自動車の完全電気化の道のりは厳しいものの、着実に進んでおり、大手自動車メーカーは続々と電気自動車(EV)の新モデルを発表しています。ここではEV関連銘柄を5選紹介します。いずれも、成長性などを総合的に考慮して選出しています。
電気自動車(EV)関連銘柄とは、電気自動車の製造や関連技術の開発に携わる企業の株式のことです。EV関連銘柄が注目されている理由としては、世界各国が二酸化炭素排出量削減に向けた取り組みを強化していることや、自動車メーカーが次々とEVへの移行計画を発表していることなどが挙げられます。
具体的なEV関連銘柄としては、完成車メーカーではテスラ、トヨタ、BYDなど、部品メーカーではデンソー、ニデックなどがあります。EV関連銘柄への投資は、環境問題への取り組みを後押しする意義もありながら、将来の成長産業に投資できるという魅力があります。ただし、技術革新の速度や競争の激化、政策変更などのリスク要因もあるため、特に投資初心者の方は中長期的な視点での分散投資も視野に入れるべきでしょう。
ここでは、2025年第4四半期に注目のEV関連株5選を紹介します。価格と株価推移は2025年11月10日時点の引用です。また、過去の値動きは将来の株価動向を示すものではありません。
トヨタ自動車は、世界的な自動車産業の変革期において、電気自動車(BEV)、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)などへの「全方位戦略」を掲げつつ、好調なハイブリッド車販売を強みとして堅実な業績を上げています。同社はEVのラインナップを拡充する一方で、ソフトウェア定義車両(SDV)への移行も本格化させており、そのバランスの取れた経営戦略が市場から評価されています。
2026年3月期第2四半期(2025年4月1日~2025年9月30日)の決算では、営業収益が約24兆6,308億円(前年同期比+5.8%)と増収になった一方、営業利益は約2兆57億円(同-18.6%)、親会社の所有者に帰属する中間利益は約1兆7,734億円(同-7.0%)と減益となりました。
営業収益が同期として過去最高を更新したものの、諸経費の増加や為替変動の影響などが利益面での重石となりました。2026年3月期通期では、営業収益が49兆円(前期比+2.0%)、営業利益は3兆4,000億円(同-29.1%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は2兆9,300億円(同-38.5%)と大幅な減益を見込んでいます。これは米国における関税政策の通期分の営業利益への減益影響見込みとして、1兆4,500億円を織り込んでいることが主な要因です。
現在の株価は3,131円、予想PERは約14倍、PBRは約1.1倍と、割安感や割高感はあまり感じられない水準となっています。
トヨタ自動車は一部でEVへの移行が遅れているとの指摘があるものの、足元ではハイブリッド車が牽引役となり、収益基盤は非常に強固です。今後は、新しいSDV戦略や、全固体電池などの次世代技術が、中長期的な企業価値を左右するテーマとなりそうです。
トヨタグループ最大の自動車部品メーカーであるデンソーは、自動車業界がEVやSDVへと大きく舵を切る中で、その中核技術を支える重要な役割を担っています。特に、EVの心臓部である駆動モーターシステム「E-Axle」や、電力効率を左右する炭化ケイ素(SiC)パワー半導体、そしてバッテリーの性能を最大化する熱マネジメント技術を電動化戦略の三本柱として、積極的な投資と開発を進めています。
2026年3月期第2四半期(2025年4月1日~2025年9月30日)の決算では、売上収益が約3兆5,905億円(前年同期比+3.3%)に増加した一方、営業利益は約2,114億円(同-15.8%)、親会社の所有者に帰属する中間利益は約1,314億円(同-31.2%)の減益となりました。
北米やアジアを中心とした車両販売の増加や注力領域製品の拡販が増収に寄与しましたが、品質引当や研究開発費、関税等の影響が利益面で重くのしかかりました。
2026年3月期通期では、売上収益が7兆2,400億円(前期比+1.1%)に上方修正されました。一方、営業利益は従来予想からは下方修正されたものの、前期比では6,510億円(同25.4%増)となる見込みです。親会社の所有者に帰属する当期利益も下方修正されましたが、4,970億円(同+18.6%)と予想されています。
営業利益の下方修正は、第2四半期までの実績と為替前提の見直し、品質引当の影響を反映しています。現在の株価は2,071.5円、予想PERは約11倍、PBRは約1.1倍と、利益面から見ると割安感があります。
