ドル円見通し (8/5):145.90~148.00予想、金価格続伸、米利下げ観測、米ドル安再燃を警戒
雇用統計ショックで米ドル安の再燃を警戒する状況にある。7月のISM非製造業景気指数も予想を下回る場合は米連続利下げの観測が高まろう。ドル円の見通しと注目のチャート水準についてIG証券のアナリストが分かりやすく解説。

概要
・ドル円は上下に振れる不安定な状況にある
・今の外為市場は米ドル安の再燃を警戒する状況にある
・今日の注目材料は7月の米ISM非製造業景気指数
・ドル円 今日の予想レンジは145.90~148.00
不安定なドル円
週明け4日のドル円(USD/JPY)は、上下に大きく振れる不安定な相場となった。雇用統計ショック後の米ドルの買い戻しで、欧州時間の序盤に148円まで上昇した。しかし、米ドル買いが失速すると一転反落(下のチャート、ドル指数を参照)。NY時間に安値146.86レベルまで下落した。
4日のIG週間為替レポートで、今週のドル円は上下に振れる不安定な相場を想定する必要があると述べた。昨日の動きを考えるならば、今日も不安定な相場を想定したい。
ドル円とドル指数のチャート 5分足:8月4日の動き

出典:TradingView
金価格の続伸、FRB連続利下げの観測、米ドル安再燃を警戒
今の外為市場は、米ドル安の再燃を警戒する状況にある。そう考える理由の一つが、金相場の動きにある。
日足チャートでスポット金価格のトレンドを確認すると、5月25日の安値と6月16日高値の半値戻し、さらに一目均衡表雲の下限が相場を下支えした。重要なテクニカルラインを維持した状況は、金価格の地合いの強さを示唆している。米雇用統計ショックを受けた急反発も重なり、金価格は現在3,400ドルが視野に入る状況にある。
金価格のチャート:5月以降

出典:TradingView
米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ観測が意識されている状況も、米ドル安再燃の可能性を高めるだろう。短期金融市場では9月FOMC(米連邦公開市場委員会)の利下げ確率が90%台まで上昇している。
注目は10月と12月の利下げ確率である。レポート掲載時点ではいずれも70~80%台まで上昇している。金融政策の方向性を織り込んで動く特性がある米2年債利回りが3.65%と、およそ3ヶ月ぶりの低い水準へ急低下している状況も考えるならば、米FRBは連続利下げに追い込まれる可能性を市場参加者が早くも意識し始めている。もちろん、今後の経済指標で利下げ観測は揺れ動くだろう。目先は、今晩の7月ISM非製造業景気指数に注目したい。
米FOMC 利下げ確率(9月、10月、12月):6月以降の推移

ブルームバーグのデータで作成 / OISに基づく予想確率、5日午前7時時点
※マイナス表記:利下げ
今日の注目材料は米ISM非製造業景気指数
7月のISM製造業景気指数は48.0と、前月の49.0から低下し、かつ5カ月連続で景気判断の分かれ目(拡大と縮小の分岐点)となる「50」を下回った。雇用指数も43.4と2カ月連続で縮小し、かつ6カ月連続で50を下回る状況にある。
今日はサービス業の景況感を示す7月のISM非製造業景気指数が発表される。ブルームバーグがまとめた市場予想は51.5。前月の50.8から改善の見通しにある。予想以上となれば、上述の利下げ観測が後退しよう。特に10月と12月のそれらが後退することが予想される。強い経済指標は米ドルの買い戻しを促す要因となろう。
一方、ISM非製造業景気指数が予想外に下振れする場合は、米連続利下げの観測がさらに高まることが予想される。米債市場では利回りに低下の圧力が高まるだろう。外為市場では米ドル安優勢の展開を想定したい。
雇用指数にも注目したい。6月は47.2へ落ち込んだ。米労働者の約8割がサービス業に従事していると言われている。製造業に続きサービス業の雇用も低迷している状況が示される場合もまた、「連続利下げ観測の高まり→米ドル安」の展開を想定したい。
米ISM指数の動向:過去1年間

ブルームバーグのデータで作成
ドル円の見通しとテクニカル分析
今日の予想レンジ上限:148.00レベル
4日のIG週間為替レポートで、ドル円(USD/JPY)の予想レンジ上限を149.40レベルと述べた。このラインのトライを阻む要因として新たに浮上したのが、10日線である。日足チャートを見ると、見事に昨日の上昇を止めたことが分かる。このラインは現在147.95前後で推移している。すぐ上の水準148.00レベルを今日の予想レンジの上限と想定したい。
今晩の米ISM非製造業景気指数が予想外に上振れすれば、米ドルの買い戻しと米国株の続伸が予想される。後者はリスク選好の円安要因になり得る。想定以上にドル円が上昇し148円台の攻防へシフトする場合は、52週線までの反発を想定したい。この移動平均線は現在、148.67レベルで推移している。
レジスタンスライン
・148.67:52週線(週足チャート)
・148.00:10日線(日足チャート)
今日の予想レンジ下限:146.00レベル
米ISM非製造業景気指数が予想外に下振れる場合は、ドル円(USD/JPY)の下落を想定したい。このケースでは、4日のIG週間為替レポートで取り上げた予想レンジの下限145.90レベルのトライを意識したい。
現在146.48レベルで推移している26週線の下方ブレイクは、146.00レベルをトライするサインと捉えたい。ドル円が146.00レベルも下方にブレイクすれば145.90の攻防を意識したい。
想定以上にドル円が下落する場合は、145.80台まで上昇している50日線の維持が焦点に浮上しよう。この移動平均線も下方ブレイクする場合は、145.00のトライを想定したい。
サポートライン
・146.48:26週線(週足チャート)
・146.00:サポートライン(日足、週足チャート)
・145.90:予想レンジの下限(日足チャート)
・145.83:50日線(日足チャート)
・145.00:サポートライン(週足チャート)
ドル円のチャート
日足:年初来

出典:TradingView
週足:昨年12月以降

出典:TradingView
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