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ドル円、円安巡る神経戦、米雇用統計で158円視野なら急落警戒

「介入相場」に直面するドル円。今日は米国の雇用統計と期待インフレ率が材料視される可能性がある。「新防衛ライン158円」を目指す場合は、介入絡みの円高を警戒したい。

Source:Bloomberg Source:Bloomberg

要点

  • 政府・日銀は5月GW中も為替介入に踏み切った可能性がある。そうであるならば、新防衛ラインとして158.00円が意識される可能性が高い
  • 今日のドル円(USD/JPY)は、米国の4月雇用統計と5月ミシガン大学期待インフレ率(速報値)で動くことが予想される
  • ドル円が158円を目指す局面では、介入絡みの突発的な円高を警戒したい。下値の焦点は155円台の維持となろう


円安巡り、激しさ増す政府・日銀と市場の神経戦

外為市場で円安を巡り政府・日銀と市場が神経戦を繰り広げている。4月30日、政府・日銀は市場推計で5兆円規模の円買い・米ドル売り介入に踏み切った。ドル円は160.50円レベルから155.50円レベルへ急落した。

5月1日と4日でも突発的な円高で155.50円をトライする局面が見られた後、6日の外為市場では1日と4日を超える下落に直面。155.50円レベルを下方ブレイクし、155.03円レベルまで下落する場面が見られた。

1日、4日、そして6日の円高は、政府・日銀による為替介入が要因との観測が流れている。日銀が7日に公表した当座預金残高の見通しでは、為替介入の動向を示す「財政等要因」の減少額が4兆5100億円だった。市場の事前予測は横ばい(ゼロ)から5000億円程度の増加で、この差額から5月1〜6日の介入規模は4〜5兆円程度と推計される。実際の規模は財務省が5月29日に公表する。

もし5月大型連休中の円高の要因が政府・日銀による為替介入であるならば、1日と4日の介入後も短期サポートラインが形成されるほど円安圧力の根強さが確認されたことになる。政府・日銀はこの状況を警戒し、6日に大規模な為替介入に踏み切ったと考えられる。一連の動きは、政府・日銀が新たな防衛ラインを160円台から158円レベルに引き下げ、円安阻止で断固たる構えを鮮明にしたことを示唆する。

ドル円 1時間足チャート:4月29日以降

ドル円 1時間足チャート:4月29日以降 TradingView提供のチャート

円安再燃のマグマが水面下でくすぶる状況は、クロス円の高止まりも示唆している。ドル円(USD/JPY)の下落を受けてもユーロ円(EUR/JPY)は182.00円がサポートラインとなり、最高値圏での攻防を維持している。ポンド円(GBP/JPY)も212円を中心とし高値圏でのレンジ相場にある。また、豪ドル円(AUD/JPY)は1990年以来となる高値水準114円台へ上昇する場面が見られた。

これらクロス円の高止まりの要因の一つが、各中銀の政策見通しにあると筆者は考えている。欧州中央銀行(ECB)は6月、イングランド銀行(英中銀、BOE)は7月、そして3会合連続の利上げを決めたオーストラリア準備銀行(豪中銀、RBA)は8月の利上げが意識されている。

日銀も早ければ、6月会合での利上げが意識される状況にある。しかし、他の主要中銀の利上げ観測が強まる状況、そして過去の為替介入とその後の経緯も踏まえるならば、日銀の利上げ姿勢が円高の要因となる可能性は低い。

市場は円安トレード再開の機会を常にうかがい、政府・日銀はそれを阻止するために為替介入を迫られる構図が鮮明となっている。ゆえに、円安を巡る政府・日銀と市場の神経戦が激しさを増すことが予想される。

各中銀の政策金利見通し

各中銀の政策金利見通し ブルームバーグのデータで作成 / 8日 午前9時時点

ドル安頼みも米利下げ期待は急速に後退

アメリカとイランの戦争が終結に向かうとの期待で、外為市場では「有事のドル買い」が失速している。為替介入の限界を考えるならば、対米ドルでの円安抑制は米ドル安頼みとなろう。

しかし、米利下げ見通しが急速に後退している状況は、米ドルを下支えする要因だ。翌日物金利スワップ(OIS)市場では「年内利下げなし」の可能性が急速に高まっている。一方、日銀は利上げ姿勢を維持するも、年2回の利上げに不透明感が漂い実質金利(政策金利―コアCPI)がマイナス圏から脱する可能性が低い。

前述の各中銀の利上げ観測と為替介入の限界も踏まえれば、ドル円は高値圏での攻防が続く展開が予想される。

米国 政策金利の見通し

米国 政策金利の見通し ブルームバーグのデータで作成 / 8日 午前9時時点

今日は米雇用統計と期待インフレ率にらみ

本日は4月の米雇用統計が発表される。労働市場の底堅さを示唆する内容となれば、年内利下げなしの思惑をさらに強める要因となろう。

米雇用統計 各項目の動向:過去1年間

米雇用統計 各項目の動向:過去1年間 ブルームバーグのデータで作成

また、5月のミシガン大学期待インフレ率(速報値)も材料視される可能性がある。ブルームバーグがまとめた市場予想によれば、1年先期待インフレ率が前月の4.7%から4.8%に上昇する見込みである。

堅調な雇用と消費者が抱くインフレ期待の上昇が重なれば、ドル円(USD/JPY)は「新防衛ライン158円」を視野に上昇が加速する可能性がある。しかし、この局面では政府・日銀による為替介入の警戒感、または実際の為替介入による急反落の可能性を高めよう。

ミシガン大学 期待インフレ率の動向:過去1年間

ミシガン大学 期待インフレ率の動向:過去1年間 ブルームバーグのデータで作成

ドル円のテクニカル分析、158円目指す展開なら急反落を警戒

前述の米経済指標がドル買いの要因となれば、ドル円(USD/JPY)は157円台の攻防を意識したい。注目は157.40円台で推移している89日線だ。この移動平均線の上方ブレイクは、直近の高値と安値の半値戻し157.88レベルをトライするサインとなろう。このテクニカルラインも上方ブレイクすれば158.00円の攻防を意識したい。

為替介入が警戒される中では可能性は低いが、ドル円が158.00円を突破し、かつこの水準がサポートラインに転換すれば、21日線の攻防が視野に入る。この移動平均線はフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準158.55円レベルと交差する。

しかし、158.00円は新防衛ラインとして意識されやすい状況にある。この水準を目指す局面では、前述の通り為替介入絡みの突発的な円高を警戒したい。
注目のチャート水準:レジスタンス
・158.55:61.8%戻し、直下に21日線
・158.00:新防衛ライン
・157.88:半値戻し
・157.42:89日線
※フィボナッチ・リトレースメント:緑ラインを参照

今日の米経済指標がドル安の要因となれば、最初の焦点は156.00円の維持となろう。だが、為替介入絡みの円高に直面すれば、重要サポートラインでありフィボナッチ・リトレースメント61.8%の水準でもある155.50円のトライを想定したい。

政府・日銀による追加の円買い・米ドル売り介入があれば、6日の急反落を止めた155.00円の維持が焦点となろう。
注目のチャート水準:サポート
・156.00:節目水準
・155.50:61.8%戻し
・155.00:6日の下落を止めたサポート水準
※フィボナッチ・リトレースメント:青ラインを参照


ドル円日足チャート:2026年2月以降

ドル円日足チャート:2026年2月以降 TradingView提供のチャート

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