このように、デンソーは足元の業績こそ減益傾向にあるものの、EV化の進展に不可欠な基幹部品の多くで高い技術力とシェアを保持しています。今後はSDV時代に対応する車載ソフトウェアの開発力強化と合わせ、電動化の波を確実に収益に結びつけられるかどうかが、中長期的な成長の鍵となります。
電子部品大手のTDKは、EV関連銘柄として、二つの異なる側面から重要な役割を担っています。一つは、EVの電力制御に不可欠な積層セラミックコンデンサ(MLCC)やインダクタといった受動部品の主要サプライヤーとしての側面です。もう一つは、中核のエナジー応用製品部門で培ったバッテリー技術です。現在はスマートフォンなどICT向けが主力ですが、中長期的には車載用全固体電池など次世代技術への展開が期待されています。
2026年3月期第2四半期(2025年4月1日~2025年9月30日)の決算では、売上高が約1兆1,834億円(前年同期比+8.6%)、営業利益は約1,476億円(同+10.7%)、親会社の所有者に帰属する中間利益は約1,114億円(同+5.4%)と、増収・増益を達成しました。
ICT市場向け製品の堅調な需要や、合理化・構造改革効果が、これに主に寄与しました。特に、エナジー応用製品セグメントが約6,481億円(前年同期比+13.3%)と大きく伸長し、全体を牽引しました。
2026年3月期通期は売上高が2兆3,700億円(前年同期比+7.5%)、営業利益は2,450億円(同+9.3%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は従来の1350億~1700億円から1,800億円(同+7.7%)へと上方修正され、年間配当も30円から32円への増額が発表されました。
現在の株価は2,505.5円、予想PERは約26倍、PBRは約2.5倍と、利益面と資産面ともにやや割高感があります。とはいえ、TDKのICT分野での確固たる地位と、EV関連部品への将来性が評価されてのものだと言えるでしょう。
TDKの現在の業績はICT市場に強く依存していますが、EVの高性能化・電装化が進むほど、同社の高い信頼性のある受動部品の需要は増加していくはずです。足元の堅調な業績を基盤としながら、中長期的にバッテリー技術をどこまでEV分野に展開できるかが、TDKの企業価値を伸ばしていく上で欠かせないポイントとなります。
精密モーターで世界をリードするニデックは、EVの基幹部品である駆動モーターシステム「E-Axle」を今後の成長ドライバーと位置づけ、事業構造の転換を急いでいます。しかしその矢先、2025年9月に提出した2025年3月期の有価証券報告書に対し、監査法人が「意見不表明」を出すという異例の事態が発生しました。
この問題を受け、ニデックは2025年10月に、不適切な会計処理の疑いに関する第三者委員会の調査が継続していることを理由として、2026年3月期の連結業績予想を取り下げ、未定とすることを発表しました。同時に、中間配当の無配の決定と、実施中だった自社株買いの中止も公表し、株価は軟調な展開が続いています。
現在の株価は2,073円。通期予想が未公表のため予想PERは算出されていないものの、PBRは約1.4倍と資産面ではやや割高感があります。とはいえ、不祥事による混乱が収束すれば、E-Axleの将来性が再評価されるとの市場からの期待も根強くあります。
このように、ニデックはE-AxleというEV時代の主役となり得る強力な事業を持ちながらも、足元では深刻なガバナンスの問題に直面しています。第三者委員会の調査結果と、それを受けた経営刷新が当面の焦点になるでしょう。
EV関連銘柄の代表格であるTeslaは、中核のEV事業に加えて、AIやロボティクス分野への展開を加速させており、その将来性が改めて注目されています。完全自動運転の進化に加え、人型ロボット「Optimus」やロボタクシーの構想が具体的に示され、投資家から大きな成長が期待されています。
2025年7~9月期の決算では、売上高が約281億ドル(前年同月比+11.6%)と増収になった一方、純利益は約14億ドル(同-36.8%)の減益となりました。売上高で過去最高を更新したものの、販売価格の引き下げ戦略の影響などから純利益は大幅に減少しています。
現在の株価は429.52ドル、調整後PERは約300倍、PBRは約17.9倍と、極めて高い水準にあります。同社の株価は現在の収益性だけでは説明しきれず、EVメーカーの枠を超え、AIやソフトウェア企業としての将来の爆発的な成長期待が強く織り込まれている状況にあります。
中国メーカーとの競争激化や利益率の悪化という懸念はありますが、EVに加えて人型ロボットやロボタクシーといったAI分野での進捗次第では、Teslaの中長期的な企業価値は大きく上がる可能性がありそうです。
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