ドル円 週間見通し(10/27~31週):予想レンジ151~154円、米FOMC・日銀会合・米中首脳会談に注目
ドル円の週間展望。予想レンジは151.00~154.00円。今週注目の材料とチャート水準をIG証券のアナリストが詳細解説。
要点
今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合が開かれるが、前者は利下げ、後者は現行の政策維持の公算が大きい。市場もこれらの点を織り込んでいるため、現在の米ドル高・円安のトレンドを転換させる可能性は低いだろう。米中貿易協議の進展期待による米ドル買いと「高市トレード」の円安継続で、ドル円は今月10日の高値153.27の突破を想定したい。週間予想レンジの上限は154.00。一方、反落の局面では151.00レベルの維持が焦点となろう。
ドル円の週間展望
今週(10月27日~31日)のドル円(USD/JPY)は、新たな高値水準を見極めることが焦点となろう。今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合が開かれる。米利下げが確実視され、日銀の早期利上げ観測は後退しており、これら中銀イベント後に米ドル安・円高へ振れても一過性の動きに終わろう。今週も米ドル高・円安の継続を予想する。
ドル円の上昇局面では、今月10日の高値153.27レベルの突破と154.00のトライが焦点となろう。一方、反落の局面では151.00の維持が焦点となろう。直下の150.92レベルのサポート転換が151.00レベルの攻防を左右するだろう。
ドル円の日足チャート:2025年7月以降
TradingView提供のチャート
米FOMCと米中貿易協議
28~29日の米FOMCでは0.25%の利下げが確実視されている。CMEのFedWatchツールによれば90%超の確率で利下げを織り込んでいる。また、OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)市場では12月の追加利下げに加え、2026年も緩和サイクルの継続を想定する状況にある。
もう一つの焦点は、量的引き締め(QT)の終了時期である。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が今月14日、今後数ヶ月以内にQT停止の可能性を示唆したことで、この点も市場に織り込まれている。
最近の外為市場では米中貿易協議の進展期待で、米ドルの買い戻しが見られる。マレーシアでの閣僚級協議では、米通商代表部(USTR)のグリア代表が合意に向けて前進したとポジティブな見方を示した(ブルームバーグ報道)。ベッセント米財務長官も米メディアに、中国側がレアアース(希土類)の輸出規制を1年間延期するかわりに、10月30日に予定されている米中首脳会談で11月1日の発動を予定していた対中100%追加関税について、回避が実現する見通しだと明らかにした。
米中首脳会談でさらに緊張緩和に向かう可能性を考慮すれば、FOMCが米ドル安の材料となっても、米中関係改善期待に相殺され、影響は限定的と予想する。
米政策金利の予想推移:2026年9月まで
ブルームバーグのデータを基に作成 / OIS市場の確率、10月24日時点
日銀会合の焦点と円安
米FOMCの後は、29~30日の日銀金融政策決定会合に市場の焦点が移るだろう。現行の政策維持が予想されている。このため焦点は、植田和男日銀総裁の定例会見で12月利上げの可能性を見極めることにある。トランプ関税が日米の経済に与える影響、賃金・インフレの見通し、そして高市政権との関係性についての質問が飛ぶだろう。これらの点についてポジティブな見方を示す場合は、12月利上げに前向きと市場で捉えられ円高の要因になり得る。
しかし、下のチャートが示すとおり、足元では対主要通貨で「高市トレード」による円安優勢の状況にある。特に自民党総裁選後と高市政権発足後に円安へ振れた状況は、政治面で日銀が早期の利上げに動けないのではないかとの市場心理を示唆している。事実、OIS市場では12月の利上げ確率が約36%に留まっている。
前述の米中貿易協議の進展期待で米ドルの買い戻しが続く可能性も考えるならば、植田総裁の会見を含めた日銀イベントが円高の要因となっても、ドル円(USD/JPY)の下落は一過性で終わると予想する。
日本円の動向:対G10通貨
ブルームバーグの為替データを基に作成 / 10月6日~24日
ドル円のチャート分析
予想レンジの上限:154.00
今週、ドル円(USD/JPY)が米ドル高・円安のトレンドを維持する場合は、10月10日の高値153.27レベルの上方ブレイクが最初の焦点となろう。これを達成すれば、154円を視野に上昇拡大を予想する。4時間足チャートのフィボナッチ・エクステンション100%153.65レベルの上方ブレイクは、154.00をトライするサインとなろう。この水準を今週の上限と想定したい。
今年1月10日の高値と4月22日の安値のフィボナッチ・リトレースメント76.4%戻しが154.40レベルにあたる。想定を超える米ドル高・円安の進行で154.00を上方ブレイクする場合は、このテクニカルラインの攻防が焦点に浮上しよう。
レジスタンスライン
・154.40:フィボナッチ・リトレースメント76.4%戻し
・154.00:予想レンジの上限
・153.65:フィボナッチ・エクステンション100%
・153.27:10月10日の高値水準
予想レンジの下限:151.00
4時間足チャートのRSIとストキャスティクスは、短期的な相場の過熱感(買われ過ぎ)を示唆している。日足のストキャスティクスも同じ状況にある。今週、ドル円(USD/JPY)が下値をトライする局面では、以下にまとめたチャート水準の攻防に注目したい。いずれもサポートラインに転換する可能性がある。
8月1日に150.92レベルへ急上昇する局面が見られた。この水準のサポート転換を想定し、直上の151.00レベルを今週の下限と想定したい。直下に21日線が上昇している状況も、151.00レベルでの反発の可能性を高める要因になり得る。
筆者の想定を超える米ドル安・円高でドル円が151.00を下方ブレイクする場合は、150.00を視野に下落拡大を警戒したい。150.24レベルは、直近高安のフィボナッチ・リトレースメント76.4%にあたる(4時間足チャート参照)。一方、149.90台には、10月17日の反落を止めた日足の一目基準線が推移している。テクニカルの面で150.00はサポートラインとして意識されやすい状況にある。
サポートライン
・152.00:サポート転換の可能性あり
・151.50:サポート転換の可能性あり
・151.00:予想レンジの下限
・150.00:上に76.4%戻し、下に一目基準線
ドル円の日足チャート:2025年1月以降
TradingView提供のチャート
ドル円の4時間足チャート:2025年10月以降
TradingView提供のチャート
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