でしょう。

インデックス取引の詳細

金価格が鉱業関連株に影響を与える例を以下でみてみましょう。Fresnillo社の株価が金価格の動きを追っていることがわかります。

金投資のまとめ

金価格も金融商品である以上、様々な要因で価格が変動します。しかし、結局のところは金融市場がリスク選好なのか?リスク回避なのか?がトレンド決定要因となります。金相場を分析する際、テクニカル分析は短期投資に向いています。一方、長期投資ではファンダメンタルズが向いています。理想的なのは、これら2つの分析手法を組み合わせることです。また、金価格のトレンド決定要因として、米ドル相場の動きも常にチェックする必要があります。金と米ドル相場は逆相関の関係あります。米ドル相場が上昇/下落する場合、金価格は下落/上昇します。


本レポートはお客様への情報提供を目的としてのみ作成されたもので、当社の提供する金融商品・サービスその他の取引の勧誘を目的とした ものではありません。本レポートに掲載された内容は当社の見解や予測を示すものでは無く、当社はその正確性、安全性を保証するものではありません。また、掲載された価格、 数値、予測等の内容は予告なしに変更されることがあります。投資商品の選択、その他投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたしま す。本レポートの記載内容を原因とするお客様の直接あるいは間接的損失および損害については、当社は一切の責任を負うものではありません。 無断で複製、配布等の著作権法上の禁止行為に当たるご使用はご遠慮ください。

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